「インサイドセールス」の役割はどこまで広がる?フィールドセールスやマーケティング部門との分業のあるべき姿とは

f:id:shanon_marketing:20210824140114p:plain インサイドセールスとは、顧客を訪問することなく、電話やメールを主な手段としてセールスを行う業務です。 これに対して、顧客と対面で商談や価格交渉を行う業務はフィールドセールスといいます。

2019年のセールスフォースの調査では、企業規模にかかわらず「インサイドセールスを知っている」と回答した人は日本で約3割、「インサイドセールスを導入している」企業は1割程度となっています。

しかし、2020年以降コロナ禍で対面の営業活動が難しくなり、インサイドセールスに注目が集まっています。 具体的には、営業部のなかにインサイドセールスチームを立ち上げたり、インサイドセールスを外注していた企業が内製化を検討したりといった動きがあります。

自社でインサイドセールス部門を持つべきか? マーケティング部門やフィールドセールス部門との連携や分業はどうあるべきなのか? 今回は、こうした疑問にお答えします。

インサイドセールスとはどんな仕事? 今後の営業の主流となるのか

インサイドセールスとはどんな業務でしょうか。インサイドセールス自体も、フィールドセールスとの分業の在り方にも変化が生じています。その最新事情についてご紹介します。

インサイドセールスの主な業務は、顧客の「関心の引き上げ」

インサイドセールスは、元は国土が広いアメリカで、直接訪問できない顧客に対して電話でコミュニケーションをとる業務として始まりました。 一方日本では、昭和の時代から電話応対を請け負う「電話代行」会社があり、その後、営業のアポイントをとる「テレアポ」という業務が生まれました。

このため、インサイドセールスというと、「テレアポの外注」を思い浮かべる世代の人もいます。しかし本来のインサイドセールスは違います。

インサイドセールスは、電話やメールで連絡をとり、見込み客とコミュニケーションをとります。 その業務内容は多岐にわたります。

  • 関心の度合いにより見込み客に優先順位をつける
  • 見込み客のニーズをヒアリングする
  • ニーズに合う商品/サービスについて情報を提供する
  • 見込み客の課題に対して解決策を提案する
  • フィールドセールスが商談するためのアポイントをとる

以上のような業務全体に通じるインサイドセールスの大きな目的は「購入意欲の引き上げ」です。

つまり、マーケティング部門のリードナーチャリングと同じ役割を担当しています。 そして、会話の流れ次第でセールスも行うことがあります。長くて十数分程度の電話の会話のなかで最大限の成果を引き出せるよう、インサイドセールスには臨機応変な対応が求められています。

アウトソーシング、それとも内製化? インサイドセールスの位置づけは企業によってさまざま

近年まで、日本の多くの企業で営業部門は「フィールドセールス」のみでした。 しかしリモート移行の今、インサイドセールスをはじめようとしている企業は増えています。 既存の営業部門の一部がインサイドに転換するか、マーケディングの一部に設置するか、それとも外注するか。位置づけはさまざまです。

以下で、インサイドセールスの現状を表にしています。

企業によって違うインサイドセールスの現状
FS:フィールドセールス、IS:インサイドセールス
営業部門はFSのみ日本では今も大半の企業がこの状況にある。
営業=フィールドセールスという固定概念は今もあるが、今後は変化していくと予測される。
FS、ISの2つの部門を別個に設置フィールドセールス部門、インサイドセールス部門を設置。
マーケティング部門も合わせた3部門の役割分担を明確にして分業を確立させている企業が、増えてきている。
社内の営業部門はFSのみ、ISを外注インサイドセールスを本格導入する前段階として、外注からはじめる企業も多い。
インサイドセールスを請け負う専門会社も従来のテレアポ専業からリードナーチャリングまでバリエーションが増えている。
営業部門の一部にISチームを置く営業部門の担当者の往訪が難しくなったことを機に、インサイドセールスのノウハウを取り入れようとしている企業もある。
フィールドセールスの人員がインサイドセールスを兼ねていることもある。
マーケティング部門の一部にISチームを置く(※)インサイドセールスはリードナーチャリングなどのマーケティング要素も求められるので、マーケティング部門内からインサイドセールスをスタートさせようとする企業もある。
営業部門はISのみフィールドセールスを排し、営業部門は「インサイドセールスのみ」という先進的な企業もある。今後は増えていくと見込まれる。

(※)インサイドセールスを営業部門・マーケティング部門のどちらに近く位置づけるかは企業によって分かれます。 営業部門寄りに位置づけられることが多いインサイドセールスですが、マーケティング部門寄りに位置づける形も十分有効に機能します。これについては次のセクションで詳しく解説します。

このように、インサイドセールスをどう自社で位置づけて推進していくか、企業の取り組みはさまざまです。 上記のうち外注と内製、2つのスタイルでインサイドセールスを展開する組織も少なくありません。

シャノンの例をご紹介すると、もともとマーケティング部門のなかにインサイドセールスチームがいましたが、2020年からウェビナー参加者のフォローで外注のインサイドセールスも活用しています。 これにより、内製のインサイドセールスは比較・検討フェーズのリードの引き上げに注力することができるようになりました。

内製と外注を組み合わせたインサイドセールス

企業によって商品/サービス、顧客の事情、今まで受け継がれてきた企業文化などが異なるので、 ただちにインサイドセールスを取り入れるのがすべて正解というわけではありませんが、ご参考ください。

