見込み客の属性「アトリビュート」とは?そのスコアリング方法と、マーケティング活用のアイディアを解説

MAのスコアリングでは「Webへのアクセス」「ウェビナー参加」などのリードの行動履歴を収集し、興味・関心の度合いが高ければ加点をしていきます。
行動履歴とならび、もうひとつスコアリングの要素となるのが「アトリビュート」です。

アトリビュート(attribute)とは「属性」のこと。
つまり、見込み客が所属する企業・部署・役職や、業種、地域などの情報です。

多くの項目があるアトリビュートのなかで、「どの項目にどの程度に加点すべきか」が課題です。

今回は、アトリビュートのスコアリング方法と、その成果をさらに活用するアイディアについて、シャノンの具体例をおりまぜながらご紹介します。

リードが長らく商談化しない

「アトリビュート」とは何か、その意味と重要性は?

アトリビュートとは具体的にはどんな項目か、なぜ重要なのか、についてみていきます。

アトリビュート(属性)の具体例

アトリビュートにはどんな種類があるでしょうか。以下はBtoBを想定したアトリビュートの具体例です。

企業の情報 企業の規模
  • 売上
  • 資本金
  • 従業員数
  • 上場区分

など

業種 製造業・建設業・IT関連企業 など
地域 首都圏や関西圏・それ以外 など
個人の情報 年齢 20代、30代……
所属部門 経理部・マーケティング部・営業部 など
役職 なし・マネージャー・課長・部長・社長 など/td>

企業の規模
大企業向けか、中小企業向けなのか。企業規模は、ある商材がその企業にフィットするかどうかに大きく関わる要素です。

また、企業が一定の規模以上であるほうが購入予算は大きいというシンプルなプラス要素もあります。

業種
「経理システム」のように、業種を問わない商材もあれば、「不動産管理システム」のように特定の業種向けの商材もあります。
その中間的な位置づけで、「どちらかといえば顧客はIT関連業種が多い」など一定の傾向がみられるという例も多くあります。

このようなときは特に細かく見ていく必要がある項目です。

地域
首都圏や関西圏に拠点がある企業では、顧客の地域分布にさまざまなパターンがありますが、一例として、「顧客は全国各地に分散」「顧客は大都市に多くそれ以外では少ない」などの傾向があるようです。

一方、地方に拠点がある企業では、「顧客は地元に限られる」「顧客は地元ではなく首都圏や海外」などのパターンが考えられます。

年齢
リードの年齢がもしわかれば、受注パターンとの比較から可能性を測ることができます。
ITツールなどの新しい商材であれば30代~40代くらい、それ以外の高額な商材では50代くらいなど、特定の年代の担当者が顧客となりやすい場合があります。

所属部門
商材が「MAツール」の場合、リードがマーケティング部門であれば有望、というように、担当者が所属する部門の属性も重要です。

役職・職種
購入を決定できる社長、担当部門長などであれば可能性が高くなります。
また「MAツール」が商材の場合、専門性の高いマーケティング部門の担当者であることも重要な要素です。

アトリビュートからわかるのは「ニーズ」と「決裁権」

上の表でアトリビュートは、「企業の情報」と「個人の情報」に分かれています。

主に企業の情報から、「見込み客のニーズはどれくらいか」が測れます。
商材がターゲットとしている企業規模、業種に該当すればニーズがありスコアリング対象です。

また、細かくみる場合、1人当たり売上が大きい成長企業であればニーズは高くかつ検討のスピードが早いと推測できます。
個人の情報に分類している「部署」の情報も会社の情報のカテゴリで重要となるときがあります。

シャノンの場合、商材が「MAツール」であるため、「マーケティング部」があることがスコアリング対象となりますので、今商材を必要としている可能性が高いとみなします。

一方、個人の情報からは、「裁量権」に関連する情報が得られます。社長、担当部門の部長など裁量権がある役職であれば一般的にスコアリング対象となります。

この点について実は、シャノンでは少し状況が違います。
MAツールのような商材では意思決定権が少し若手の担当者にあることが多いという実績があり、「マーケティング部門の担当者」という属性があれば十分なスコアリング対象です。

スコアリングにおける、アトリビュートと行動履歴の位置づけ

MAではアトリビュートと行動履歴をどうスコアリングしていくでしょうか。その具体例は以下の通りです。

アトリビュート(属性)と行動履歴を組み合わせたスコアリング

アトリビュートはリード情報が登録された時点から定まっている「変動しない」スコアです。
一方、行動履歴は各種施策しだいで増減していく「変動する」スコアです。
アトリビュートと行動履歴、二つの要素をスコアリングに取り入れることが重要です。

ホットリードの確度を上げる、アトリビュートのスコアリング方法は?

アトリビュートのスコアリングの具体的な方法について、シャノンの実例を紹介しながら解説します。

会社社長と担当部門長、どちらのほうがスコアが高い?

購入の裁量権があると思われる役職のアトリビュートは加点要素です。
では会社社長と担当部門の部長、どちらのほうがスコアが高いでしょうか?

