データドリブンとは?用語やメリット、マーケティング方法を事例付きで解説!

企業のあらゆる業務で「データドリブン」が重視されています。

過去のデータを蓄積・分析した結果をもとに、適切なアクションプランを実行することにより、在庫の最適化、納品スピードの向上、販路拡大などを実現できます。データドリブンは、企業の成長に欠かせません。

今回は、データドリブンの意味や注目される背景、メリット・デメリットなどを確認していきます。後半ではデータドリブンマーケティングについても解説します。

データドリブンとは?

「データは21世紀の石油である」という言葉があるように、データの有効活用が企業にとって重要です。
データドリブンの意味、データドリブンを進める手順、データドリブンのために必要な要素について述べていきます。

データドリブンの意味

データドリブンとは、売り上げやマーケティングのデータに基づいて、企業の戦略や意思決定を行うことです。

データドリブン(Data Driven)のDataは「情報」、Drivenは「~をもとにした」「~に突き動かされた」という意味です。
データドリブンは、「データドリブンな○○」、というように何らかの活動の形容詞として使われます。
たとえば「データドリブンマーケティング」であれば、「データに基づいて施策を決定・実行するマーケティング」という意味です。「データドリブン経営」「データドリブン人事」などの用語もよく使われます。

データが一切ない場合、勘や経験といった要素を頼りに思いつきで施策を考えることになります。このような施策は根拠があいまいなため、検証も甘くなりがちです。
一方、データドリブンの場合はデータを基盤としているため客観的な評価や検証が明確になり、施策の改善がしやすくなります。

何故データドリブンが必要なのか

データドリブンは企業の持続的な成長のために不可欠といえるでしょう。

データドリブンが注目される背景

現在データドリブンが注目される背景として、以下があります。

消費者行動の多様化・複雑化
消費者の購買行動は現在、多様で複雑になっています。節約志向の人、エシカル重視の人、高級ブランド好きな人までさまざまで、行動を予測することが難しいでしょう。しかし膨大なデータを分析することによりある程度予測することができます。

DXの必要性
すべての企業にDX(デジタルトランスフォーメーション)、つまりビジネスのデジタル変革が必要とされていて、その一環としてデータドリブンも欠かせません。

AIの進歩
膨大なデータを活用するテクノロジーがさらに進歩して、生成AIなどのAI技術がビジネスでも活用されており、同時ににデータドリブン推進も重視されています。

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データドリブンの5つのステップ

以下は、データドリブンを進める流れの一例です。

1 データの蓄積と管理
データを活用するには一定量以上のデータが必要なので、まずデータを蓄積することが大事です。たとえば以下のようなデータがあります。

  • アクセスログ
  • アプリデータ
  • センシングデータ
  • SNS履歴
  • POSデータ
  • GPSデータ

ただ蓄積するだけでなく、活用できる形式にするための「データクレンジング」を行うこともポイントです。適切なデータの管理や運用体制、セキュリティへの意識も重要です。
データを適切に管理することをデータマネジメントといいます。

参考:データクレンジングとは?マーケティング施策成功のために欠かせないデータクレンジングの手順

2 データの可視化
蓄積したデータから何が読み取れるのかを判断しやすくするために、データの可視化を行いましょう。
グラフやチャートなどに加工し、可視化することで、人間の脳はデータを理解しやすくなり、これまで気がつかなかった課題に気づくことがあります。
可視化の例として、以下があります。

  • グラフ(棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなど)
  • チャート(バブルチャート、レーダーチャートなど)、マッピング
  • ヒートマップ
  • 相関図
  • イラスト

データの可視化によりチームで認識を共有しやすく、スムーズに方向性が定まります。業務効率を上げるために有効な方法です。

データをわかりやすく可視化するには、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの活用が有効です。

3 データの分析
データ分析には多くの手法があります。
以下は、マーケティング分野でよく使用されている分析手法の一例です。

分析方法 内容
クラスター分析 大きなグループから似たもの同士のグループを見つけ出します。
年齢や居住地域のようなあらかじめわかっているグループ分けではなく、趣味嗜好を組み合わせたグループを見つけ出すときに使用します。
クロス分析 項目をかけ合わせて集計します。
アンケート調査の分析に用いられることが多く、シンプルでわかりやすい分析方法です。
アソシエーション分析 商品間の関連性を見つけ出します。
スーパーやコンビニのように、さまざまな商品を扱う場合に有用です。
ロジスティック回路分析 複数の要因から事象の発生率を予測します。
マーケティング以外に災害の発生予測や病気の発生率などにも活用されています。
テキストマイニング 多くのテキストデータから傾向を読み取り、可視化します。
文章を単語に分割し、出現頻度や相関関係をAI(人工知能)で分析します。

