マーケティング手法のひとつ、「メルマガ」。 古くからある方法ですが、BtoBマーケティングの分野では、今も有力な販促手段です。
メルマガをうまく活用できれば、マーケティング全体の成果も上がります。 しかし一方で「迷惑メール」になってしまうと、マイナスの効果をもたらしてしまうこともあります。
今回は、BtoBマーケティングの主要な手段であるメルマガに着目し、開封率を上げる7つの方法を、シャノンで検証したデータもまじえてご紹介します。
BtoBマーケティングにおけるメールの重要性と開封率
メルマガは、BtoCの分野では主流ではなくなりつつあります。一般消費者は日常的なコミュニケーションの手段として個人メールアドレスを使用しなくなってきたからです。 しかし、BtoBマーケティングにおいては現在も主要な手法のひとつです。
最初に、BtoBマーケティングにおけるメルマガの重要性と開封率について簡単に述べていきます。
BtoBマーケティングで「メルマガ」が有効な4つの理由
BtoBマーケティングではメルマガが今も有力な販促の手段です。その理由は以下の通りです。
メールは企業担当者の主要なコミュニケーションツールである
企業担当者にとって外部とのコミュニケーションツールはメールが主流で、毎日一定の時間をメールチェックに充てることが一般的です。
少なくともメールのタイトルが相手に読まれる可能性が高い「メルマガ」は、マーケティングの手段として非常に有効です。
長期的なフォローに適している
BtoBでは商材の認知から購入までの期間が長く、1年以上ということもあります。
今すぐ購入する意思がなくても、今後購入する可能性がある場合、企業担当者はその商材に関する情報を入手し続けたいと考えるでしょう。そんな担当者にとって、定期的に情報が届くメルマガは有効です。
状況が変化して具体的に購入を検討する段階となるまで、見込み客をつなぎとめておくことができます。
効果が測定しやすい
メールマガジンはHTML形式にすることで開封率を計測できます。定期的に配信するメールの開封率は、BtoBマーケティングのKPI(指標)として有効です。
さらに、メール本文内に記載した各URLのクリック数など 詳細な履歴も残せます。企業担当者はメルマガ配信を停止することができるので、見込みの少ないリードの除外にも役立ちます。
適切なセグメントにより、見込み客が必要としている情報に絞り込んで届けることができる
メルマガで心配なのは「迷惑メールにならないかどうか」という点ですが、適切なセグメントによりその可能性を下げることができます。
- 購入意欲の高い見込み客に対しては具体的な商材についてのメール
- 興味・関心フェーズの見込み客に対しては導入事例などの参考になる情報
- 今のところ購入の意思があまりない相手に対してはメルマガの頻度を下げる
といったメールマーケティングは、MAツールを使用することで効率よく運用することができます。
MAツールについては、こちらの記事「リードジェネレーションとは?見込み客獲得に有効なMA(マーケティングオートメーション)のはじめかた」をご覧ください。
メルマガの開封率はどれくらい?KPIの設定方法は?
BtoBのメルマガの開封率はどれくらいでしょうか。
ターゲットとする企業や商材によって差がありますが、一般的には10%~20%といわれています。
開封率の絶対値が高ければいいというわけではなく、マーケティングの成果として「商談」や「成約」の数を増やすために、開封率を指標として活用することが大切です。
メルマガの開封率は、BtoBマーケティングの指標として有効で、KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)として活用されます。たとえば以下のように設定します。
- 現在のメルマガ開封率が10%→KPI:15%
また、見込み客(リード)を興味関心の度合いで分類し、1to1マーケティングを行う場合は、
- 購入意欲の高いリード:25%
- 興味・関心を示している段階のリード:20%
- 購入意欲の低いリード:10%
のように、ターゲット別に開封率KPIを設定することもあります。
メールの開封率を上げる7つの方法
シャノンのマーケティングチームでもメルマガを配信しています。 チームメンバーが今までの経験から「これは効果があった」と実感している、開封率を上げる7つの方法をご紹介します。
1. ターゲットを絞り込み、必要な情報だけを届ける
メールを受け取る側にとって、最も迷惑なのは「興味のないメール」がくること。 それを回避するためには、メールを送るターゲットを属性や購入意欲の度合いで絞り込み、相手が必要とする情報だけを届けることが有効です。 以下は、タ-ゲットごとに異なるメールを配信する一例です。
