MAのはじめかた、肝になるのは購買ピラミッドの全体管理

対面営業の機会が減少する一方の昨今、デジタルに活路を見出そうと考える企業が期待を寄せるのがMAです。

コロナ禍に見舞われる前から、顧客の購入プロセスのデジタルシフトが進んでいました。

営業が商談機会を得るまでの時間が長期化する中、水面下で進む検討候補に入れてもらえるよう、画面の向こうのお客様との信頼関係を構築することが求められています。

この記事では、これからMAを使いはじめるという方々のために、 導入前に考えておくべきポイントやMAを使った具体的なオペレーション例について前編、後編の2回にわたって解説していきます。

前編にあたるこちらの記事では、導入前に考えておくべきポイントと実施する施策の検討方法についてご紹介します。

後編の記事では、ウェビナーや動画など具体的な施策におけるMAの活用方法をご紹介しますので、あわせてご覧ください。

■後編記事
コロナ禍で注目されるマーケティング施策はウェビナーと動画、MAで効果を高める方法

MAでなければ難しいマーケティングの全体管理

なぜ今、多くのBtoB企業がマーケティングに本格的に取り組もうとしているのでしょうか。
その理由は「お客様の購買行動の変化」、この一言に尽きます。

少なくとも10年前であれば、お客様が高額な商品を買う時は、必ず対面接点の営業を通していました。

ところが、今のお客様は情報収集程度であればデジタルで十分、実際に検討するようになった段階になってから営業から話を聞きたいと考えるようになっています。

その意味で、非対面接点がとても重要になってきているのです。
だからと言って、対面接点が消えるわけではありません。

1人の消費者として、自分自身の購買行動を振り返ってみれば明らかですが、高額の商品を購入する場合ほど、営業には高い専門性を求めます。
対面接点でのお客様とのコミュニケーションはより狭く、より専門的なものになっていくでしょう。

対面接点で得られる情報を中心に管理するシステムは既にあります。
それがCRM/SFAですが、お客様が非対面接点でどんな行動を取ったかを管理するシステムはどうでしょうか。

CRM/SFAは、メールのクリック、Webサイトに訪問してどのページをどのぐらいの時間見たかを管理しているわけではありません。

「知らずの失注」と言われるように、お客様が興味を持って、水面下で検討を進めていることがわからないまま、競合にお客様を奪われてしまうことが起きてしまう。
そうならないようにするには、非対面接点でのお客様の行動情報を管理できるMAの導入が必要になるのです。

シャノンでは、MA活用で重要な視点はマーケティングの全体管理だと考えています。

マーケティングに力を入れ始めた組織ほど、最初は広告へのクリック、メルマガの開封など、個別の施策への反応に一喜一憂してしまいます。
その気持ちはよくわかりますが、本当のゴールは売上を増やすことのはず。

その意味で、お客様がそれぞれの施策にどう反応したか、どんな状況にあるのか、全体を管理しなければゴールを達成することはできません。

企業活動で新しい仕組みを導入する際は、投資が不可欠ですが、先に進むには、「MAを使っての全体管理とは何か」を経営層や営業とともに理解を深めることから始めることが必要です。

購買ピラミッドで見るべき分布と推移

マーケティング部門に求められる全体管理とは、購買ピラミッドを使ってフェーズ分けを行い、毎月各フェーズにどれだけのお客様がいるか、それぞれの分布と推移をモニタリングし、経営層に定期的にレポートすることです(図1)。

図1:購買ピラミッドで行う全体管理

図1のピラミッドは、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「商談」に分かれていますが、これはあくまでも一例にすぎません。
実際のフェーズ分けは企業ごとに変わってくるでしょう。

自社でやってみる場合は、最初にお客様が自社の製品・サービスを購入するとき、どんなステップを辿るのかを整理してみて下さい。
続いて、ピラミッドの1つ上のフェーズに移るときの判断基準をお客様の行動に基づいて決めます。

例えば、「商談」フェーズは、商談のアポイントを獲得し、実際に対話の機会を持ち、お客様からの判断待ちの状態。
「比較・検討」フェーズは、資料請求してから3カ月が経過した状態。

