「Z世代」という名称は、10代~20代を表す言葉としてメディアにもよく取り上げられていてご存じの方も多いと思いますが、正確には何歳から何歳でしょうか?
Z世代は、1996年から2012年までとする定義が最も一般的です。
つまり2024年初めの年齢でいうと、Z世代は11歳~28歳までということになります。小学生から社会人までと幅広く、ひとくくりにしてZ世代はこんな傾向、と言いきれない部分もありそうです。
Z世代にはそれ以前の世代向けのマーケティング手法が有効ではないといわれています。それはなぜなのでしょうか。
この記事では、Z世代の特徴と、それをふまえた有効なマーケティング手法について解説します。X世代、ミレニアル世代など他の世代との比較についてもまとめました。
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Z世代とは?意味や重要性を解説
Z世代の定義やZの意味、なぜ注目されるのかについて解説します。
Z世代とは?なぜ“Z”なのか
Z世代は英語圏で「Generation Z」といい、ミレニアル世代の下の世代であるため「ポストミレニアル世代」とも呼ばれます。
アメリカのコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーの定義によると、Z世代とは、1996-2012年に生まれた若い世代を指します。(厳密な年代の線引きには諸説あります。)
なぜ”Z”世代かというと、アルファベット順で呼ばれているからです。
Z世代の前の世代を「X世代」「Y世代」と呼んでいます。アルファベット順で考えると、次はZとなるため「Z世代」と呼ばれています。
さらにZ世代より若い世代については、α(アルファ)世代と呼ばれています。
Z世代は全世界共通
Z世代は、世界共通の概念です。
世界中のZ世代が、生まれたときからインターネットで得られる大量の情報にアクセスし、モバイルデバイスやSNSを使いこなしています。
Z世代が生まれた社会は不確実性が高く、格差社会や気候変動といった不安定要素があることも世界共通の傾向です。さらにコロナ禍では学校への登校が停止されオンライン授業になるなどの「ニューノーマル」の経験者でもあります。
このような環境下で育ったZ世代は、安定志向で効率重視、自分にとっての価値を重視するといった特徴があるといわれています。Z世代の特徴については後ほどくわしく解説します。
Z世代が注目される理由
日本において、20代の人口は1995-2018年の間に30%以上減少していますが、世界的には増加しています。
2020年時点で世界のZ世代が占める割合は約24%で、その購買力は15兆円といわれています。アジア太平洋地域(APAC)でも、2025年までにZ世代が人口の約25%となる見込みです。
Z世代は今後社会の中心となり、収入も支出も増えていくので、企業にとって重要な存在です。
アメリカでは総消費の40%をZ世代が占めており、購買力は約5兆円あり、将来的には約22兆円まで成長すると予想されています。
(出展:令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(Z世代におけるeスポーツ及びゲーム空間における広告価値の検証事業)│KPMGコンサルティング株式会社)
2042年までには30兆ドル以上の資産が若い世代に移転すると予想されており、Z世代の購買力は今後さらに高まります。
このように、世界的にみると人口が増えて購買力も高まっていくZ世代は、ビジネスの重要な顧客です。
これから先、Z世代に訴求できる商品開発やマーケティングをおこない、選ばれることが企業にとって必須であり、Z世代を理解することが重要です。
Z世代と一緒に覚えたいX世代、Y世代、α世代とは?
