ソーシャルメディアマーケティングとは?基礎知識や具体的な手法、SNS活用方法も解説

Facebook、X(旧:Twitter)、Instagram、LINEなどのソーシャルメディアは、購買行動の動機付けとして重要です。
月に1回以上SNSの情報に触れて商品・サービスを購入する消費者は47%、投稿を見て商品・サービスを欲しくなった経験がある人は79.8%というデータがあります。
出典:SNSを介した購入経験に関する調査|THECOO株式会社

また、若い世代では検索のためにGoogleよりもSNSを使うことが増えています。10代では検索エンジン69%に対してSNSの方が73%と上回っています。
出典:生活者年末ネット調査│野村総合研究所

今回は、常に話題を集めるソーシャルメディアを舞台にした、ソーシャルメディアマーケティング(SMM)をとり上げ、主にBtoCで活用されるソーシャルメディアマーケティングのメリットや手法について解説します。後半では、BtoBビジネスについても考えていきます。

ソーシャルメディアマーケティングとは?

ソーシャルメディアの現状と、ソーシャルメディアマーケティングについて紹介していきます。

ソーシャルメディアとは?SNSとの違いは?

ソーシャルメディアマーケティングとは何か?の前に、「ソーシャルメディア」の定義と、ソーシャルメディアとSNSの違いを確認します。

ソーシャルメディアとは、多くの人が参加して、ユーザー自身が情報を発信したりユーザー同士がコミュニケーションをはかったりできるインターネットメディアの総称です。

以下は、ソーシャルメディアの種類とサービス例を総務省が示した2015年の表をもとに、最新の情報を追加してまとめたものです。

ソーシャルメディアの種類と代表的なサービス例
種類 サービス例
ブログ アメーバブログ、ココログ、ライブドアブログ、note
SNS Facebook、X、Instagram、Linkdin
動画共有サイト YouTube、TikTok
メッセージングアプリ LINE、WhatsApp、Viber
情報共有サイト 価格コム、食べログ、クックパッド、DELISH KITCHEN
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク、Pocket

表からわかるように、SNSはソーシャルメディアのひとつの種類です。

SNSとは、個人や企業のユーザーが情報を発信でき、ユーザー同士が情報を共有できるしくみがあるサービスのことをいいます。LINEは、個人間でメッセージをやりとりする機能を使うだけではSNSとはいえませんが、不特定多数への投稿や情報共有の機能があるので、マーケティングではSNSに分類されます。

アクティブユーザー数が日本で最も多いのはLINEの9500万人、世界ではFacebookの30億人です。
ソーシャルメディアにはユーザーが情報を簡単に入手・発信・共有できるしくみ、多くの人にスピーディーに情報が拡散するしくみがあり、スマートフォンの普及とともに、生活に欠かせないメディアとなっています。

ソーシャルメディアマーケティングとは

ソーシャルメディアマーケティングとは、ソーシャルメディアを活用するマーケティングのことです。

ただし、上に挙げたような多くのソーシャルメディアを使うというよりは、主にFacebook、X、Instagram、LINEといった有力なSNSを活用することがほとんどです。
また、YouTubeはソーシャルメディアの一種といえますが、YouTubeの活用はソーシャルメディアマーケティングというよりは動画マーケティングにカテゴライズされることが多いです。

SNSマーケティングという用語もあり、日本ではソーシャルメディアマーケティングとほぼ同じ意味で使われる場合がほとんどです。

本記事でもこの後、Facebook、X、Instagram、LINEなどを活用するソーシャルメディアマーケティングについて述べていきます。

ソーシャルメディアの移り変わりと最新事情

2022年度SNS利用動向に関する調査では、日本のSNS普及率は80%を超えたという結果があります。

日本におけるSNS利用者数のグラフ
出典:2022年度 SNS利用動向に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】

最も利用されているのはLINE、そのあとにYouTube、X、Instagramと続きます。(※図のTwiiterは現・X)

主なSNSの利用率のグラフ
出典:2022年度 SNS利用動向に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】

また、総務省が発表した情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書によると、ソーシャルメディアの国内の利用率はLINE、Instagramが急成長していることがわかります。(※図のTwiiterは現・X)

【経年】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代)
主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代)のグラフ│総務省
出典:令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書│総務省情報通信政策研究所

冒頭で紹介したように、Instagramは情報検索にも利用されています。
Instagram、Facebook、LINEではアプリやWebサイト内で直接商品を購入できる「ソーシャルコマース」が実装されました。LINEはYahoo!との統合により、ソーシャルコマースを強化する方針です。

ソーシャルメディアマーケティングのメリット・デメリット

ソーシャルメディアマーケティングのメリットとして、以下が挙げられます。

《ソーシャルメディアマーケティングのメリット》

スピーディーに情報を発信し、レスポンスを受け取れる
投稿機能によりWeb広告などよりも早く情報発信して、その反応も受け取ることができます。たとえば、ECサイトのタイムセールのような情報をリアルタイムで届けられます。

