休眠顧客の掘り起こしはなぜ必要?おすすめのアプローチ方法を紹介!

休眠顧客とは、しばらく動きがない「休眠状態」の顧客のこと。
そして、「休眠顧客の掘り起こし」はマーケティング・営業活動のなかで重要な課題のひとつです。

「まったくニーズがない」のか、それとも「今後検討予定あり」なのかが不明なので、それを知るために効果的な施策を選ぶこと、時間をかけ過ぎず効率よく実施することがポイントになります。

今回は、休眠顧客の定義などの基本的なことを確認した後、休眠顧客を掘り起こす方法と成果を上げるポイントを解説し、後半ではシャノンが実施してきた掘り起こし策の事例を紹介します。

休眠顧客の掘り起こしに必要な機能とは?

休眠顧客とは? 顧客の種類もあわせて確認

休眠顧客とはどんな顧客か、休眠の期間はどれくらいかといった基本をまず確認します。見込み顧客、潜在顧客などの顧客の分類についても解説します。

休眠顧客とはどんな顧客?

休眠顧客とは、狭義では過去に取引があったが、その後一定期間取引がない顧客のことをいいます。

しかしBtoBビジネスでは、取引の履歴がなくても、過去に何らかのやり取りがあった見込み顧客であれば、休眠顧客ということが多いです。BtoBの休眠顧客には以下のような顧客が含まれます。

  • 過去に取引があった顧客
  • 商談まで進んだが失注した見込み顧客
  • 資料ダウンロード、ウェビナーへの参加などで興味を示したが、新たな動きがない見込み顧客

休眠顧客は、BtoBでは重要な集客チャネルのひとつ

BtoBでは顧客が企業なので、さまざまな組織の事情で休眠状態となることがあります。その一例として、以下のような状況が考えられます。

適切なタイミングでフォローすれば商談化する休眠顧客

たとえば担当者が特定のサービスについて調査するために情報を収集するしても、部署や上司にサービス導入の意思がなければ、休眠状態となります。しかし、しばらく経った後、上司の交代を機に検討を再開します。

BtoBではこのように、見込み顧客の事情が変化することが少なくありません。顧客に合わせた適切なタイミングで休眠顧客にアプローチできれば、商談化が期待できます。

どれくらいの休眠期間があれば休眠顧客か

休眠期間がどれくらい経過すれば休眠顧客とみなすかは業種やサービスによって違いますが、3か月~1年程度とされます。
購入頻度の高いBtoCの商品であれば3か月程度コンタクトがなければ休眠顧客とすることもあります。一方、BtoBでは休眠期間を長くとる傾向があります。

BtoBのサブスクリプションサービスを例にとると、休眠期間は6か月程度が一般的です。
たとえば、

  • 「商談まで進んだが受注できなかった」もしくは「取引が終了した」顧客でその後6か月間アクションがない
  • 見込み顧客リストで6か月間アクションがない

といった自社のルールを定めて、休眠顧客を規定します。

顕在顧客、潜在顧客、見込み顧客の違いと位置づけ

潜在顧客、見込み顧客など、顧客を表現する用語についても、意味の違いを合わせて確認しておきましょう。

既存顧客
現在取引がある顧客のこと。

見込み顧客
現在取引がないが、今後購入の可能性がある顧客全般のこと。見込み顧客のことを「リード」「見込み客」ともいいます。

潜在顧客、顕在顧客
「潜在顧客」とは、自社のサービスについて知らない、または、ニーズがあることを顧客自身が認識していない顧客のことをいいます。
これに対して、ニーズの認識があり、サービスについても認知している顧客を「顕在顧客」といいます。

参考:潜在顧客とは? 顕在顧客、見込み顧客との違いやアプローチ方法、企業事例を解説

休眠顧客を掘り起こすポイント

休眠顧客の掘り起こしはなぜ重要なのでしょうか。そのメリット、方法、成果を上げるポイントについて解説します。

休眠顧客の掘り起こしをするメリット

休眠顧客に再びアプローチすることは、以下のようなメリットがあります。

CACを下げられる
新規顧客開拓では、まず見込み客を獲得するためにWeb広告や展示会などにコストをかける必要があります。
一方、休眠顧客の掘り起こしの場合はすでに顧客情報があるため獲得のコストがかかりません。
休眠顧客から一定割合の受注があれば、全体のCAC(顧客獲得単価)を下げることができ、限られた予算のなかで成果を上げられます。

参考:CAC(顧客獲得単価)とは?LTVとの関係・改善方法・計算用テンプレートを紹介!