世代を表現する用語としてほかに、X世代、Y世代、α世代があります。
Y世代は、2000年代に社会人となっていることから「ミレニアル世代」と呼ばれていて、この名称のほうが知られています。
以下の表に、X世代、Y世代、Z世代、α世代がどの年代に生まれたかをまとめています。
名称 | 別名 | 生まれた年代 | 2024年の年齢 | 世代の特徴 |
X世代 | ジェネレーションX | 1965~1979年 | 45~59歳 | TVや雑誌で育ったがデジタルも使える |
Y世代 | ミレニアル世代 | 1980~1995年 | 29~44歳 | デジタルパイオニア、消費行動は身長、仲間を重視 |
Z世代 | ポストミレニアル世代 | 1996~2012年 | 11~28歳 | デジタルネイティブ、SNSを活用 |
α世代 | 2013年~ | 10歳以下 | SNSネイティブ、プログラミングが必修 |
※上記でY世代が1980~1995年生まれ、Z世代が1996~2012年生まれとしていますが、世代の境界線の年については、諸説があります。
X世代、Y世代(ミレニアル世代)、α世代とは
X世代、Y世代、α世代について解説します。
- X世代
1965年~1979年に生まれた世代です。「バブル世代」の後期と、「団塊ジュニア世代」が含まれます。2024年に45~59歳なので、すでに社会人としては責任ある地位についている人が多いです。しかし1970年以降に生まれた人のなかに新卒時が就職氷河期と重なり、転職を繰り返し「失われた世代」に該当する人もいます。 - Y世代(ミレニアル世代)
1980年~1995年に生まれた世代です。義務教育のときが「ゆとり教育」だった世代が含まれます。ミレニアル世代はインターネットやデジタルデバイスが急速に進化するなかで成長しました。ワーク・ライフ・バランスを重視し、モノへの執着が少なく、シェアエコノミーを選ぶ傾向があるとされます。ミレニアル世代以降、世代の特徴が世界共通になったといわれています。
参考:ミレニアル世代とは?Z世代との違いや、効果的なマーケティング施策を紹介
- α世代
Z世代より下の、2013年以降に生まれた世代です。この世代はミレニアル世代を親に持ち、生まれたときからデジタルデバイスが普及しているため上の年代と比べてさらにデジタルリテラシーが高いです。2024年現在は10歳以下なので、まだ購買力はないですが、α世代が成長したらZ世代とは異なる消費行動をすると予測されます。
参考:α(アルファ)世代とは?特徴や年齢層、価値観についてわかりやすく解説
以下は、年代別のよく利用するメディアを調査した結果です。
(出典:令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査│総務省情報通信政策研究所)
X世代、Y世代、Z世代のメディア利用の違いがわかります。特にテレビをどの程度に利用しているかが世代ごとに大きく違っています。
ミレニアル世代(Y世代)とZ世代の違い
ミレニアル世代とZ世代、2つの世代はよく比較されるので、少しくわしく説明します。
両者には共通する特徴がいくつかあります。一方で違う点もあります。
ミレニアル世代とZ世代の共通点 |
・ワーク・ライフ・バランスを重視 ・横のつながり、仲間を重視 ・環境問題・社会課題に関心 ・多様性を尊重する |
まず共通点からみていきます。
- ワーク・ライフ・バランスを重視
どちらの世代も自分や家族のための時間を大切にしていて、給料が高くてハードな仕事より適度な仕事時間と適度な報酬を選択します。 - 横のつながり、仲間を重視
プライベートでは、家族のほか地域の仲間や趣味の友人関係などの横のつながりを大切にします。職場でもチームワークを重視し、協調性があります。 - 環境問題・社会課題に関心
SDGsなどの環境問題、LGBTや格差、国際紛争などの社会課題に関心があり、解決のためのアクションも起こします。寄付やボランティア、その他の社会貢献活動をすることにも抵抗がないことが多いです。 - 多様性を尊重する
国籍、性別、宗教などにかかわらず、人の多様性を受け入れ、尊重する傾向があります。
次に、ミレニアル世代とZ世代の相違点を見ていきます。
以下は、ミレニアル世代とZ世代の情報収集ツールの比較です。
