「メールマーケティングで成果を上げる方法が今一つわからない」
「定期的にメールを配信するリソースが足りない」
「社内にコンテンツがない」
など、メールマーケティング担当になり、悩んでいる人も多いと思います。
最新のメールマーケティングではデジタルを活用し、以下のようなポイントをおさえて進めていきます。
今回は、BtoBにおけるメールマーケティングの目的や手法、手順などの基本を確認した後、上記のような見直しポイントの改善によりシャノンでもウェビナー集客が180%アップした、メールマーケティングのコツを紹介していきます。
メールマーケティングの基本を確認
BtoBにおけるメールマーケティングの重要性やメリット・デメリットを確認します。
BtoBにおけるメールマーケティングとは
2010年以降モバイルデバイスの時代となり、個人間のコミュニケーションにはメールよりもSNSやチャットツールが活用されるようになりました。
一方、企業間のコミュニケーションではまだまだメールが主流です。したがって現在も、BtoBではメールが重要なマーケティング施策のひとつです。
BtoBビジネスの特徴として、「取引単価が高く、検討時間が長い」ということがあります。BtoBの検討期間は数か月~1年以上となりますが、この期間に効果的にアプローチできるのが「メールマーケティング」です。
現代の顧客は企業の営業担当者に会う前に、自分で調べて比較検討ができます。この検討期間にコミュニケーションをとることが重要で、そのための手段としてメールが適しています。
さらに、メールマーケティングと「ランディングページの整備」「セミナー/ウェビナーの開催」などの施策を組み合わせることで、見込み客の興味・関心をさらに引き上げ、商談に結び付けていける可能性が高くなります。
メールマーケティングとメルマガの違い
メルマガとは、収集したメールアドレスに一斉に同じ内容のメールを配信することです。
一方、メールマーケティングとは、メールを手段とするマーケティング施策全般をいいます。メルマガはメールマーケティングの手法のひとつです。
メルマガの目的にはコンテンツマーケティング、告知、購入促進などがあります。
BtoCでは「期間限定!今だけ××を20%引きで販売」といったメルマガから顧客の購入を促すことが可能ですが、BtoBではメルマガのみで購入を決めることはほぼありません。
したがって、BtoBにおけるメルマガとメールマーケティングの役割の違いは、以下のようになります。
BtoBにおけるメルマガとメールマーケティングの役割の違い | |
メルマガ | 主にコンテンツマーケティングやキャンペーンの告知のために行う |
メールマーケティング | メルマガを含めたメール施策により、見込み客の興味・関心を引き上げる |
参考:メルマガの開封率の平均はどれくらい?開封率を上げる7つの方法。BtoB向けメールのTipsもご紹介!
メールマーケティングのメリット
メールマーケティングのメリットは以下です。
低コストで実施できる
メール施策は低コストで継続的に実施できます。
コストがかからないので、中小企業や個人でもメールマーケティングを実施できます。
簡単に実施できる
見込み客リストにメールを送信するために特別な設備やスキルは不要で、簡単に始められます。
One to Oneマーケティングが可能
送信対象となる見込み客の属性や行動履歴に合わせてメールの内容を変えて配信することができます。
細かい設定も可能なので、One to Oneマーケティングの有力な手段といえます。
参考:One to Oneマーケティングとは? MAで効率化できるその具体的手法を解説
効果測定がしやすい
開封率、メール内URLのクリック率、遷移先のCVなどの効果測定が可能です。得られた数値をもとに他のマーケティング施策を改善していくこともできます。
メールマーケティングのデメリット
メールマーケティングのデメリットあるいは課題となりがちなポイントとして、以下が挙げられます。
有用なコンテンツを提供し続ける必要がある
メールマーケティングで見込み客の興味・関心を引き上げるためには、見込み客にとって有用なコンテンツを継続的に提供し続ける必要があり、制作には多くのリソースがかかります。
参考:コンテンツマーケティングとは?進め方、事例、コンテンツを増やすコツまでをご紹介
他のメールとの差別化が難しい
企業担当者には毎日多くのメールが届き、そのなかで開封されるメールはわずかです。
タイトルや配信のタイミングなどに工夫をして差別化をはかり、開封率を上げることが課題です。
配信停止されない対策が必要
企業担当者にとって、業務と直接関連がなく興味もないメルマガが多いと、迷惑メールと判断され配信停止にされてしまいます。
これを避けるためには、送信対象を絞り込んで適切なコンテンツを届けることと、頻度は週1回程度を超えないことが重要です。
BtoBにおけるメールマーケティングの進め方と有効なKPI
BtoBにおけるメールマーケティングの具体的な進め方、効果測定のしかたを解説します。
メールマーケティングの種類
BtoBのメールマーケティングで使うメールの種類には以下があります。
メールマーケティングで使用するメールの種類 | |
メールマガジン(メルマガ) | 定期的に配信する。 主にコンテンツマーケティングが目的だが、他の目的にも利用できる自由度が高い |
ステップメール | 見込み客の何らかのアクションを起点に、あらかじめ用意された複数のメールを順番に自動配信する |