全体の傾向としては、インサイドセールスの役割が認知され、拡大していくとみられます。

インサイドセールス部門立ち上げの課題は「人材」

企業がインサイドセールスを強化したいと考えるとき、最大の課題は人材の確保です。 インサイドセールスの主な業務は、顧客の「関心の引き上げ」で述べたように、インサイドセールスは、マーケティングと営業両方の知識が求められ、かつ非対面・短時間でのコミュニケーションの瞬発力も必要な専門職です。 しかし、まだ日本では歴史の浅い職種なので、インサイドセールスに熟練した人材は少ないのが現状です。

中途採用市場では、先進的なインサイドセールスを推進してきた代行企業の熟練スタッフ、海外営業部門でインサイドセールス経験を積んできた担当者などがあてはまりますが、まだまだ人材が不足しています。コストをかけて自社でインサイドセールス人材を育成することも必要となっています。

企業は

  • 営業部門やマーケティング部門から適材を探して、自社でインサイドセールス人員を育成
  • インサイドセールス経験者を中途採用
  • インサイドセールス部門の派遣スタッフを自社で採用

など、あらゆる手段をつかい、人材を確保していく必要があります。

インサイドセールス/フィールドセールス、マーケティング部門のあるべき姿とは

一般的な企業にはフィールドセールスをメインとする営業部門とマーケティング部門があります。 そこへ新規にインサイドセールスを導入するときにどのような形を目指すべきでしょうか。 マーケティングと営業の分業体制の、次世代に通用する姿を考えます。

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの各部門が独立しながら連携することが理想

インサイドセールスの位置づけは、現状では企業によってさまざまです。 しかし今後の方向性としては、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスのそれぞれに人員を配置して独立した部門とし、かつ、3つの部門が常に連携しながら動くという理想形に、徐々に近づいていくと考えられます。

分業と専門化

3つの部門を独立させるべき最大の理由は、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスそれぞれの業務のスキルが専門化していることです。 対見込み客、対顧客のコミュニケーションということで業務の共通点は多いですが、担当する購買フェーズが異なるそれぞれの職種で求められるスキルは違います。

そして、専門スキルを持った人員がそれぞれの業務に特化し、かつ、成果を連携することで全体の生産性が向上します。

しかし前述したように、企業それぞれの環境や条件は違うので、「スキルの専門化と分業が必要」という事実をふまえつつ、自社に適した体制を模索していくことになるでしょう。

マーケティング部門でインサイドセールスを運用する形も有効

シャノンでは、マーケティング部門のなかでインサイドセールスを運用していく方法を採用しています。 なぜなら、インサイドセールスの対象には中長期的なフォローが必要な顧客が多いからです。

そうした顧客に対して、インサイドセールスは「見込み客の興味・関心を引き上げて、商談可能になったら営業に引き渡す」という、マーケティング部門と同じ役割を果たします。 マーケティング部門との違いは、インサイドセールス担当者は主に電話やメールで見込み客と直接コンタクトをとる、という点です。

MAツール活用により、インサイドセールスの生産性向上を図る

マーケティング部門でインサイドセールスを運用する形も有効で述べたように、インサイドセールスにはマーケティング部門と似た役割が求められます。 インサイドセールスはどのようにマーケティング部門の情報を活用できるのかについて、ご紹介します。

インサイドセールスの成果を上げるため、MAツールのデータを最大限に活用

インサイドセールス担当者にとって、テレマーケティングを実施する前にできるだけ多くの情報を事前に入手して準備することが大切です。 したがって、MAツールから得られる情報はきわめて重要です。

電話をかける事前準備として、リードの「Webアクセスログ」「メルマガの開封履歴」などを詳細に見ることで、見込み客の興味・関心がどんな方向に向いているのかを推測できます。

その他にチェックしておきたいのが流入元の情報です。 リードが自社LPに到達したのは、「Google検索から」「広告表示から」「SNSから」などのうちどれなのか、MAツールで情報を得て、リードがLPを閲覧した背景をうかがい知ることができます。

流入元情報を紐づけてMAで管理

シャノンのMAツール「マーケティングプラットフォーム」では、見込み客のアクセスログに流入元情報を紐づけて管理できるので、インサイドセールスにも有効です。

流入元情報を紐づけてMAで管理_2

インサイドセールス業務もフォローできるツールがおすすめ

MAツールをこれから導入するのであれば、インサイドセールスにも活用することを視野に入れて検討することがおすすめです。

インサイドセールスをSFAで管理する場合、インサイドセールス部門の電話ヒアリングやメールへの履歴が蓄積され、フィールドセールスにとって有効な情報となります。 一方、インサイドセールスをMAで管理する場合、MAツールで蓄積された情報がインサイドセールス担当者自身に役立ちます。 どちらを重視するかは、企業それぞれの判断となります。

シャノンのMAツール「マーケティングプラットフォーム」では、インサイドセールスの業務もフォローし、情報を一元管理することができます。

リードの情報がすべて紐づく

インサイドセールス担当者がMAのデータを活用しやすいことはもちろん、架電記録を残すこと、アポイント獲得実績の管理などの、インサイドセールスの業務に必要な機能を備えています。また、フィールドセールスにホットリードをパスする際に、MAに蓄積された情報を共有しておくと連携がスムーズです。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

  1. インサイドセールスを本格運用している企業はまだ少なく、外注したりフィールドセールスが兼ねていたりと位置づけはさまざまです。

  2. インサイドセールスは今後拡大していくとみられ、企業にとっては人材の確保が重要です。

  3. マーケティング部門とフィールドセールス、インサイドセールスをそれぞれ確立させ、かつ連携する体制が望まれます。インサイドセールスをマーケティング部門の近くに置き、MAの情報を活用することもおすすめです。