(出展:令和3年度コンテンツ海外展開促進事業(Z世代におけるeスポーツ及びゲーム空間における広告価値の検証事業)│KPMGコンサルティング株式会社)
ミレニアル世代ではテレビ、Z世代ではSNSと動画共有サービスの割合が高くなっています。
以下は、ミレニアル世代とZ世代のちがいのまとめです。
世代 | Y世代(ミレニアル世代) | Z世代 |
情報チャネル | 展示会に足を運んだり、書籍で情報収集したり、実体験を重要視する | 幼少期からデジタルがあるのが当たり前で、ネットメディアの使用がスタンダード |
デジタルリテラシー | 高い | さらに高い |
消費行動 | コト消費 トキ消費 | イミ消費 エモ消費 |
貯蓄傾向 | 平均的 | 高い |
マインド | 楽観的、理想主義、柔軟 | 将来不安、現実主義、堅実 |
- ミレニアル世代のほうが、情報チャネルが幅広い
ミレニアル世代の主な情報源はネットですが、テレビや雑誌に親しんでいた世代であるため、今もテレビや雑誌から情報収集することがあり、本も読みます。展示会に足を運んだり、書籍で情報収集したり、実体験を重要視する傾向が見られます。一方、Z世代はSNSやYouTubeなどネットメディアを中心に情報取得する傾向があります。これは幼少期からデジタルがあるのが当たり前であり、ネットメディアの使用が定着しているからとも考えられます。 - ミレニアル世代のほうが、やや消費に積極的で体験重視
消費行動に対しては、ミレニアル世代のほうがやや積極的です。消費行動はモノ消費からコト消費、トキ消費、イミ消費、エモ消費などに移行・細分化されてきました。エモ消費については、後述します。 - Z世代のほうが貯蓄や投資への意識が高い
Z世代は不確実性の高い時代に生まれ育ち、将来に不安をかかえています。そのため、お金を消費より貯蓄に回す傾向で、投資にも若い年代から関心を持ちます。 - ミレニアル世代の方が楽観的、Z世代は堅実
ミレニアル世代は楽観的で理想主義といわれ、一方Z世代は不安を感じていて堅実、現実主義といわれています。
以上、世代の違いについて述べましたが、もちろん実際には個人差があり、あてはまらない人も多いでしょう。このような区分は、マーケティングの視点から、両世代を整理してみたものです。
Z世代とα世代の違い
α世代は生まれたときからスマートフォンやタブレットが存在し、小学校から一人1台の端末を使い、プログラミング教育を受ける機会も多い、最もデジタルネイティブな世代です。
Z世代とα世代の大きな違いは、デジタルリテラシーの高さです。α世代は子どものころからオンライン会議、バーチャル空間、プログラミングなどに抵抗感がなく、意識せずにデジタルツールを活用しています。
さらに、α世代は「SNSネイティブ」で、幼少期からSNSを使いこなしています。
その他の点では、Z世代とα世代は共通点が指摘されています。
- SDGsや社会課題に関心がある
- タイパを重視する
などです。
「2025年には、全世界のα世代は約20億人に達し、ベビーブーマー世代を超えて歴史上最大の世代になる」と指摘されており、α世代の今後が注目されています。(参照:Z世代の次の主役「α世代」とは?これまでの世代との違いは?│CRITEO)
Z世代の特徴
Z世代は経済低迷期に生まれたため、景気の良い時代を知りません。
さらに、東日本大震災や新型コロナウイルスの感染拡大などの「ニューノーマル」を経験しています。
不安定な時代を過ごしているため、未来に対する不安が大きく、堅実な志向が特徴です。
ニューノーマルについては「ニューノーマルとは?コロナ禍での新しい働き方を簡単にわかりやすく解説」でくわしく解説しています。
Z世代はテレビの視聴時間が少ない一方、ソーシャルメディア(SNS)の利用が多いです。デジタル経由で友人とのコミュニケーションをとることが日常的です。
インターネットの利用時間の内訳は、約35%が動画共有サービス、約28%がSNS、約15%がゲームです。
インターネットの利用内訳 | サービス例 |
動画共有サービス(約35%) | YouTube、ニコニコ動画 など |
SNS(約28%) | Instagram、TikTok、Twitter など |