アトリビュートからわかるのは「ニーズ」と「決裁権」で述べたように、シャノンの場合は、MAツールの見込み客としてマーケティング部門の部長または課長などが最も有力ですが、部門の担当者も可能性が高い傾向です。
このため、役職ではなくマーケティングに関わる職種で一律に20点スコアを付与しています。

しかし、会社の代表者、担当部門の部長、課長、そして部門の担当者。こうした役職にどのようなスコアをつければいいかは企業・商材によって大きく違います。
既存顧客のアトリビュートを分析し、正しくスコアリングをすることが大事です。

ペルソナや顧客分析をもとに、アトリビュートのスコアを決定

アトリビュートのスコアリングの基準として、ペルソナが役立ちます。
ペルソナは、ある商材の典型的な顧客像を絞り込んだ姿で、BtoBの場合は企業とその担当者、2つを合わせた形になります。

※BtoBのペルソナについては「BtoBマーケティングにおけるペルソナの作り方と活用方法を解説。シャノンが実践する一工夫もご紹介!」の記事を参照してください。

ペルソナの企業規模、業種、担当者の所属部門・役職などがそのまま、スコアリングの候補となります。
しかし、ペルソナが示すアトリビュートはひとつだけですが、スコアリングはすべてのリードが対象です。

そこで、既存顧客の属性を細かく見て、ペルソナを基準として決めていきます。

ここでもう一つ課題があります。

多数のアトリビュートのなかで、どの項目に加点するのかということです。
シャノンでは、今までの顧客実績をふまえ、多数のアトリビュートのなかで前述した「マーケティング部門所属」という要素のみに20点の加点をしています。

しかし他の企業や業種・商材では、加点すべきアトリビュートは異なります。
建設業・製造業など特定の「業種」が決め手になったり、中小企業向けの商材では従業員数50~200人程度の「企業規模」を重視したりというように、特徴的なアトリビュートにスコアリングします。

「地域」「外資系」など、ほかにもある注目のアトリビュート

他にもスコアリングの対象となり得るアトリビュートがあります。

「地域」
シャノンの場合、顧客は関東圏と関西圏に集中し、それ以外の地方都市などの企業からは問い合わせやその後の受注数ともに比較的少ない傾向があります。
リモートワーク環境が整い、地方を拠点に全国規模で展開するIT企業も増えていますが、MAツールのようなIT商材が地方に広く浸透するにはもう少し時間がかかりそうです。

「外資系」
外資系の会社は海外本社に合わせたツールを利用する傾向があります。MAツールの場合、海外の競合製品を選ぶ可能性が高いので、シャノンではあまり積極的にアプローチしていません。

アトリビュートを分析して、新たなマーケティングに活用

アトリビュート分析をさらに積極的に活用するアイディアを最後に示します。

顧客のペルソナをブラッシュアップ

ペルソナを手がかりにしてアトリビュートのスコアを決め、MAを運用していったとき、その結果をフィードバックして、元のペルソナをブラッシュアップすることができます。

たとえば、以下のようなかたちです。

ペルソナで「中小企業の経理部部長」と設定されていたが、実際にMA運用を1年続けたところ、想定より小規模な企業が顧客となっていて、かつ担当者は役職なしということが多いとわかった場合、ペルソナも「小規模企業に所属、役職無し」と書き換えられます。

従来より小規模な企業をペルソナに設定してWebサイトや配信メールのコンテンツなどのマーケティング施策を実行していくことにより、さらに多くのリードの獲得や興味・関心の引き上げを図っていくことができます。

「こんな顧客に広めたい」という販路拡大に活用

前述したように、アトリビュートはリードの「変動しない」要素で、マーケティング施策の適用外にあります。そんなアトリビュートに別の方法で働きかけることができます。

それは、見込み客を獲得するリードジェネレーションの段階において、企業が「こんな顧客に広めたい」と考えるアトリビュートに、積極的なアプローチをする方法です。

MAツールのリードジェネレーションで「マーケティング部門」のリードにはスコアがつきます。

このとき、企業情報を提供している外部の企業から「マーケティング部門のある企業」のリストを購入し、「マーケティングご担当者様」宛にDMを送付する、といった施策が考えられます。
DMから何らかのレスポンスが得られれば、そのリードはすでに「マーケティング部」という加点要素を満たしています。

こうした方法はターゲットを変えた新商品のマーケティングでも活用できます。
たとえば、従来の商材が主に100人以上程度の企業向けで、見込み客から「もう少し小規模企業向けのプランがあれば」という声があったとします。

10人程度の企業向けの新料金プランを開発・リリースすることになったとき、今までに機会を逸してきたリード・リストにアプローチをするとともに、同じ属性をもつ新規のリストに新プランの情報を届けることが考えられます。

これらの積極的なアプローチは、マーケティングではなくインサイドセールスやフィールドセールスが担当する場合も多いでしょう。
しかし、マーケティング部門において培ってきた着実なリードマネジメントが、こうした試みの土台になっていることも確かです。

リードジェネレーションについては、「リードジェネレーションとは?MA(マーケティングオートメーション)で効果的に見込み顧客を獲得する手法と事例を紹介」でくわしく解説しています。

まとめ

本稿のポイントは以下の4点です。

1. アトリビュートとは属性のことです。リードが所属する企業の規模、業種、部門などは重要なアトリビュートで、そのいくつかがスコアリング対象です。

2. アトリビュートと行動履歴は分けて管理し、ホットリード抽出の段階では足し合わせて評価します。

3. シャノンでは、担当者が商材のターゲットとなる部門に所属していれば、スコアリング対象です。他社では社長・部長・役職なしなど、担当者の役職のアトリビュートにスコアを付けることもあります。

4. 実績が顕著なアトリビュートについて、新規のリード獲得のターゲットとして活用することも有効です。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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