BtoCビジネスとは、企業が一般の消費者に対して商品やサービスを提供することです。そしてBtoCマーケティングは、一般消費者を対象とするマーケティングです。
時代とともにBtoCマーケティングは変化しています。まずBtoCマーケティングの定義、特徴、最新事情を紹介し、後半ではBtoCマーケティングにとってのMAを考えます。
BtoC、BtoBのビジネスの違いをふまえ、BtoCマーケティングを理解する
BtoCとは何か、BtoBとはどう違うのかをふまえ、BtoCマーケティングの特徴を理解します。
BtoC、BtoBとは?
BtoC、BtoBとはビジネスの取引主体の違いです。
- BtoC:Business to Consumer 企業から一般消費者へ
- BtoB:Business to Business 企業から企業へ
ほとんどの企業はBtoCまたはBtoBのどちらかです。
ほかに、消費者同士の取引であるCtoC(Consumer to Consumer)という形がありますが、企業が取引の場を提供しているという意味ではBtoCのバリエーションととらえることもできます。
BtoC、BtoBの違い
BtoCビジネスとBtoBビジネスの違いを整理します。
BtoC | BtoB | |
顧客 | 個人 | 企業 |
取引額 | 少額 | 高額 |
取引回数 | 多い | 少ない |
顧客の数 | 多い(幅広い) | 少ない(限定的) |
購入の理由 | 利便性、満足度など | 企業の利益 |
購入の検討期間 | 短い | 長い |
BtoCはBtoBと比較して購入する商品やサービスの単価が少なく、購入数や頻度は多い傾向です。住宅や車などの高額商品を除いては、一般消費者である個人が購入を決定するまで長く検討することはあまりありません。最後の項目「ブランドスイッチ」とは、リピートする際に競合他社を選んでしまうことで、BtoCでは日常的に起きています。
BtoCとBtoBの大きな違いとしてほかに、購入の理由があります。BtoCの顧客が多くの選択肢のなかから特定の商品やサービスを選ぶ理由は、「必要だから」「価格が安いから」だけでなく、「デザインが気に入ったから」「楽しみを手に入れたいから」などさまざまです。これに対して、BtoBの顧客が購入する理由は「企業の利益になるから」に集約されます。
このようにBtoCとBtoBには明確な違いがあります。BtoCマーケティング、BtoBマーケティングにはこの違いが反映されています。
BtoBマーケティングについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
※BtoBマーケティングとは。BtoCとの違い、BtoBマーケティングの基本、今起きている劇的変化を5分で理解
BtoCマーケティングの特徴と最新事情
BtoCマーケティングの歴史や特徴、最新事情を紹介します。
BtoCマーケティングはいつ始まり、どう変化してきたか
BtoCマーケティングがどのように変化してきたか、簡単に歴史を振り返ります。
マーケティングは1900年代頃にアメリカで始まりました。消費者に必要なものを大量生産できるようになったばかりの時代で、企業には「何を、いくらで、どのように届けるか」を決める主導権がありました。企業に生産や供給の力があれば商品が売れたので、「製品志向の時代」といわれています。
1970年代になると、消費者は欲しいものを一通り手に入れ、今すぐ買いたいものがなくなりました。企業はすでに満足している消費者に対して「買い足し」「買い替え」を促す必要に迫られ、この時代にBtoCマーケティングが進化しました。企業は「STP分析」などによりターゲットを絞り込み、他社と差別化できる魅力ある商品を開発し、消費者のニーズに応える必要があったので「顧客志向の時代」といわれます。
2000年代以降はインターネットが普及し、BtoCマーケティングにもデジタルマーケティングが取り入れられます。しかし従来型の広告宣伝が不要となったわけではありません。2010年以降はSNSが拡大して消費者の情報源として欠かせないものになったため「接続性の時代」といわれています。
※関連記事
マーケティングとは?その定義と歴史をふまえると、現代のマーケティングもわかる。おすすめ本も紹介!