ゲーム(約15%) | League of Legends、Fortnite など |
価値観の特徴
Z世代の価値観の特徴として、2点を挙げることができます。
多様性を理解し尊重する
Z世代は多様性を尊重する傾向です。学校教育でSDGsやダイバーシティについて学んだ人も多く、Z世代の8割が「多様性は大切だと思う」と回答しています。(参照:「多様性は大切だと思う」 8割、「人と競争するのが苦手」7割BIGLOBEが「Z世代の意識調査」第1弾(価値観・行動編)を発表│ビッグローブ株式会社)
多様性の例として、下記が挙げられます。
- 性別
- 年齢
- 国籍
- 価値観
- ライフスタイル など
日本企業でも、それぞれの個を尊重して認め合い、良いところを活かす「ダイバーシティ&インクルージョン」が進められています。
環境問題、社会課題への関心が高い
Z世代はSDGsを学校で学んだ世代で、環境問題や社会問題への関心も高いです。SHIBUYA109エンタテイメントが運営する、若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」がZ世代のSDGsと消費に関する意識調査をおこなっています。
この調査によると、Z世代の70%以上が社会的課題を解決する取り組みを実施。また、Z世代の67.7%が社会的課題に取り組む企業に対してポジティブな印象を受けることがわかりました。
消費行動の特徴
Z世代の消費行動には、以下のような特徴があります。
エモ消費を好む
「エモい」消費行動のことです。具体例として
- 昭和レトロな喫茶店でクリームソーダを飲む
- フィルム付カメラを買って撮影する
- 被災地を応援するためにその地域の産品を購入する
などが挙げられます。エモ消費の3要素は、「共感性」「ハッピー」「シェア」で、共感や幸福感を他の人に伝えるためにSNSでシェアすることが欠かせません。上記の例のうち3つ目は「意味のある消費」でもあるので、「イミ消費」とも呼ばれます。
サスティナブル(持続可能)な選択をする
Z世代はサステナビリティ(持続可能性)を意識して消費行動をしています。
環境にやさしい商品、社会的課題の解決に取り組んでいる企業の商品を好むことが多いです。似た商品であれば、環境に配慮されたほうが選ばれます。日本では、Z世代の54%がサステナブルな形で生産された衣料品を探しています。
こうした社会課題の解決を応援する購買行動を「エシカル消費」といいます。
しかし、エシカル消費に対する意識が高くても、それに対して価格プレミアムを許容する割合は他の世代と変わりません。Z世代はまだ若く学生も多いため、使えるお金がほかの世代と比べて少ないからだと推測されます。
リサーチしてからネットショッピング
Z世代はネットショッピングが日常に普及しています。その際、パソコンよりもスマートフォンを使うことが多いことも特徴です。購入を決める前にスマートフォンでリサーチをすることが常態化しており、失敗なく、安く買いたいという気持ちが強いです。「ネタバレ消費」とも呼ばれています。
このようにインターネットを活用して、欲しい情報を集めるリテラシーが高いというのも、Z世代の特徴です。
ブランド選びはSNSを参考にする
Z世代は人気の高いブランドを好む傾向が高いという特徴があります。一方で、他人とはちがう差別化できるブランドを求める傾向もあるといわれます。この相反する特徴のため、企業にとっては心をつかむのが難しい世代です。
その他に、パーソナライゼーション、限定商品、他ブランドとのコラボレーションなど、特別な付加価値や付帯サービスに対する期待が高いという特徴もあります。
Z世代がブランドを選ぶ際には、YouTubeやTikTokを参考にする機会が多く、Z 世代の約70% 前後が、少なくとも月に1回以上はこれらのサイトで新しいブランドを知ると回答しました。この数字は、他の世代と比べて高いです。(参照:アジア太平洋地域のZ世代は他の世代とどう違うか)
情報収集の特徴
Z世代は、SNSや動画共有サービスで情報収集する機会が多いです。
SNSをきっかけに商品がヒット
Z世代の消費行動で欠かせないのがSNSです。SNSでの紹介がきっかけとなり売れた商品は数多くあります。