顧客理解を深められる
休眠顧客に対して再度コミュニケーションをとることで、休眠状態となった理由について知り、顧客についてより理解することができます。
得られた情報を新規の見込み客に対する中長期的な戦略に役立てることも可能です。

休眠顧客へアプローチする方法

休眠顧客の掘り起こしをするための方法として、以下があります。

メール
通常のメルマガのほか、休眠顧客として一定の条件でリストアップした対象へ向けて、特化した内容のメールを送付するという方法もあります。
メール施策はコストがかからずすぐに実施できますが、休眠顧客に見てもらえる可能性が低いという懸念があります。

ウェビナー
業界の課題解決をテーマとするウェビナーやセミナーは、休眠顧客復活のきっかけになる可能性がある施策といえます。
休眠顧客にウェビナーの情報を届ける手段としてはメールのほか、Web広告やDMも検討する必要があるでしょう。

DM
紙のダイレクトメールは担当者の手元に届くため目に留まりやすく、情報を見てもらえる可能性が高いことがメリットです。
印象的なデザインや質感でインパクトを与える、わかりやすい特典をつけるといった工夫もできます。
DM施策は他の方法よりもコストがかかるので、送付するターゲットを絞り込むことも大切です。

展示会やイベントの案内
展示会やイベントのように幅広く集客するイベントは、参加のハードルが低く、休眠顧客へのアプローチにも有効です。

電話
インサイドセールスから直接電話する方法は、休眠顧客の現状を知り、それに合わせたコミュニケーションをとれるため効果があります。
しかし、しばらく接点がなくて状況がわからない相手へ電話をかけることのリスクもあります。

休眠顧客に対しては、これらの方法を単独ではなくいくつか組み合わせて、自社のサービス・顧客に適したプランを立て、実行していきます。

休眠顧客掘り起こしで成果を上げるためのポイント

休眠顧客の掘り起こしを成功させるためのポイントとして、以下があります。

施策を効果的に組み合わせる
ひとつの施策を行うのではなく、DMでウェビナーの案内を送付し、その後に電話をかけるというように施策を組み合わせると有効です。

正確な履歴の蓄積と共有
休眠顧客へアプローチする場合、休眠にいたるまでの履歴が参考になります。
受注にいたらなかった顧客についても詳細なコミュニケーションの履歴を残し、マーケティング・インサイドセールス・営業などの複数の担当者が共有できるよう顧客データを整備することが大事です。

単発で終わらせず定期的に行う
休眠顧客へのアプローチは現在進行している意欲の高い見込み客への対応よりは優先順位が低いですが、単発で行うのではなく、一般の見込み顧客施策などと並行して定期的に実施できるよう計画を立て、実行します。

MAとSFA/CRMなどの連携が重要
営業部門でSFAなどにより管理する商談の履歴、CRMに蓄積される取引履歴をもとに、休眠顧客がリストアップされます。
したがって、SFAやCRMとマーケティング部門の連携が重要です。
MAとSFA/CRMなどのツールが連携していれば、休眠顧客の管理がスムーズになります。

以下の記事でも失注後に再度商談化する事例を紹介しています。
参考:MA(マーケティングオートメーション)のリード管理とSFAの案件管理。成果を最大化する連携とは

休眠顧客を理解し、掘り起こすためにMAが有効

休眠顧客へのアプローチには、MA(マーケティングオートメーション)が有効です。理由として、以下が挙げられます。

正確で詳細なデータを蓄積・連携
休眠顧客へのアプローチに欠かせない顧客の情報を正確に残し、適切に管理していくためにMAツールが有効です。
担当者がどんなメルマガを読み、どんな資料を入手したかなどの詳細な情報も参考になります。

休眠顧客のセグメントがしやすい
顧客の情報をもとに、優先してアプローチしたい休眠顧客をセグメントできます。
たとえば、DMを送付して効果が高いと期待ができる管理職層をセグメントして絞り込むことも容易です。

Webトラッキングができる
MAはリードのWeb閲覧履歴をトラッキングできます。
この機能により、長らく休眠状態だった見込み顧客の状況が変化したとき、「検索からWebページを閲覧した」といった履歴がわかります。
リアルタイムのアラートを設定することも可能です。