セグメント別メール配信例
リードの分類 | リードの状況 | 配信するメールの内容 |
ホットリード | セミナー/ウェビナー参加や資料ダウンロードなどの履歴があり購買意欲が高い |
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ウォームリード | Webアクセス履歴など、ある程度の関心・興味がある |
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コールドリード | 一定期間Webアクセスのない休眠状態 | メールの配信頻度を下げて、一般的なメルマガを配信 |
セグメント別のメール配信はメルマガの開封率を上げるために効果的ですが、難しさもあります。
たとえば、正確な分類の前提となる、精度の高いリードデータが不可欠です。そのため、日頃から名寄せやデータクレンジングを行う必要があります。
そのうえで 、ターゲットごとにどんなメールを配信するのかを決め、それぞれの原稿を用意し、スケジューリング通りに進めていきます。
このように手間と時間を要する1to1マーケティングをスムーズに実行するには、リードデータの履歴を一元管理しながら、自動名寄せやメルマガ作成支援機能も活用できる、MAツールが有効です。
2. メールで一番重要なのは「タイトル」
シャノンのマーケティングチームではメルマガのタイトルを重視しています。
毎回、20~30ほどの候補を挙げ、最もよいタイトルを決定します。
よいと思われるタイトル候補が2つ残り、どちらも捨てがたいといった場合はA/Bテストを実施することもあります。
A/Bテストとは、AとBの2パターンを同時に行うこと。この場合でいえば、リードリストの半分にはタイトルA、もう半分にはタイトルBでメルマガを配信し、結果を比較します。
メルマガのタイトルを決めるときに気をつけたい点は以下の通りです。
メルマガのタイトル付けのポイント
- 何が書いてあるメルマガなのか、具体的にわかるようなタイトルにする
- タイトルの文字数は30文字前後
- タイトルに数字が入っているとわかりやすい
- ありきたりなワードや言い回しは避ける
- ビジネスメールなので「!」や「?」を多用しない
3. メールの差出人を明記し、ときには使い分ける
BtoBのメルマガでは、信頼できる送信元であることを明示する必要があります。 メール本文の署名欄に差出人の会社名・所属部署・担当者名・連絡先を明示することはもちろん、受信メール一覧の送信元に表示される差出人名にも会社名や商材名が明記されるようにしましょう。
また、差出人名はあまり変更せず、同じ発信元名を継続して使用します。 ただし、内容によって使い分けをすることは可能です。
シャノンでは、
- 一般的なメルマガの発信元は「シャノンマーケティング部」
- ウェビナーの案内とそれに関連する情報は「シャノンウェビナー運営局」
という2つの送信元からメールを配信しています。
4. 重要な情報を届ける場面で「1to1メール」を効果的に使う
一般的なメールマガジンを配信しつつ、「いつもより重要なご案内」をリードに届けたいとき限定で、異なる仕様のメールを配信することで効果を上げることもできます。いわば「1to1メール」といったスタイルです。
シャノンのマーケティングチームではたとえば、「ウェブセミナーのご案内」といったメールを、普段のメルマガとは違う仕様で送信します。
送信者はシャノンのウェビナー登壇者。登壇者が特定のリードに、「次回のウェブセミナーは××様の状況に適した内容となっているので、ぜひご検討ください」という内容のメールを送信します。名実ともに「1to1」の仕様です。

このようなメールは開封率が高く、一般のメルマガと1to1メールと比較すると、1to1メールのほうが参加CVRが高いという有意の結果が得られています。
ただ、この手法はひとつの機会について1回限りしか使用できないので、タイミングを計って実施する必要があります。
5. ファーストビューで表示される「目次」は有効
メールマガジンでは2~3つ程度の複数のトピックを扱うことも多いです。
このようなメルマガで、ファーストビュー(最初に見える冒頭部分)に目次をつける場合と、目次なしで1つ目のトピックから始まるメールの2パターンでは、どちらのほうが開封率が高いでしょうか。
シャノンではこの2タイプのメールでA/Bテストを実施しました。 結果は、ファーストビューに目次があるメルマガの方が、CV率4倍、クリック率1.6倍。 2つめ・3つめのトピックを読んでもらうために、メール冒頭の「目次」は有効という結果でした。

6. メールを配信する「曜日」と「時間帯」は?