データを分析するためには、詳細な解析が可能なデジタルツールが役立ちます。ChatGPTなどの外部サービスを使いこなすことも有効です。

4 仮説を立て、施策を決定
データの分析結果をもとに、現状の課題を見つけ出し、それを解決するための仮説を立てましょう。
たとえば、「飲めない事情があるが、飲酒はしたい」というニーズがあるという仮説のもとで、ノンアルコールのビールが開発され、今では定着しています。新商品や新たな施策を決定するときは、常にデータ分析をもとに立てられた仮説があります。

5 施策の実行と検証
決定した施策を実行にうつしましょう。そのために新しいシステムを構築することもあります。実行の結果として新たに蓄積されたデータをもとに、仮説の検証を行い、PDCAを回します。

以上のようなデータドリブン推進の手順を進めるにあたり、分析のためのデジタルツールとデータを管理・分析するスキルを持った人材が必要です。
必要なツールと人材については、後述します。

データドリブンのメリット・デメリット

データドリブンのメリット・デメリットを整理します。

データドリブンのメリット

データドリブンの主なメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • 再現性がある
    従来の仕事は、勘や個人の経験によって進められることがありました。この場合、手法が属人化してしまい、担当者が変わると引き継がれないことが少なくありません。
    しかし、適切にデータを残せば新しい担当者になったときも再現性があります。データドリブンな仕事の進め方は再現性が高いくチーム内で手法を共有しやすいのがメリットです。
  • より正確なニーズ予測ができる
    過去のデータから一日の売上を予測して品揃えすれば消費者のニーズに応えながら無駄な在庫を最小化できます。また、売れ筋商品の傾向を分析して次の商品を開発すればヒットの確率が上がるでしょう。このようにして消費者のニーズに応える商品やサービスを提供し、売上や利益を伸ばすことができます。
  • 意思決定が速くなる
    たとえばデジタルマーケティングでは見込み客のウェビナー視聴やWeb閲覧の履歴をスコア化して、一定のスコアに達したときにはインサイドセールスから架電するといったルールを設定します。これにより、購買意欲の高い見込み客にスピーディーにアプローチして、競合他社に先んじることができます。
  • 検証と改善がしやすい
    データをもとに一定のルールでアクションを実行した結果が思わしくなかった場合、当初の仮説を見直して、ルールを変更することにより改善ができます。スピーディーにPDCAサイクルを回せることもデータドリブンのメリットです。

データドリブンのデメリット

データドリブンのデメリットとして、以下2つが挙げられます。

  • 専門スキルが必要
    蓄積したデータを分析して有効に活用するためには専門知識が必要です。社内にスキルが不足している場合は人材の採用または育成が必要です。現在は高度デジタル人材が不足しているので、人材の採用または社内育成がデータドリブンを進めるうえでの課題となります。
  • 初期投資が必要
    データドリブン推進のため、データ分析のためのツールや機器などへの初期投資が必要です。新システム導入の際には社員研修の時間もかかるでしょう。

以上のようにデータドリブンにはデメリットもありますが、かけたコスト以上のリターンが得られる取り組みです。成果を上げられるよう、データドリブンを着実に推進することが重要です。

データドリブンを支援するツール

データドリブンを支援するツールはさまざまです。代表的なツールについて、以下にまとめます。
データドリブンを実現するために、以下すべてのツールを準備しなければならないわけではありません。
事業スタイルや施策の目的に合ったツールを選びましょう。

ツールの種類 ツールの役割 代表的なツール名
BI(ビジネスインテリジェンス)ツール データを可視化するためのツール ・MotionBoard Cloud
・Tableau
・Microsoft Power BI
など
DMP(データマネジメントプラットフォーム)
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)
顧客情報の管理・分析をするツール
DMPは外部データも連携可
・Rtoaster Juicer
・Adobe Experience Cloud
など
アクセス解析ツール Webサイトのパフォーマンスを知るためのツール ・Google Analytics4
・Googleサーチコンソール
など
CRM、SFA 顧客情報、営業履歴を管理するためのツール ・eセールスマネージャー
・kintone
・Salesforce Sales Cloud
など
MA(マーケティングオートメーション) マーケティングのデータ管理および施策を自動化するためのツール ・SHANON MARKETING PLATFORM
など