ターゲティングメール(セグメントメール) | 役職、地域、行動履歴などの属性で絞り込んだ対象にメールを配信する |
リターゲティングメール | 何らかの行動履歴がある見込み客に対して、次の行動を促すメールを配信する |
休眠発掘メール | 休眠状態の見込み客、過去の顧客などに向けて近況を尋ね、関係を維持する |
参考:売上をつくる決め手「ステップメール」とは?その効果的な運用方法
メールマーケティングの手順
BtoBにおけるメールマーケティングの一般的な流れをご紹介します。
1 マーケティング施策全体のなかでの位置づけ
集客したリード(見込み客)に対してメールマーケティングではどんな役割を担当するのか、セミナー/ウェビナー、Web広告などの他のマーケティング施策と合わせた全体計画のなかで確認します。
2 KPIの設定
1で決めた役割に基づき、メールマーケティングで目標とするKPIを設定します。
メールマーケティングの場合、開封率、クリック率などが指標となります。
3 スケジュールの立案
メルマガをはじめ、その他のメールを含めたすべてのメール配信スケジュールを立てます。
4 配信リストの準備
配信対象となるメールアドレスのリストを準備します。
会社名や名前のミスがないか、データに重複がないかの点検も欠かせません。
また、必要に応じて顧客属性や行動履歴によって配信対象を絞り込みます。
5 コンテンツの作成
目的に合う内容のビジュアルや文章、クリック率が期待できるタイトルでメールを作成します。
メール内URLをクリックした場合の誘導先となるランディングページの作成も同時に行います。
6 初回配信
メールの配信ではテキストにミスがないか、リンク先に間違いがないかなどを十分にチェックしたうえで配信します。
7 効果測定・分析
各メールの効果は開封率、クリック率などで測定します。
クリックしたURL先のCVまで測定対象にすることもあります。
8 改善を加えて次回配信
目標とする開封率、クリック率を下回った場合はその原因を分析して改善をはかり、次の配信を行います。
メールマーケティングのKPIとして適しているのは?
メールマーケティングで指標とするKPIの代表例として以下があります。
メールマーケティングで使われるKPIの種類 | |
開封率 | メールを開封した割合 |
クリック率(CTR) | Click Through Rateの略。メール内のURLをクリックしてWebページへ移動した割合 |
コンバージョン率(CVR) | 移動先のWebページでCVした割合 |
このなかで、メールの開封率に関しては、企業のセキュリティー環境によっては正確に計測できない場合があるので、CTRやCVRをKPIに設定することがおすすめです。
クリック先である「ランディングページ」も重要
メール内のURLをクリックしたとき、企業Webサイト内のページに遷移します。
セミナーを案内するメールであればセミナー申込ページへ、ホワイトペーパー紹介のメールからはホワイトペーパーダウンロードページへと誘導されます。誘導先が「ランディングページ」です。
メールマーケティングで効果を上げるためには、以下のようなランディングページの最適化も重要です。
- メールのURLから流入した人の期待に応える内容である
- 知りたいことが見やすく表示され、情報量が多すぎない
- CTAボタン(アクションを促すボタン)が押しやすい場所に配置されている
このページを見た人がより高い確率でCVするよう、デザインや表示内容を調整する「ランディングページの改善」には、A/Bテストを実施することが一般的です。
参考:BtoBリード獲得のために不可欠なランディングページの最適化。LPの改善をどう進める ?
MAでメールマーケティングを効率化し、狙い通りの成果を上げられる
メールマーケティングはシンプルなマーケティング施策ですが、メールの配信先をセグメントして異なるコンテンツを用意したり、効果測定してPDCAを回したりというように、多くのリソースが必要です。
メールマーケティングを効率よく継続していくためにはツールの導入が有効です。
選択肢は、主に「メール配信ツール」「MAツール」の2つです。
メール配信ツールはメール配信に関連する機能を利用できます。
開封率・CTRなどの測定やセグメント配信ができるので、低コストでメールマーケティングを始めたい企業に向いています。
一方、MAツールはメールマーケティングを含めたマーケティング施策全般を一元的に管理します。
定期的なメルマガ配信などをすでに行っている企業であれば、MAツールの導入によりさまざまなメリットが得られます。たとえば以下が挙げられます。
メール施策と他の施策を一元管理して、「ホットリード」を抽出
メールのCTRだけで商談可能な「ホットリード」とみなすことは難しいですが、見込み客が「ウェビナーに参加」「Webサイトの製品価格を閲覧」などの履歴が蓄積されればホットリードとなります。
MAによりマーケティング施策を強力に進めることができます。
メルマガ配信のリストとなるデータのクレンジング
同じ人に2通のメールが届く重複配信は最も避けたいことですが、会社名や名前の表記ゆれがあると異なるデータとして登録されてしまいます。
MAでは自動名寄せなどの機能でデータをクレンジングできるので、重複配信などのミスを防止し、正確な効果測定も可能になります。