各種の施策を効率化できる
上記のなかにはMAがなくてもできる作業もあります。しかし、MAを導入することにより、多岐にわたる作業を大幅に効率化できます。

事例で紹介! 休眠顧客を掘り起こす具体策

シャノンの実績から、休眠顧客へのアプローチの具体例をいくつかご紹介します。

DMを送付した後、電話でフォロー

休眠顧客へアプローチする施策のなかで、インサイドセールスからの電話は有効な方法です。
しかし、休眠状態の顧客に対していきなりコールすると、相手は企業名やサービス名を名乗られてもとっさに思い出せないこともあるでしょう。

まず、休眠顧客に自社サービスをしっかり思い出してもらうために、直接手元に届くDMが有効です。
シャノンでは、以下のような「A4サイズ・カラー」のDMを制作しています。

DMの内容は、サービスを活用している企業の事例です。

DMを活用した休眠顧客へのアプローチ
取り上げている顧客のベンカン様は、BtoBマーケティングへのMA活用を成功させていますが、シャノンのMAを一度解約したことがある元・休眠顧客でもあります。

このようなDMを送付することにより、休眠顧客はわかりやすいビジュアルにより、サービスについて記憶を新たにできます。

その後、インサイドセールスによる電話フォローを実施します。結果は以下の通りです。

DM送付後のアポイント実績

社内調査のデータではありますが、一般的な電話によるアポイント獲得率が1~3%であるのに対して、DM送付後のアポイント率は12%と、4倍の成果が得られました。

参考:ダイレクトメール(DM)とは?効果を高める方法や成功事例を紹介
参考:インサイドセールスの役割とは?導入のメリットと手順、応答率を上げるコツも紹介!

MAでウェブアクセスを検知し、すぐにフォロー

以下は、前半で紹介したのとほぼ同じスライドです。

ウェブアクセスをMAで検知し、フォローする

「休眠顧客の状況の変化をタイミングよくフォローする」と紹介しましたが、「どうやって?」と思った方もいるのではないでしょうか。
休眠顧客の変化に対して常にタイミングよく電話やDMを届けられるとは限りません。

ここでMAのWebトラッキング機能が有効です。
MAでは休眠顧客が自社のWebサイトにアクセスがあったことを検知でき、アラート設定もできるので、「休眠顧客の状況の変化」のタイミングを逃さずにフォローすることができます。

また、営業の商談が停滞して休眠に近い状態となったときにも、Webアクセスを手掛かりにして顧客の変化をキャッチできます。

営業が名刺交換した顧客の状況の変化をキャッチ

ロストした顧客をフォロー

買い替え、解約などでロストした顧客も休眠顧客です。しばらくの間は動きがないですが、競合他社のサービスに不満足だった場合など、再契約の見込みがないわけではありません。

そこで、以下のようなフォロー施策を行います。

ロストした顧客のフォロー

1年ごとに契約を更新するサブスクリプションサービスの場合、8か月くらい経った頃には費用対効果を見直して、次の契約更新を検討します。このタイミングを逃さずフォローするよう担当者に通知します。
自動通知設定はMAのシナリオ機能を設定します。

以下の記事ではシナリオ機能について解説し、休眠リードのなかで購買意欲がある顧客を見つける少し複雑なシナリオ設定も紹介しています。
参考:MAのシナリオ機能とは?シナリオを作成するメリット、手順、シャノンが実践しているシナリオ事例も多数紹介!

まとめ

本稿のポイントは以下の4点です。

1. 休眠顧客とは、過去に取引があったがその後一定期間取引がない顧客のことです。BtoBマーケティングでは商談まで進んだが契約できなかった顧客、新たな動きがない見込み顧客なども休眠顧客と呼びます。

2. 休眠顧客の掘り起こしをするメリットは以下です。

  • CACを下げられる
  • 顧客理解を深められる

3. 休眠顧客へアプローチする方法は以下です。

  • メール
  • ウェビナー
  • DM
  • 展示会やイベントの案内
  • 電話

4. 休眠顧客掘り起こしで成果を上げるためのポイントは以下です。

  • 施策を効果的に組み合わせる
  • 正確な履歴の蓄積と共有
  • 単発で終わらせず定期的に行う
  • MAとSFA/CRMなどの連携が重要

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。以下にて豊富な機能をくわしくご紹介しております。
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