ABテストとは?メリットやおすすめツール、具体的な事例を紹介!

ABテストとは、WebページなどでA案とB案を試して、どちらのほうが効果があるかテストすることです。

まず実際の例を見てみましょう。
以下はシャノンの製品を紹介するTOPページです。

最も目立つ場所に設置したボタンから、Aは資料請求へ、Bは製品紹介ページへと遷移します。

ABテストの一例

AとB、どちらのボタンがより押されたでしょうか。結果は「A案の方が265%高い」というものでした。詳細については本文中でご紹介します。

今回は、これからABテストを始める方にもわかりやすく、目的や手順、成果を上げるためのポイントを解説します。

また、ABテストをすでに実施している人にとっては、2023年9月にGoogleオプティマイズが終了することが発表され、代わりのABテストツールを探すことも急務です。後半では代わりのツール候補、シャノンのABテスト事例なども紹介します。

リードが長らく商談化しない

ABテストとは何? なぜ活用されているのか

ABテストとは何か、実施する目的やメリット・デメリットなどを確認します。

ABテストとは?

ABテストとは、WebページやWeb広告で、A案とB案を同時に配信し、効果があった方を採用するテストです。

AとBの2つの案をテストすることが多いためABテストと呼びますが、3案、あるいはそれ以上を同時に比較することもあります。3パターン以上を同時にテストすることを多変量テストといいます。

ABテストで成果を上げた事例として、オバマ大統領が6000万ドルもの寄付金を集めたWebサイトが有名です。このときは、メインビジュアルやボタンの組み合わせで24パターンを用意してテストしました。

その結果、以下が採用されたそうです。

アメリカ大統領選でも実施されたABテスト

出典:https://www.optimizely.com/insights/blog/how-obama-raised-60-million-by-running-a-simple-experiment/

ABテストの目的

ABテストの目的は、集客、CV(コンバージョン)などの数値を上げることです。

運用中のWebサイトのCVが思わしくないとき、Webサイトを修正しようとします。具体的には、キャッチコピーやメインビジュアル、サイト導線などのリニューアルを検討します。
ここでWebサイト運営チームが、現行のWebサイトをA案とするとき、キャッチコピーを短く簡潔なものに変更したB案を提案したとします。

そこには、「短く簡潔なキャッチコピーの方がユーザーが離脱しにくく、CVが増えるのではないか」という仮説があります。
しかし、実際にB案へのリニューアルを実施した後、確実に集客力が上がるという保証はなく、リニューアル後に数値が下がってしまう可能性もゼロではありません。また、ページリニューアルで集客が10%増えるのか、200%増えるのか予測することも難しいです。

しかし、限定された対象と期間でABテストを行うことにより、A案とB案のどちらが効果的か、どの程度に違いがあるかについて、一定のエビデンスが得られます。

ここで冒頭のABテストの結果を紹介します。

TOPページのファーストビューでは、製品ページよりも資料請求への誘導が効果的

結果は、「A案の方が265%高い」というものでした。
このようなABテストの結果を踏まえて、Webページへの実装をしていきます。

ABテストのメリットとデメリット

ABテストのメリットとデメリットとして、以下が挙げられます。

ABテストのメリット

低コストで施策の改善ができる
ABテストはWebページなどの現状を一部変更して実施できます。
ABテストツールを使用することもありますが、それでも各種施策と比較して低コストといえます。限られた予算内で施策の改善ができる方法といえます。

シンプルで実行しやすい
ABテストは設定方法がシンプルで工数が少なく、実施しやすいこと、結果もわかりやすいことがメリットです。

リスクを最小限にできる
WebサイトやWeb広告など、一部でテストを実施して良い結果だけを残して継続していくので、大きな失敗をするリスクを避けることができます。

ABテストのデメリット

一定の母数が必要
ABテストで信頼できる結果を得るために、有意水準を5%に設定して母数が400以上といわれています。
また、WebサイトならPVが2000以上必要という目安もあります。したがって、作成したばかりで流入ユーザー数が少ないWebサイトには不向きです。

結果が狙い通り出ないこともある
ABテストの結果が明確に出る場合もあれば、正しく設定してもAとBに有意な差が認められないときもあります。
その場合は原因分析をふまえて再び仮説を立てて、テストを繰り返します。

ABテスト実施後の改善が適切に進まないことがある
ABテストを行うことはそれほど難しくはないのですが、得られた結果を反映させて次のステップに進むという改善のサイクルが順調に進まないことがあります。
事前にPDCAを含めた全体の計画を固めておくことが大切です。