低コストで運用できる
多くの企業公式アカウントは無料で始められるので、低コストでマーケティング活動ができます。

自社のWebページへ誘導できる
新規ユーザーに商品やサービスのランディングページを見てもらうための施策としてはWeb広告やSEOがありますが、SNSへの投稿から自社のページへ誘導することは、広告よりも低コスト、SEOよりも即効性がある施策といえます。

顧客との相互コミュニケーションがとりやすい
ソーシャルメディアを介してユーザーとダイレクトにコミュニケーションをとることができます。顧客の率直な感想や要望をリアルタイムで集めることも容易です。

潜在顧客にリーチできる
ソーシャルメディアは、Web広告などの他の方法ではリーチしにくい潜在顧客に情報を届けられる可能性が高いメディアです。すぐに購入予定はないが、今後購買の可能性がある潜在顧客に対しても、ソーシャルメディアからの発信が有効です。
参考:潜在顧客とは? 顕在顧客、見込み顧客との違いやアプローチ方法、企業事例を解説

ターゲットを絞り込んだ広告ができる
ソーシャルメディア内では、会員のプロフィールに基づいたターゲット広告が可能です。サードパーティークッキーが2024年までに廃止され、Web広告のターゲティングに制限がかかることを考えると、ソーシャルメディアはさらに重要となりそうです。
参考:Cookie規制の現状と、マーケティング部門がすぐやるべき5つの対策。シャノンが提案する新技術もご紹介 !

ブランディング効果がある
企業アカウントの投稿が注目されてネットニュースになることもしばしばあります。企業名や商品名などの人気を高め、ブランド認知度を上げる効果があります。

ファンマーケティングがしやすい
投稿や各種のコミュニケーションにより、企業とユーザーの距離を近づけることができます。役立つ情報を届けたり、限定の特典を提供したりすることでファンを拡大し、顧客ロイヤリティを高めます。

一方、ソーシャルメディアマーケティングには以下のようなデメリットもあります。

《ソーシャルメディアマーケティングのデメリット》

差別化が難しい
競合他社の企業アカウントがある中で見てもらうため、差別化する必要があります。選ばれるためには情報発信の頻度を上げ、コンテンツにも工夫をする必要があります。

炎上などのリスクがある
ユーザーと直接コミュニケーションをとれることがソーシャルメディアの魅力ですが、反面ちょっとしたことでコミュニケーション不全が発生する可能性があり、炎上のリスクもあります。

簡単に撤退できない
一般ユーザーはソーシャルメディアでどう振る舞うかを自由に決めることができ、アカウント削除も簡単ですが、企業アカウントは常に情報発信を期待され、簡単に休止・撤退ができません。運用を持続できる体制を整えて参入する必要があります。

ソーシャルメディアの特徴と活用方法

Facebook、X、Instagram、LINEの特徴を理解し、ソーシャルメディアマーケティングに活用しましょう。

BtoBでも活用例がある世界最大のSNS:Facebook

  • 国内アクティブユーザー数:2,600万人
  • 世界アクティブユーザー数:30億3,000慢人
  • 機能:投稿・友達・いいね!・コメント・シェアボタン・ユーザーのセグメント など

ユーザーの年齢層は高め、実名で登録している社会人が多いので、BtoBビジネスにも向いています。企業アカウントを登録して発信するほか、Facebook広告はターゲットをセグメントできて効果の実績も上がっています。

投稿・広告とも、展示会・ウェビナー・イベント告知などでいい反応が得られます。世界最大のソーシャルメディアなので、グローバルな発信にも向いています。

BtoCでは写真や動画入りの投稿で注目を集め、ショップエリアで商品を販売することができます。

投稿数を確保できれば成果につながる:X

  • 国内アクティブユーザー数:4,500万人
  • 海外アクティブユーザー数:3億3,300万人
  • 機能:ツイート・いいね!・フォロー・リツイート・メンション・リプライ・ハッシュタグ など

ユーザーの年齢層は幅広く、複数の匿名アカウントを使っているユーザーが多いことも特徴です。「話題になった商品が一瞬で売切れ」ということがしばしば起きる、即効性と影響力のあるメディアです。

FacebookやInstagramで発信する内容をXにも告知するといった使い方のほか、アカウントを本格運用する場合は「毎日10ツイート以上」のように一定量の投稿をすれば多くのユーザーの目に止まり、フォロワーを伸ばせる可能性があります。

公式アカウントとスタッフアカウントなど複数のアカウントで投稿するのも効果があります。

BtoC向けの商品・サービスに向く:Instagram

  • 国内アクティブユーザー数:約3,300万人
  • 世界アクティブユーザー数:10億人以上
  • 機能:投稿・ハッシュタグ・いいね!・コメント・フォロワー・ストーリー など

年齢層は10代から50代くらいまで幅広く、女性のほうがユーザー数が多いだけでなく利用頻度も高い傾向です。利用者はInstagramの投稿を消費行動の参考にしているので、BtoCマーケティングに向いています。