2021年にはTikTokで紹介された『残像に口紅を』(著:筒井康隆)の売上が急増し、緊急重版となりました。
この本は1989年に発売されたSF小説で、Z世代が生まれる前の作品です。このようにTikTokがきっかけとなり売れる現象を「TikTok売れ」と呼びます。
ほかにも、大塚商会の食物繊維飲料「ファイブミニ」やKATEの口紅「リップモンスター」などがTikTok売れしました。
GoogleよりもSNSで「タグる」「タブる」
Googleなどて検索することを「ググる」といいますが、Instagramでのハッシュタグ検索を「タグる」、発見タブを閲覧することを「タブる」といいます。Z世代が求めている情報は、SNS検索のほうが早く入手できます。
情報収集にはInstagramやX(旧Twiiter)、知りたいことがあるときはYouTube、動画を見たいときはTikTokというように、Z世代はSNSを使いこなしています。
タイパ重視
NetflixやYouTubeには多くのコンテンツがありますが、自分の時間は限られています。Z世代はタイムパフォーマンスを意識して、動画を見る際に倍速再生で視聴することも多いです。音楽を聴くときにはイントロを早送りすることもあります。
家族や友人からの情報を重視
SNSをチェックして多くの情報に触れる機会が多いZ世代ですが、SNS投稿よりも家族や友人からの情報を信頼している傾向が高いというデータがあります。多くのユーザーが頻繁SNSを利用するけれど、投稿についてはそれほどしていないという結果です。
発信方法の特徴
Z世代は情報発信もSNSでおこなうことが多いです。
映え写真で「いいね!」をもらう
SNSの投稿では、何枚もの写真から1枚選び、アプリを使って加工し、吟味した内容でSNSに投稿。友人たちから「いいね!」をもらいたいという承認欲求がはっきりしているのもZ世代の特徴です。
「ユーチューバー」「インフルエンサー」になりたい
まだ社会に出ていないZ世代のランキングで、将来なりたい職業としてユーチューバーやインフルエンサーが上位に入ります。自分の個性を表現して評価を得られる職業にあこがれを持っています。
Z世代以前では、学校生活に携帯電話を持ち込むことは禁止されているケースが多かったですが、最近では学校でSNSを活用しているケースがあります。
なかには学校の部活として「TikTok部」がある高校があります。 TikTok部では、教員の指導を受けながら、部員が動画の撮影・編集・出演を担当。この投稿を見たことがきっかけで、入学した学生もいるそうです。
Z世代にとってSNSは重要なコミュニケーションツールであり、楽しむ場所であり、自己表現の機会にもなっています。(参照:Z世代の将来に関する意識調査│memedays)
働き方の特徴
Z世代の一部は、すでに社会人として働いています。働き方の特徴として以下が挙げられます。
オフィスに出社が基本
KDDI株式会社の調査によると、Z世代の社会人が考える理想の働き方は、「できる限り毎日、オフィスへ出社する」が38.8%で最多です。
一番コミュニケーションが取りやすい方法では、「対面」と答えた方が61.2%と多い結果となっています。
この結果は、意外と思う方も多いのではないでしょうか。
コロナ禍には、Z世代の社会人は入社直後からリモートワークというケースを余儀なくされました。そんな世代だからこそ、リアルなコミュニケーションの価値を認めているのかもしれません。(参照:Z世代の理想の働き方は「オフィス」「対面」「地元」「安定」!?│KDDI株式会社)
ワーク・ライフ・バランスを重視
日本のZ世代は、ワーク・ライフ・バランスを重視する傾向があり、 仕事もプライベートも大事にしています。
Z世代の採用を考えている企業は、ワーク・ライフ・バランスに配慮した社内制度やコミュニケーションを取りやすい体制を整える必要があります。
Z世代へのマーケティング
マーケティングは、商品やサービスの提供にかかわる企業活動全般の戦略、戦術などを指します。
ターゲットに応じてマーケット手段を変えていくことで成果を得られます。
Z世代に向けてマーケティング活動をしたい場合、Z世代の特徴に合ったマーケティング手段を知っておくことが重要です。
ここからは、具体的なマーケティング手法を解説していきます。