ABテストの具体的な進め方と成果を上げるポイント

ABテストを実践する対象、手順、成果を上げるためのポイントを紹介します。

ABテストの対象

ABテストは以下のような対象に有効で、Webマーケティングにおいて幅広く活用できます。

Webサイト
Webサイトのレイアウト、ビジュアルなどについて、ひとつひとつABテストにより改善していくことができます。トップページや重要なページから始めます。

対象とする箇所 テストするポイント 計測値の例
ファーストビュー メインビジュアル、レイアウト、全体の色調など uu(ユニークユーザー)数、CTR、滞在時間
テキスト メインキャッチ、テキストの分量、表示内容 など
CTA、バナー 大きさ、色、位置、表示させる文言 など CTR(クリック率)

フォーム
購買・会員登録・資料ダウンロードなど、ユーザーのアクションを促すフォームを設置したページはCVに直結するため重要な部分です。

対象とする箇所 テストするポイント 計測値の例
フォーム 入力項目の数、入力の方法、フォーム画面に表示させる情報の内容と量、レイアウト など CVR(コンバージョン率)

Web広告
CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)が高く、より効果が高い広告のクリエイティブを見つけ出したいときも、ABテストが活用されています。

対象とする箇所 テストするポイント 計測値の例
広告 広告のビジュアル、キャッチコピー など CTR、CVR

メールマガジン
メールマガジンのABテストは通常のメール配信システムだけで実行できるので、他の対象よりも手軽です。
開封率やCTRを検証します。多くのメルマガのなかでユーザーの目に止まるために重要なタイトルは、特にABテストが有効な部分です。

対象とする箇所 テストするポイント 計測値の例
タイトル タイトルの内容、文言の長さ、表示方法 など 開封率、CTR、CVR
ファーストビュー メール上部のファーストビューに表示させるビジュアル、目次の有無など
内容 ワンテーマか複数のテーマか、など
発信者名 個人名を付記するか など

ABテストの進め方

ABテストは以下の流れで進めます。

課題を明確にする
「資料請求ページのコンバージョン率(CVR)を上げたい」「Web広告のクリック率(CTR)を上げたい」などの課題を明らかにします。
いくつかの改善点がある場合、まず最も検証したい1か所を選びます。

仮説を立てる
課題を解決するにはどんな改善をするべきか、仮説を立てます。

テストパターンを用意する
仮説にもとづいてAとB、あるいは3つ以上のテストパターンを用意します。

期間を決めてテストを実行する
期間を決めて、ABテストを実施します。

結果を検証する
ABテストの結果をもとに、改善を実施します。有意な結果が得られなかった場合は、その原因を分析し、再度仮説を立ててPDCAを回します。

ABテストで成果を上げるためのポイント

ABテストで着実に成果を上げるために、以下のようなポイントに留意しましょう。

実施する期間の目安は1~2週間
内容によっても違いますが、一般的なABテストの期間は短い場合では1~2週間実施することが多いです。
最大で1か月程度実施することもありますが、期間を延長すれば有意な結果が得られるというわけではないので注意しましょう。

計画的にABテストを繰り返す
ABテストは重要な項目から順番に、定期的に実施していき、細かい改善を重ねていくとともに、結果を蓄積することが大切です。
あらかじめ計画を立てて、「毎週ABテストを1件ずつ」など、コンスタントに実施することが理想的です。

テスト項目は1回に1つ
ABテスト1回につき、1か所をテストします。2か所以上を一度に変更すると、どのパターンがベストなのかわからなくなってしまいます。
ただしABテストに慣れてきて、かつ母数が確保できる場合、2か所を検証するときに4パターンを用意するといった多変量テストも可能です。

根拠を明確にして仮説を立てる
解像度の高い仮説を立てることが重要です。
そのためにはアクセス数などの現状分析のほか、ペルソナを明確にして、顧客視点に立って想像力を働かせることも大切です。

過去のABテストの事例を活用する
ABテストを繰り返してテータを集めることにより、自社固有の貴重なデータを蓄積して、好まれるカラーやビジュアル、レイアウトなどの傾向があればまとめていきます。
実績を活用することでさらにABテストの有意性が増します。

Googleオプティマイズに代わるABテストツール7選と、選び方のポイント

2023年9月にGoogleオプティマイズが終了するため、これに代わるABテストツールを検討している方も多いと思います。検討したいABテストツールと選び方のポイントを紹介します。

代表的なABテストツール7選

Google Optimizeが2023年9月に終了するため、多くの企業はそれに代わるツールを検討しています。
いくつかの代表的なABテストツールを紹介します。

まず世界でトップシェアを占めるのがAB Tasty、Optimizely、VWOの3つです。
GoogleがGoogleオプティマイズ終了後のサードパーティーとして公式に認めています。

■Optimizely
https://optimizely.gaprise.jp/
世界で最も利用されている、多機能なABテストツールです。
中級者以上向けなので、他のツールを使用していてさらに高度なテストを行いたい場合におすすめです。