「UGC」「ULSSAS」などを理解して、BtoCマーケティングの特徴を知ろう
現代のBtoCマーケティングの特徴として以下が挙げられます。
マスマーケティングの比重が大きい
BtoCでは不特定多数に情報を届けるマスマーケティングが重要です。
その第一の目的は多くの人に「商品やサービスを知ってもらうため」ですが、そのほかに「ブランド強化」も重視されています。
ときには商品やサービスの名称よりも企業名を前面に出したマスマーケティングが実施されます。手段はオフラインのTVCM、新聞・雑誌広告、オンラインのディスプレイ広告などがあります。
※ディスプレイ広告で成果を上げるには?きめ細かな効果測定がポイント
「UGC」が重視され、SNSの比重が大きくなっている
BtoCの購買行動の動機づけとして「UGC」の重要性が増しています。UGCとはUser Generated Content、ユーザー投稿コンテンツのことです。
消費者は、企業が提供する情報よりも同じ消費者であるインフルエンサーや友人からの情報を決め手としてアクションを起こすようになっています。
2021年のある調査では、SNSからの情報が購買行動に影響していると回答した人は48 %、最も参考にしたSNSはInstagramとの結果が出ています。
(出展:株式会社Chocostory「48%の人が、SNSのレビュー内容・感想が購買行動に影響していると回答【購買行動とSNSの関係についてのアンケート結果】」)
BtoCマーケティングではSNSが重要なチャネルです。SNSを経由する購買行動のフレームワークとして「ULSSAS」があります。
- U:UGC (ユーザー投稿コンテンツ)
- L:Like (いいね)
- S:Search1 (SNS検索)
- S:Search2 (Google検索)
- A:Action (購買)
- S:Spread (拡散)
※ソーシャルメディアマーケティングとは?BtoBビジネスにおけるSNSの活用方法
モバイルデバイス対応が不可欠
一般の消費者の間でスマートフォン、タブレット型端末などのモバイルデバイスが急速に普及したことは、総務省のデータからも明らかです。
モバイルデバイスの伸びに反比例してパソコンと固定電話の普及率は下がっています。
また、最もよく利用するインターネットサービスはショッピングと支払いです。現代のBtoCマーケティングではモバイルデバイスが主要な接点です。
ロイヤリティーの高い顧客を増やすことが重要
BtoBとの比較で述べたように、消費者は購買行動において複数のブランドを簡単に切り替えます。
このとき企業は、他のブランドを購入した顧客に戻ってきてもらうために短期的な広告費をかけることになってしまいます。
それよりも、自社ブランドだけを購入し続けてくれる顧客を増やすほうが得策です。
そこで、単価の小さい商品を売る企業も、長期的な視野で自社ブランドのファンを増やす「コンテンツマーケティング」を重視するようになりました。
目指すのは自社ブランドを他の人にすすめてくれる「ロイヤルカスタマー」です。
既存顧客フォローに役立つCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)の活用や、見込み客を集めて顧客へと引き上げるMAの導入も視野に入ってきます。
※BtoBこそコンテンツマーケティングが有効!成果を出せる施策の進め方
※ロイヤルカスタマーとは?その定義と、MA連携でロイヤルカスタマーを 増やす手法
Eコマース事業に欠かせない「オムニチャネル」とは
多くの小売事業者がリアル店舗とEコマースの両方をカバーする複数のチャネルで商品を販売しています。そんな企業に欠かせないのが「オムニチャネル」です。
「マルチチャネル」「クロスチャネル」と合わせて知っておきましょう。
マルチチャネル | 複数のチャネル(リアル店舗とネット販売など)で購入が可能 |
クロスチャネル | 複数のチャネルで購入が可能。顧客情報はすべてのチャネルで一元化されている |
オムニチャネル | 複数のチャネルで購入が可能。顧客情報は一元化され、 かつ、顧客はチャネルの違いを意識することなく利用できる |
オムニチャネルとはすべてのチャネルがシームレスに連携していることをいいます。
- ネットでECサイトを見て商品を確保し、リアル店舗で確認してから購入、受け取り
- SNSで情報を見ながら、気に入った商品があればアプリ内で購入できる
- リアル店舗でほしい商品がなかったときに、ネットで在庫を確認して配送
オムニチャネルは顧客にとって快適な購買体験を提供すると同時に、企業にとっては顧客の行動履歴をすべての接点から収集できるというメリットをもたらします。
これをオムニチャネル・マーケティングといいます。
BtoCマーケティングにおけるMAツールの活用
BtoCマーケティングでMAが活用できるのはどんな場合かについて述べていきます。
MA活用が向いているBtoCの業種は?
BtoCでは最初に述べたように認知から購入決定までの期間が短く、BtoCマーケティングは不特定多数に幅広く情報を届けます。
これに対して、MAは特定の見込み客に対して中長期的にアプローチを重ね、購入意欲を引き上げることが主な機能なので、食品や日用雑貨などの商品にはなじみません。
しかし一方で、一般消費者でも時間をかけて検討してから購入を決める高額商品であればMAが有効です。たとえば以下があります。
- 住宅
- 車
- 保険商品
- 学習塾、習い事
- 大学、大学院
高額商品ならすべてあてはまるというわけではなく、高級腕時計やハイブランドファッション、旅行などは含まれません。
MAツールと親和性が高いのは、消費者が「自分に合うものを納得して選びたい」かつ「失敗したくない」と考え、真剣に検討するような商品です。
シャノンのMA導入事例「早稲田アカデミー」の場合
シャノンのMAは、BtoB、BtoC両対応型となっています。BtoCの導入事例として、「早稲田アカデミー」をWeb上に掲載しています。
早稲田アカデミーのMA導入事例
進学塾は、顧客単価が一人あたり年額何十万にもなる高額商品。
顧客は志望校合格という目的のために複数の進学塾をじっくり比較検討して選びます。
このため、企業と見込み客や顧客とのコミュニケーションは密度が濃いものとなります。
日々の業務はイベント集客、リード管理、1to1のメールマーケティングなど多岐にわたり、作業量は多く、かつミスが許されない緊張感を伴うものでした。
MA導入により、作業の効率化ができ、余裕ができた時間に担当者は追加策を打てるようになり、フォロー体制が強化されました。
また、見込み客は私立か公立か、中高一貫か高校受験かなど個別事情をふまえた1to1のメール配信をタイムリーに実施できるようになりました。
※事例についてくわしくはこちら
早稲田アカデミーの業務・集客効率を改善したイベント業務の新・オペレーション
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. BtoCビジネスとは企業と一般消費者との取引のこと。消費者に商品やサービス購入を促す活動がBtoCマーケティングです。
2. 最新のBtoCマーケティングの特徴は以下です。
- マスマーケティングの比重が大きい
- 「UGC」が重視され、SNSの比重が大きくなっている
- モバイルデバイス対応が不可欠
- ロイヤリティーの高い顧客を増やすことが重要
3. BtoCビジネスのなかで、単価が高く消費者がじっくり検討して選ぶ商品やサービスについては、MAツールが有効です。
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