参考:データクレンジングとは?マーケティング施策成功のために欠かせないデータクレンジングの手順
「Webサイトを訪れた人にメールを配信」など、多様なシナリオを設定し、自動化できる
セグメントメールやステップメールの配信のほか、「製品紹介動画を見たリードにメールを配信」など、シナリオを設定できます。複雑な分岐設定も自動化することが可能です。
シャノンのMAでは、ステップメールやセグメントメール、効果測定などを自動化し、他のマーケティング施策と合わせて一元管理 して、リードの商談化に貢献します。
シャノンで実践しているメールマーケティングのコツ
最後に、シャノンのマーケティングチームが実践してきた、メールマーケティングのコツを紹介します。
最初に示した「メール設計の見直しポイント」に沿って、ターゲットやメールの内容、タイミングの見直しで成果があった事例について紹介していきます。
メール配信対象を見直して、製品ウェビナー申込が185%増加
まず、シャノンが「製品ウェビナーの集客を185%アップ」できた事例を紹介します。
「製品ウェビナー」は、購入意欲が高い見込み客に対して製品を紹介する機会で、重要な施策です。
しかし、多くの人を集客するためにすべての見込み客リストに対して製品ウェビナーの案内を送信することは効果的な施策とはいえません。
興味・関心度の低い見込み客に送信しても効果がないだけでなく、敬遠されて配信停止される可能性もあります。
そこで、以下のような「セグメント」「タイミング」で製品ウェビナーのメールを送信していました。
関心ウェビナーとは、興味・関心がある見込み客向けに多くの人に役立つテーマで実施するウェビナーで、製品ウェビナーの前段階で実施します。
図のように、関心ウェビナーの翌日、参加者に対して製品ウェビナーの案内を送信していました。
この施策について見直し、冒頭でご紹介した3つのポイントのうち2つ、【誰に】【いつ】送信するかについて見直しを行い、以下を追加しました。
- 関心ウェビナーの見逃し配信視聴者に対して、製品ウェビナーの1週間前に製品ウェビナーのメールを配信
- 「過去のウェビナーに参加」「ホワイトペーパーのダウンロード」の履歴がある見込み客にメールを配信
さらに、直近の関心ウェビナー参加者へ翌日送信していたメールを当日に改めて、サンクスメールからアンケート、次回製品ウェビナーへの案内へと誘導する流れにしました。
これらの施策により、製品ウェビナーへの申込を185%増やすことができました。
メールの内容とタイミングを見直して、関心ウェビナーの集客を倍増
つぎに、「関心ウェビナーの集客」の事例です。
従来は、ほぼすべての見込み客に送信する一般的なメルマガで2週間前に告知する形でした。一般的なメルマガは、複数の情報を掲載するスタイルです。
この方法の【誰に】【何を】【いつ】を見直して、送信対象を絞り、かつメールの内容を関心ウェビナーのみに絞った「単独メール」と、さらに対象を絞り込んだ直前再案内の送信を追加しました。
それぞれのセグメントは、「1年以内にウェブアクセスあり」「ウェビナーのLPに着地履歴あり」です。
この施策の結果、セグメントメールから関心ウェビナーへの集客は全体の55%となりました。従来の方法の申込者の倍以上を獲得できたことになります。
目次ありorなしどちらのメールが効果的? A/Bテストで改善
メールのコンテンツやフォーマットについては、A/Bテストにより改善を重ねています。
たとえば、メルマガの冒頭に目次あり/なしを比較した結果、以下のように「目次あり」が優れていました。商材や業態によってメルマガが見られるポイントは違ってくるので、このようなテストは自社でメール配信をしながら少しずつ行っていく必要があります。
人気コンテンツの再送
メールのコンテンツを作成するには手間暇がかかります。人気のコンテンツは可能な限り再利用しましょう。
以下は人気があるメルマガのひとつ、ランキングメールです。
一般のメルマガは定期的に配信しています。新規に獲得した見込み客に対しては、登録のお礼メールなどを送信した後、次回からメルマガを定期配信するというのが一般の流れです。
ここに、新規に獲得した見込み客に対しては過去に人気があったメルマガを再送するというフローを追加します。
この施策により、新規見込み客のクリック率が290%増という成果を上げることができました。
まとめ
本稿のポイントは以下の5点です。
- 企業間のコミュニケーションには今もメールが主に使用されているので、BtoBではメールマーケティングが重要です。顧客が自ら検討する期間にコミュニケーションをとる役割があります。
- メールマーケティングには低コストで簡単に始められるメリットがありますが、成果を上げるまでコンテンツ制作を継続する難しさもあります。
- メールマーケティングではCTRやCVRをKPIに設定することがおすすめです。
- データのクレンジング、セグメントメールなどを自動化できるMAによってメールマーケティングを効率化でき、成果を上げやすくなります。
- メールのセグメント、送信する内容、送信するタイミングなどを見直して、施策を追加することにより、集客をアップさせることが可能です。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。以下にて豊富な機能をくわしくご紹介しております。
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