■AB Tasty
https://abtasty.gaprise.jp/
フランスの会社が開発したツールで、専門知識がなくても利用しやすいテンプレート機能があります。

■VWO
https://www.assion.co.jp/lp/05b/
インドの企業が提供。ABテストを簡単に実施でき、他の機能も充実しています。

次に国産のツールをご紹介します。

■KAIZEN Platform
https://kaizenplatform.com/
専門知識がなくても操作でき、サポート体制も充実しています。

■Juicer
https://juicer.cc/
無料で利用できる機能が多く、導入しやすいサービスです。

■Rtoaster
https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/
操作が簡単で多機能。サポートも充実しています。

■DLPO
https://dlpo.jp/
国内での実績が高く、ABテストをはじめとするランディングページ最適化ツールです。

ABテストツールは機能が充実しているもの、単機能に近いシンプルなものなど様々です。自社の予算と使用目的をふまえて検討しましょう。

ABテストツールを選ぶポイント

ABテストツールを選ぶポイントとして、以下があります。

必要な機能があるか
自社で行いたいABテストを実施できる機能を備えているかが最も重要です。
ただし、多機能なツールで価格が高くなってしまうことも避けるべきで、必要な機能のみを提供しているツールがベストです。

操作性
分かりやすく簡単に操作できるツールかどうかを無料試用期間などで確かめる必要があります。

サポート体制
サポートやコンサルティング体制についても要チェックです。外資系のサービスの場合、日本語対応についても確認しましょう。

他のツールとの連携
自社で使用しているツールと連携可能がどうかもチェックポイントです。

シャノンが実施してきたABテストの事例を紹介!

最後に、シャノンが実践してきたABテストの事例をご紹介します。

WebサイトのABテスト事例

「ランディングページのキービジュアルがカルーセル vs 動画」

「ランディングページのキービジュアルがカルーセル vs 動画」では、動画のほうが効果がありました。

「LPのキービジュアルに概要あり vs 概要なし」

「LPのキービジュアルに概要あり vs 概要なし」では、Aのほうが440%申込率が高い結果となりました。
Aの枠で囲った部分には、「この資料でわかること」の要点を箇条書きにしています。

また、有意な違いがなかったテストもあります。
以下の「ウェビナーの紹介動画が上部 vs 下部」では、差異がありませんでした。

差分が見受けられなかったABテストの例

メールのABテスト事例

シャノンではメールについても多くのABテストを重ねてきました。
以下の「成功推し vs 失敗しない推し」では、どちらがよかったでしょうか。

メールタイトル「成功推し vs 失敗しない推し」

結果はBでした。
CTRはA、Bに違いはなかったのですが、CVRである申込率はBのほうが180%高いというはっきりした差異がありました。

以下は、ユーザーに呼びかけるタイトル、客観的に課題をとらえたタイトルのABテストです。
結果は「マーケリーダーに必要な」という文言が入ったAでした。

ユーザーに呼びかけるタイトル、客観的に課題をとらえたタイトルのABテスト

しかし一方で、似たような設定で結果が異なる、以下のような結果もありました。

メールタイトルのABテストは再検証が必要

このような結果になる原因は、「キャッチコピーの内容」によるものか、それとも単に「キャッチコピーの短さ」でしょうか。

こうした疑問をさらにABテストを重ねることで明らかにしていきます。
以下は、メルマガのABテストの実施と結果検証についてのショート動画です。

【検証】メルマガのタイトルは短いほうがいいの ?

【メルマガA/Bテスト結果共有】メールタイトルは成功押しか失敗押し、どちら が効果的?

また、ABテストの事例をご紹介したウェビナーがございます。

シャノンで実施しているABテストについて詳しく知りたいかたは、ウェビナー「シャノンが毎週実施しているA/Bテストの中から、厳選事例をご紹介」のアーカイブをご覧ください。

 

まとめ

本稿のポイントは以下の4点です。

1. ABテストとは、A案とB案を比較して、効果があった方を採用する方法です。WebサイトやWeb広告、メルマガなどの改善に有効です。2つの案だけでなく3つ以上の案もテストでき、その場合は「多変量テスト」といいます。

2. ABテストは以下のような対象に対して活用されています。

  • Webサイト
  • フォーム
  • Web広告
  • メルマガ

3. ABテストで成果を上げるポイントは以下です。

  • 実施する期間の目安は1~2週間
  • 計画的にABテストを繰り返す
  • テスト項目は1回に1つ
  • 根拠を明確にして仮説を立てる
  • 過去のABテストの事例を活用する

4.  Google Optimizeが2023年9月に終了してしまうため、企業はそれに代わるツールを検討する必要があります。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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