BI(ビジネスインテリジェンス)ツール
ビジネスインテリジェンスツールは、収集されたデータを統合、加工し、見やすく可視化してくれるツールです。データの量が膨大な「ビッグデータ」は処理が難しくなりますが、BIツールを活用すればビッグデータも可視化できます。

DMP、CDP
DMP(データマネジメントプラットフォーム)とCDP(カスタマーデータプラットフォーム)はデータを管理するプラットフォームです。DMPはインターネット情報から必要なデータを取得して広告施策に活用します。一方、CDPは自社の顧客情報を管理・分析します。

アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、Webサイトを訪れたユーザーの数や行動履歴を解析するためのツールです。Webサイトを評価するためには欠かせません。
まず無料で利用できる「Googleアナリティクス4」を導入することが一般的です。

以下2つの記事では、アクセス解析で得られるデータ、活用方法について解説しています。
参考:アクセス解析とは?基礎知識から目的、分析方法、おすすめツールまでわかりやすく解説
参考:Googleアナリティクス(GA4)とは?使い方や導入方法、MAツール連携事例も紹介

CRM、SFA
CRMは顧客情報管理、SFAは営業支援システムです。SFAのデータはCRMに引き継がれるので、両者を一体化したツールもあります。

以下の記事ではSFAとCRAについてくわしく解説しています。
参考:SFA、CRM、MAの違いとは?それぞれの役割やマーケティングと営業を効率化する連携を解説

MA(マーケティングオートメーション)
マーケティングオートメーションは見込み客のデータ管理とマーケティング施策の自動化を主な機能とするマーケティングのためのデジタルツールです。

MAの活用にあたって、何からはじめればよいのかお悩みのかたは、MAのはじめかたについて解説したこちらの資料をご参考ください。
参考:マーケティングオートメーションのはじめかた

データドリブンに必要な人材

データドリブンを進めるために欠かせないのがデジタル人材です。以下のような人材が必要です。

データドリブンに必要な専門職

データドリブン推進のために欠かせない専門職の代表例が以下の2つです。

  • データサイエンティスト
    データサイエンティストとは、ビッグデータを適切な方法で管理し、機械学習を用いたデータ分析や仮説検証を行うプロフェッショナルです。データドリブンを推進するために欠かせない人材といえるでしょう。
  • データアナリスト
    データアナリストはデータ分析のスペシャリストであると当時に、分析結果を活用してビジネスソリューションの提案も行います。

データアナリストはややビジネス寄り、データサイエンティストは専門性の高いエンジニア寄りという位置づけです。

全社員のデジタルスキル向上も不可欠

データドリブンを進めるためには、データを扱う専門職を配置するだけでなく、一般の社員もデジタルスキルを高める必要があります。社内研修などでレベルアップを図ります。
また、データを活用できるマーケター、データマネジメントを理解する管理職も不可欠です。

このほか、外部の研修サービスを利用してデータサイエンティストやデータアナリストのような専門職の予備軍を社内人材から育成することも有効です。全社員のデジタルスキル向上にもつながります。

データドリブンマーケティングとは? 方法と事例を紹介

データドリブンマーケティングとは、データを収集・活用して行うマーケティングのことです。
データドリブンマーケティングにはMAツールが有効です。シャノンが実践しているデータドリブンマーケティングの事例も紹介します。

MAで実現するデータドリブンマーケティング

MAを活用して業務をデジタル化することにより、データを効率よく蓄積・管理して、マーケティング施策をスピーディーに実行することができます。
以下のように、MAにより「自動名寄せ」「自動でフラグ付与」などが可能です。

MAで実現するデータドリブンマーケティングの図

MAを導入して実施するデータドリブンマーケティングは、以下のようなメリットがあります。

  • 作業の手間を軽減し、効率化できる
    MAにより多くの業務が自動化され作業工数が大幅に減ります。このため、マーケターは高度な業務に専念できます。
  • データが整備され、分析や施策の精度が上がる
    正確なデータ収集とデータクレンジングによりデータの品質が上がり、分析や施策の精度も上がります。
  • 機会損失を減らせる
    スピーディーに施策を実行できるので、見込み客にアプローチするタイミングを逃したり、競合他社に先んじられる機会損失を減らすことができます。