マーケティングについては「マーケティングとは?その定義と歴史をふまえると、現代のマーケティングもわかる。おすすめ本も紹介!」でくわしく解説しています。
デジタルマーケティング
デジタルリテラシーの高いZ世代には、デジタルマーケティングが有効です。
デジタルマーケティングについては「デジタルマーケティングを基本から徹底解説!メリット、具体的な施策、活用事例を紹介」でくわしく解説しています。
デジタル施策は成果を検証できるので、PDCAを回しやすいというメリットがあります。
デジタルは24時間365日働いてくれるため、コストパフォーマンスも高いです。
デジタルのタッチポイントには、次のようなものが挙げられます。
- Webサイト
- Web広告
- SNS
- ウェビナー
- メール
- アプリ
- ビッグデータ
- VR/AR/MR
- IoT
- 動画
このようなチャネルやデータなどを関連付けながら活用するのが、デジタルマーケティングです。
Z世代は常に情報に触れているため、その人にとって興味関心の高いコンテンツでないと見てもらうことができません。パーソナライズされた広告を配信するにあたって、データを活用できるデジタルマーケティングは相性が良いです。
コンテンツでは、動画が効果を発揮します。Z世代は他の世代と比べると、YouTubeやTikTokなどの動画を視聴する量が圧倒的に多いです。
動画コンテンツのクオリティは視聴回数、認知度アップ、購買決定に影響力を持つため、企業も動画に力を入れる必要があります。
タイムパフォーマンスを意識するZ世代に対しては、再生時間の長いものではなく、短尺のショート動画がおすすめです。
他にZ世代向けの施策として「メタバース」の活用もおすすめです。
メタバースとは、インターネット上につくられた仮想空間のことです。
Z世代はメタバースにも親しんでいる世代であるため、マーケティングにも活用できる可能性があります。
アメリカでは、すでにZ世代の88%がメタバースを経験したことがあるという調査データもあります。(参照:Z世代の88%がすでにメタバースを経験。最新調査5枚のスライドが示唆する「Web3エンタメ」の可能性)
メタバースについては「【2023年版】メタバースとは? 仮想空間でできることやメリット・デメリット、ビジネスへの活用を解説」でくわしく解説しています。
SNSマーケティング
Z世代はSNSを最も長時間活用している世代です。メディア事業などを展開するテスティーの調査によると、「SNSを利用している」と回答した割合は中学生で97.3%、高校生で98.9%、大学生で97.9%という結果でした。(参照:SNS利用に関する調査│株式会社テスティー)
これだけ多くのZ世代がSNSを利用しているため、企業はSNS活用が欠かせません。SNSマーケティングは、
- 企業アカウントの運用
- SNS広告
の2つから成ります。SNS広告は、会員を対象として年齢・居住地などを正確にターゲット設定できるので、今後ライフイベントが多いZ世代への訴求に適しています。
SNSは顧客との距離が近く、インタラクティブなコミュニケーションがしやすいです。商品やサービスの認知度アップや購入につなげられる可能性もあります。さらに収集したユーザーの声を、ブランディングや商品開発に活かすことができます。
最近では、SNSのアプリやWebサイト内で直接商品を購入できる「ソーシャルコマース」が実装されるケースもみられます。
実際にSNSがきっかけで売れた商品に「地球グミ(正式名称:トローリ プラネットグミ)」があります。
インフルエンサーがSNSで紹介したことで、食べてみたいと思った人や同じようにSNSで紹介したいと思った人が急増し、品切れが続きました。
炎上や簡単に撤退できない点など、気を付けなければならない点もありますが、SNSを活用することでZ世代にリーチできる可能性が高まります。
ソーシャルメディアマーケティングやSNSを用いたマーケティングについては以下の記事でくわしく解説しています。
参考:ソーシャルメディアマーケティングとは?基礎知識や具体的な手法、SNS活用方法も解説
参考:SNSマーケティングとは?5つの施策ポイントや成功事例、BtoBで有効な事例も紹介
体験型キャンペーン
Z世代はモノよりコトに価値を感じます。
