クラスタリングの手法をスコアリングに活用したら、「先読み力」がアップ

クラスタリングの手法をスコアリングに活用したら、「先読み力」がアップ 「クラスター」(cluster)とは直訳すると「房」「群れ」などの意味で、「モノや人が集まったまとまり」を意味します。 クラスタリングとは、ある集団のなかで近い特徴を持つ同士をグルーピングして、その特徴を分析していく手法です。

リードのスコアリングをしていくと、行動履歴や属性に共通点があり、その結果として似たようなスコア構成となっているリードのまとまりに気づくことがあります。 これらに対して、クラスタリングの考え方をとりいれて分析をすることで、リードマネジメントに役立ちます。

実はクラスタリングの概念はかなり複雑なのですが、それをごく簡単にご紹介するとともに、スコアリングへの活用を考えていきます。

似たもの同士のまとまり「クラスタリング」で何がわかる?

クラスターとはどんなものか、クラスタリングはどんなときに有効なのか。簡単にご紹介します。

実はよく目にしている、クラスタリングの具体例

クラスタリングという言葉になじみがないという人も、クラスタリングの事例はよく目にしているはずです。 最近のニュースのなかでは、以下のようなものがありました。

▼【Q女LABリサーチvol.1】 「九州女子のキャラクターは7タイプに分けられる!」(2021年2月) アンケート調査をもとに九州女子のキャラクターを『自分肯定消費』 『お得アクティブ』 『超ミーハー』・・・などの7タイプに分類しています。

q-lab.jp

▼2020年度「えがおの食生活研究」結果報告、20~70代主婦を5つのタイプに分類(2021年6月)
キューピー株式会社が、20~74歳既婚女性を『頑張るジレンマタイプ』『共創スマートタイプ』など、5つのタイプに分類しました。

prtimes.jp

このような、よく見かけるキャラクター分類で使われているのが「クラスター分析」です。BtoCのマーケティングでは非常によく用いられています。

セグメンテーションとクラスタリングとの違い、ペルソナとの位置づけ

クラスタリングと似た手法にセグメンテーションがあります。その違いは以下の通りです。

  • セグメンテーション:データの傾向を把握した上で、分類方法を決めてデータを振り分ける
  • クラスタリング:ルールを定めず、機械学習によって似ているデータのまとまりをつくる

f:id:shanon_marketing:20210816174719p:plain

2つを見比べたとき、最も大きな集団はたいてい似通っています。

しかし、小さな集団はかなり違った内容になることがあります。 セグメンテーションの場合、線引きした場所にしかグループができません。 一方、クラスタリングでは予見できない集団を見つけ出すことができます。

分類の結果として、セグメンテーションでもクラスタリングでもボリュームゾーンが見つかり、そのなかにペルソナが存在します。どちらも、ペルソナを作成する方法として有効です。

※参考:BtoBマーケティングにおけるペルソナの作成と活用法。シャノンが実践する一工夫もご紹介!

www.shanon.co.jp

正確なクラスター分析は機械学習によって実施する

クラスター分析はコンピューターによる機械学習によって実施されます。 分析方法は「階層的手法」と「非階層的手法」に大別され、それぞれのなかで各種の計算方法があります。

本格的なクラスター分析はデータを整備した上で複雑な計算をするもので、手間も時間もかかります。 そして、BtoBの見込み客や顧客リストに対してクラスタリングを行った場合、興味深い結果が得られる場合もありますが、有意な結果が得られないこともあります。

マーケティング部門としては、クラスター分析よりもMAによる本来業務でスコアリングの精度を高めることのほうが、優先度が高いといえます。 このあと本記事ではクラスター分析そのものを勧めるのではなく、「クラスタリング」の考え方をスコアリングに活かせるのでは?という提案をしていきますので、ご参考ください。

スコア構成からクラスタを見つけて、リードの行動を先読みする

セクション2ではスコアリングからクラスタを見つけて、活用するアイディアをご紹介します。

「ペルソナクラスタ」など、積極的にアプローチをしたい対象は?

ペルソナクラスタ

まず最初にアプローチしたいのは、最も有望なグループ。 それはペルソナに近い特徴を持つリードの集団です。 購入の可能性が高い場合、競合他社に決めてしまうこともあるので、期待できるリードに対しては早めのフォローが大切です。

このほか、注目したいクラスタとして、たとえば以下のようなものも考えられます。

即決クラスタ

「従業員数が商材にマッチしている」「成長企業である」「担当者に裁量権がある」などのアトリビュートで、行動履歴のスコアも急上昇。 決断が早いので、リードの行動に先んじて動く必要があります。

“二つの山”クラスタ

こちらはシャノンで実際にみられる、比較的割合の多いリードの傾向です。 「担当者は30~40代の部長・課長」「業種がITやサービス、製造業」「従業員数は100人以上」などのアトリビュートで、行動履歴のスコアも十分。 このグループでは商談発生後に3か月程度で受注にいたるか、その時期を逃すと次のチャンスは1年以上先に。2つのピークをおさえる必要があります。

注意深くみていきたい「保留クラスタ」

チャネル・スコアリングの注意点としてこちらの記事でも解説している、特定の行動履歴が顕著な人のグループです。

「導入事例ページを見た」「ホワイトペーパーダウンロード」などに常にスコアが加点されますが、「資料請求」や「お問い合わせ」へのアクセスの項目ではスコアが上がってきません。 このようなリードは自分の勉強のために情報収集をしていて、具体的にMAツールを検討していないことも多いためです。

クラスタにあてはまる特徴をもつリードに、プラス/マイナスのスコアをつける

以上のように、「ある傾向を持つクラスタ」に対して、より積極的にスコアリングする方法が考えられます。

MAで複数のデータセットの条件を設定し、有望なクラスタにあてはまる場合にはプラス10点、要注意のクラスタにあてはまる場合にはマイナス5点など。 スコアに加えて、どんなクラスタに該当したのかわかるようフラグも立てます。

このようなクラスタリングにより、該当グループの今後の傾向を予測し、より効果的な次のアプローチができたら、この試みは成功といえるでしょう。

顧客分析でもクラスタリングの枠組みが活用できます。 「ロイヤルカスタマークラスタ」「解約クラスタ」などを見つけ出して素早くフォロー、といった使い方です。

以上のように、クラスタリングを取り入れて、より積極的なマーケティング施策を展開していくことができます。 MAで思うような成果が出てこないとき、あるいはさらに次の意欲的な戦略を立てたいときなどに検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

1. クラスタリングとは、似ているデータをまとめた集団のことで、BtoCのマーケティングでよく活用されています。

2. アトリビュート・行動履歴が似ているリードでグルーピングすると、商談可能か、保留か、などの今後の傾向がみえてきます。

3. より積極的なマーケティング施策を展開する方法のひとつとして、「クラスタリングの考え方をスコアリングに取り入れる」というアイディアを提案します。