データドリブンの事例を紹介

MAを活用したデータドリブン施策の事例を紹介します。

■興味フラグ付与によりアプローチのチャンスを拡大

見込み客が「製品A」のページを見ていたとき、MAでは自動で「興味範囲:製品A」というフラグを付与します。

興味フラグ付与によりアプローチのチャンスを拡大

これにより、その後製品Aに関連する情報を配信するときは、興味フラグをもとに絞り込み、関心のある人だけに情報を届けることができます。

■休眠顧客を検知して素早くフォロー

しばらく動きがない休眠顧客は、もう需要がないとは限らず、企業内の事情により検討が再開することもあります。
MAにより、そんな状況の変化を検知することができます。

しばらく動きがない休眠顧客は、もう需要がないとは限らず、企業内の事情により検討が再開することもあります。 MAにより、そんな状況の変化を検知することができます。

参考:休眠顧客の掘り起こしはなぜ必要?おすすめのアプローチ方法を紹介!

MAでは休眠顧客からWebサイトへアクセスがあったとき、アラートを上げる設定ができます。これにより、タイミングを逃さず見込み客へのアクションをすることができます。

データドリブンマーケティングの企業事例

データドリブンマーケティングの成功事例を3例、紹介します。

■JTB
大手旅行会社の株式会社JTBでは、2017年にデータドリブンをおこなう戦略組織「データサイエンスセントラル」を立ち上げました。DMPを基盤にデータの統合と分析を実施。基盤と分析、施策を目的から逆算して設計し、施策を実行。その結果がデータベースに溜まり、PDCAを回しました。
この結果、CVRが45%も増えた事例も生まれています。

■USJ
テーマパークを運営する、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)もデータドリブンマーケティングを実践しています。パーク内の行動データを取得するために、センシングやGPS、ビーコン、Wi-Fiなどのさまざまなソリューションを組み合わせて観測。最終的には地磁気のデータ活用をしています。これらの行動データをマーケティングや新サービスの開発に活用しています。業績のV字回復にデータドリブンが貢献しているといえるでしょう。
データは来園者(ゲスト)を理解するうえでも欠かせません。データをもとに、ゲストに喜んでもらえるサービスを提供し続けています。

■Netflix
世界190か国以上で動画配信サービスを展開するNetflix(ネットフリックス)は、データドリブンな企業として有名です。
おすすめの動画を表示するレコメンドエンジンは、ユーザーの行動データを活用して作られています。レコメンドエンジンによって、ユーザーは自分好みの作品を発見でき、満足度が高まっています。

Netflixではオリジナルコンテンツも作成していますが、データをコンテンツ制作にも活用しているのが特徴です。視聴データをもとに、ユーザーに好まれる作品ジャンルやストーリー、出演者などのデータを収集します。それをコンテンツ制作に活かしています。結果、作品の質が高まり、オリジナルコンテンツがゴールデングローブ賞やアカデミー賞を席巻するほどです。

まとめ

本稿のポイントは以下です。

1.  データドリブンとは、「データに基づいて施策を決定・実行する」という意味です。DXの必要性やAIの浸透によりさらに重視されています。

2.  データドリブンの5つのステップは以下の通りです。
1 データの蓄積と管理
2 データの可視化
3 データの分析
4 仮説を立て、施策を決定
5 施策の実行と検証

3.  データドリブンのメリットとして以下の4つが挙げられます。
再現性がある
より正確なニーズ予測ができる
意思決定が速くなる
検証と改善がしやすい
また、デメリットとしては専門スキルと初期投資が必要であることが挙げられます。

4.  データドリブンを支援するツールとして以下があります。
・BIツール
・DMP、CDP
・アクセス解析ツール
・CRM、SFA
・MA

5. データドリブンマーケティングとは、データに基づくマーケティングのことで、MAツールの活用がおすすめです。
そのメリットは以下です。
・作業の手間を軽減し、効率化できる
・データが整備され、分析や施策の精度が上がる
・機会損失を減らせる

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