ここでの「コト」とは具体的には、特別な旅行やイベント、大切な人との会食、体験などです。
2021年6月、スターバックスコーヒーから「47 JIMOTO フラペチーノ」が発売されました。
全国47都道府県で、それぞれ違ったフレーバーのフラペチーノを楽しめるというものです。
Z世代の間でも、各地のフラペチーノを楽しむ「都道府県スタバ巡り」が話題になりました。
購入した限定フレーバーのフラペチーノをSNSに投稿する人も多く、SNS上でも大きな話題になり、Twitterのトレンド入りもするほど話題となったキャンペーンです。
都道府県スタバ巡りは、SHIBUYA109 lab.が公開した「SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2021」の体験部門の1位になりました。
この例のように、思わず体験してみたくなるキャンペーンを実施することで、Z世代の関心を捉えることができます。
スポンサーシップ
Z世代は、広告よりも自分が所属しているコミュニティ内の情報を信頼する傾向が見られます。
そうしたコミュニティを支援する「スポンサーシップ」もひとつのマーケティング手段です。
たとえば、Z世代と親和性の高いe-sportsのコミュニティや大会などへのスポンサーシップなどが考えられます。
海外では、飲料メーカーのレッドブルやファッションブランドのルイ・ヴィトンが、e-sportsのスポンサードをしています。
レッドブルは、日本のe-sportsへのスポンサーシップも活発です。
※2018年2月に、レッドブルが手がけるアジアで最初のゲーミングスペース「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」を東京都中野区にオープンしています。
日本の事例では、一般社団法人日本野球機構とコナミデジタルエンタテイメントが共催したe-sportsイベント「eBASEBALLプロスピAリーグ2021シーズン」があります。
このイベントのスポンサーシップ効果調査によると、約40%のファンがスポンサーシップによりブランドイメージが向上したと回答しました。(参照:Z世代におけるeスポーツおよびゲーム空間における広告価値の検証事業│経済産業省、KPMGコンサルティング株式会社)
特に13-15歳の層では、約50%がスポンサーシップによりブランドイメージが向上したと回答しており、Z世代のなかでも若い層へ訴求効果が高い傾向にあります。
インフルエンサーマーケティング
Z世代はテレビその他のマスメディアをあまり見ないので、テレビCMや新聞雑誌への広告では効果が得られないでしょう。
それよりもZ世代に効果的な方法のひとつに、インフルエンサーマーケティングがあります。
インフルエンサーとは、世間に対して与える影響力の大きい人のことをいいます。
SNSのフォロワー数や、YouTubeのチャンネル登録者数が多い方は、まさにインフルエンサーです。
好きなインフルエンサーが紹介する商品やサービスは、Z世代に受け入れられる可能性が高いです。
企業がインフルエンサーマーケティングを検討する際には、Z世代に人気のあるインフルエンサーを知っておくことが大事です。
まとめ
本稿のポイントは以下です。
1. Z世代とは、1996年から2012年に生まれた世代で、全世界共通の世代カテゴリです。
2. X世代は1965~1979年、Y世代は1980~1995年、α世代は2013年以降に生まれた人のことです。
ミレニアル世代とZ世代を比較すると、Z世代のほうがデジタルリテラシーが高く、現実主義で堅実、といわれています。
3. Z世代の特徴として、以下があります。
・多様性を理解し尊重する
・環境問題、社会課題への関心が高い
・エモ消費を好む
・リサーチしてからネットショッピング
・SNSで「タグる」「タブる」
・タイパ重視
・ワーク・ライフ・バランスを重視
4. Z世代へのマーケティング施策として、以下が有効です。
・デジタルマーケティング
・SNSマーケティング
・体験型キャンペーン
・スポンサーシップ
・インフルエンサーマーケティング
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