メルマガの開封率と、配信する曜日や時間帯との関係はよく話題になります。
まず曜日についてですが、一般的に月曜日と金曜日は開封率が低くなります。特に金曜日は多くの人が公私とも忙しく、メルマガの反応は悪いという結果がシャノンでも確認されています。
シャノンでは週2回メルマガを配信しておりますので、月曜日、金曜日を除外した火曜日と木曜日に配信するようにしています。
次に時間帯はどうでしょうか。 メルマガを開封する可能性が高いのは、以下の時間帯です。
8:30~10:00頃
仕事の始まりに朝のメールチェックをする8:30~10:00くらいまでの時間は離席することも少なく、メールが読まれる可能性が高い時間帯です。
13:00頃
ランチタイムが終わる13:00ごろもメールを見る可能性が高い時間帯です。
ただし、メルマガを大量に配信するときはシステムの都合上、時間がかかることもあります。最適な時間帯から外れることなくメールを届けるためには、メール送信にかかる所要時間をチェックしてスケジューリングしましょう。
7. 「このメルマガを読んで損はない」と思わせる、優良なコンテンツを提供
最後に、質の高いコンテンツを継続して提供し続けることが重要、ということを改めて確認します。 優良なコンテンツを提供し続けるため、以下のようなポイントを意識しましょう。
誤字脱字がなく読みやすい文章
誤字脱字はNGです。したがって、メルマガ原稿の誤字脱字や内容の間違いがないかどうかの第三者チェックがとても重要です。
また、文章がわかりやすく読みやすいことも不可欠です。書くことが苦手な方は、できるだけ難しい言葉を使わず、はじめて読む人にも伝わる「わかりやすさ」に重点をおいて執筆してみるのもひとつの方法です。
不要なコンテンツを送信しない
「役に立つコンテンツを届ける」ための前提として意識しておきたいことが、「リードにとって不要なコンテンツを送信しない」ということです。
たとえば、1to1マーケティングで絞り込んだリードに対して送信するメール原稿を用意するにあたり、「情報量が多いほうがいいかもしれない」と考えて、他のリードのために用意した情報も追加してしまうようなことです。
役立つ情報と不要な情報とが混在すると、リードはその見極めに負担を感じてしまいます。「過不足のない情報提供」が最も効果的です。
「調査レポート」のような、他で入手できないコンテンツを提供
他では入手できない、オリジナリティの高い情報を提供することに価値があります。
たとえば、「自社のマーケティングチームがメールを配信した結果、企業担当者は何曜日、何時頃に反応が高かったのか。」 といったレポートは、マーケティングチームであれば作成することができ、BtoB企業にとっては関心が高いと思われます。
また、セミナー/ウェビナーのレポートも有効です。セミナー/ウェビナーの開催状況をレポートするだけでなく、「参加者アンケートから見えてきた、多くのお客様の困り事とは」「セミナー/ウェビナーの書きおこしレポートがダウンロード可能」というように、役立ちそうなコンテンツは数回に分けて提供していくことがおすすめです。
書き出しで時事的な話題と結びつけるなど、多様な切り口で見せる
多くのリードの興味・関心を引くという観点から、時事的あるいは普遍的な話題を取り入れることも有効です。ただし、メール本文の内容に合った話題を選びましょう。
たとえば現在なら企業のリモートワーク、インサイドセールスなどが話題となっているので、メールの内容にリンクできそうであれば、導入の文章で時事的なワードを取り入れることも効果的です。
また、普遍的な話題を取り入れるという手法もあります。たとえば「SDGs」です。「BtoB企業がSDGsにどう取り組むか」といった、多くの企業に共通する課題に言及することも有効です。
継続性が重要
メルマガは、「毎週火曜日の朝9時に配信」といった一定のルールのもと、定期的な配信を継続していくことが大切です。同じタイミングで継続的に配信することにより、受信する側の認知度も高まります。
まとめ
本稿のポイントは以下の2点です。
1. メルマガの開封率はBtoBの場合、10~20%です。開封率をKPIとして、数値目標を立ててメルマガ運用をしていくことが一般的です。
2. メルマガの開封率を上げるため、以下のような7つの方法が有効です。
- ターゲットを絞る
- メールの内容に合ったタイトルを工夫してつける
- 差出人を明記する
- 特に重要なメールは「1to1メール」のように、スタイルを変えて送信する
- ファーストビューに目次を入れることは有効
- 曜日は火・木、時間帯は朝または13時頃が効果的
- 優良なコンテンツを提供する
メルマガの開封率を上げる上記7つの方法を実践するには、配信だけではなく結果の分析も必要です。
シャノンのマーケティングオートメーションは、メールの配信対象を柔軟に設定し、HTMLメールをクリック/ドロップのマウス操作で簡単に作成することができます。
さらに、配信後はメールの開封率、クリック率、停止率だけではなく、それぞれのURLを誰が/何人クリックしているかまで確認することが可能です。
製品資料ではメールのほかにもさまざまな機能をわかりやすくご紹介しておりますので、情報収集されているかたはぜひ資料をダウンロードください。