ウェビナーやホワイトペーパーのダウンロードを申し込んだら「興味・関心」フェーズで、メディアや展示会などでDMを送る許可を得ている場合は「認知」フェーズといった具合です。
最後は、その結果を関係する組織全体で合意することが重要です。

シャノンを使う場合は、最初にルールを設定すると、その後は自動的にピラミッド全体を管理できるようにしています。

また、図1では各フェーズに何人のお客様がいるか、その分布だけを示していますが、企業活動では予実管理の一環で毎月あるいは毎四半期の推移を見ていきますから、目標を設定してもらうと、その目標に対する進捗率の管理を行うゴール機能も提供しています。

図2:購買ピラミッドの分布と推移を把握できる「ゴール機能」

効果的な施策は「獲得型」「引き上げ型」の2つに分けて検討

MAを導入し、各フェーズの分布と推移のモニタリングを始めたら、実際の数字が好調に推移するのを見て安心したいところです。

ところが、実際には順調に上位のフェーズに進まないこともあり、改善に向けて、打ち手を講じなくてはならない状況に直面します。
どうすれば状況が改善するのでしょうか。

ここで全体を見ずに、やみくもに施策を実行しても狙った効果は得られないし、モニタリングするだけでは何も変わらない。
そんな悩みを抱える皆様に私たちが提案するのが、「獲得型の施策」と「引き上げ型の施策」に分けて検討することです(図3)。

図3:効果の異なる「獲得型」と「引き上げ型」

獲得型の施策とは、特定のフェーズに分類できるお客様の獲得を目的とするもの。
これに対して、引き上げ型の施策とは、ピラミッドの今のフェーズから1つ上のフェーズに引き上げることを目的とするものです。

例えば、「比較・検討」フェーズの数を増やしたい時、広告出稿で、資料請求フォームに誘導して、コンタクト数を増やす施策を展開します。

一方、マーケティング予算は無限にあるわけではありませんから、全てを資料請求のような獲得型の施策に使うわけにはいきません。
以前、ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた「関心」フェーズのお客様にウェビナーに参加してもらうような引き上げ型の施策も必要になってきます。

マーケティング予算や手元のコンタクトリストのお客様数などが関係するので、「これをすると効果が100%あります」とはお伝えできませんが、それぞれのフェーズで効果的な2種類の施策の例を以下の表にまとめました(図4)。

図4:フェーズで変わる効果的な施策

図3を見ると、「○」「△」「×」が付いているのがお分かりいただけると思いますが、あるフェーズでは効果的でも、別のフェーズではあまり効果が得られない施策もあります。

例えば、デモウェビナーのように、ある程度の検討が進んでからでなければ参加が見込めない施策は、数を増やすことへの貢献は期待できないと予想できます。
一方、同じ「比較・検討」フェーズを増やすのであれば、資料請求の方が良い。

このように、予算やチームの体制などを照らし合わせ、獲得施策の方がよいか。引き上げ施策がよいかの判断をすることがお勧めです。
と言うのも、獲得型施策にはお金がかかるからです。さらに上のフェーズに行けば行くほど、獲得単価は上昇します。

シャノン自身が実践した例では、資料請求で1件の顧客を獲得するにあたってのコストは約5万円。
それがホワイトペーパーの場合は1件あたり約1万円でした。

ですので、資料請求で「比較・検討」を獲得するか、予算がそこまではないから、ホワイトペーパーで「関心」を獲得し、引き上げ施策のウェビナーと組み合わせようなどと、この表を使いながらチームで話し合ってみてください。

全体管理に加えて、どのフェーズを増やすのにどの施策を実施するか、具体的なアクションに落とし込まれていくと、経営層がマーケティングに投資をしようと判断できる材料になるでしょう。

ホワイトペーパーについては、「ホワイトペーパーとは?BtoBマーケティングでの活用方法・効果を上げるための5つのアイデアを紹介」でくわしく解説しています。

後編記事のご紹介

前編にあたるこちらの記事では、導入前に考えておくべきポイントと実施する施策の検討方法についてご紹介してきました。

後編の記事では、ウェビナーや動画など具体的な施策におけるMAの活用方法をご紹介しますので、あわせてご覧ください。

■後編記事
コロナ禍で注目されるマーケティング施策はウェビナーと動画、MAで効果を高める方法

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