また、雑誌のビジュアルのようなおしゃれな写真や動画が必須なので、見映えのする商材が適しています。「Shop Now」機能により直接販売することもできます。

幅広い商品やサービスに対応可能な国内最大のSNS:LINE

  • 国内アクティブユーザー数:9,500万人
  • 世界アクティブユーザー数:1億9,900万人
  • 機能:投稿・スタンプ・クーポン・投稿・タイムライン など

「国民的アプリ」といえるLINEはユーザー数が最大の魅力で、TVCMなどと比較しても格段に大きな母数を対象に告知ができます。

ユーザー分布は日本人全体の年齢構成や居住地分布とほぼ等しくなっていて、他のソーシャルメディアと比較して地方ユーザーに強いことも特徴。幅広く発信したい大企業から地域性の強い中小企業まで多くのBtoC企業にとって使いやすいメディアです。

企業がスタンプ配布などでフォロワーを集客するというスタイルが確立され、ショップ機能も活用されています。

ソーシャルメディアマーケティングの具体的な手法

ソーシャルメディアマーケティングの具体的な手法について紹介します。

ソーシャルメディアマーケティングで主要な2つの施策

ソーシャルメディアマーケティングに取り組むときは、主に以下2つの施策を行います。

企業アカウントの運営
ソーシャルメディアマーケティングを開始するとき、最初に取り組むことは企業アカウントの運営です。Facebook、X、Instagram、LINEの各ソーシャルメディアでは無料で企業アカウントを開設・運用できます。

しかし、無料で簡単とはいうものの、安易に開始することには注意が必要です。
開設後は定期的に投稿を継続していく必要があるので、あらかじめ運用方針とKPIを決め、先々までの投稿コンテンツを準備しておくことが大切です。

活用するSNSは、企業のターゲットに合わせて選択します。1つまたは2つ程度から始めることがおすすめです。

SNS広告の配信
企業アカウントからの投稿だけではユーザーの目に留まる機会が少ないため、積極活用したい場合はSNS広告を実施します。

SNS広告は、登録者を対象とするのでターゲット設定がしやすいこと、投稿と同じフォーマットで広告が表示されるので目に触れやすいことがメリットです。クリエイティブとしてはテキスト、画像、動画、カルーセルなどを使用できます。

SNS広告と合わせて企業アカウントからの配信をすること、SNS広告をクリックしたときに着地するランディングページを整備しておくこともポイントです。

ソーシャルメディアマーケティングで行う、その他の手法

ソーシャルメディアマーケティングにはほかに以下の手法があります。必要に応じてこれらの施策を活用できます。

SNSキャンペーン
特定の商品やサービスを広めるためのキャンペーンを展開します。たとえば、Xで決められたハッシュタグをつけて個人アカウントから投稿したユーザーに特典を贈るといった方法です。売上アップのほか、閲覧数やフォロワーを増やすために有効です。

インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、SNS内にフォロワーが多く影響力があるインフルエンサーに自社の商品やサービスを含む投稿を依頼する方法です。必ず「PR」などの表示をして、ステルスマーケティングではないことを明示することがポイントです。

ソーシャルリスニング
SNSを利用してユーザーリサーチをすることをいいます。ユーザーの何気ない会話を幅広く集めて分析し、商品開発に役立てたり、自社商品についてのホットなユーザーの声を集めるために特設サイトを用意したりすることができます。

BtoB企業はソーシャルメディアマーケティングにどう取り組む?

BtoBビジネスではソーシャルメディアマーケティングの領域で何ができるかを最後にまとめます。

BtoBで活用できるのは「Facebook」「X」「YouTube」

BtoC企業のオウンドメディアにはLINE、Instagram、Facebook、Xの4つのシェアボタンが並んでいることが多いです。さらにYouTubeやTikTokが表示されていることもあります。

しかしBtoBマーケティングでは、ソーシャルメディアマーケティングはまだ普及していません。ビジネスのコミュニケーションは現在もSNSよりメールが一般的だからです。

そんな中でも、Facebook、X、YouTubeの3つは活用実績があります。

Facebookでは「企業公式アカウント」のほか、「マーケティングチーム」など事業部門アカウントを同時に運用することもあります。Xではこれらに加えて、「中の人」や個人名スタッフなどでキャラクターを明確にしながら投稿することも効果的です。

YouTubeではウェビナーの内容を切り抜き、テロップをいれて見やすい形に編集し投稿することで、メールマガジンのコンテンツとして活用することが可能です。

シャノンもSNSを活用したマーケティング施策に取り組み始めています。内容については以下でくわしくご紹介しておりますので、気になったSNSがあればぜひフォロー・登録をお願いします。
※シャノンのSNSはこちら

グローバルに発信したい場合は、世界で幅広く使用されている「LinkdIn」も選択肢に入ってきます。LinkedInは経営者や管理職のビジネスユーザーが多いのが特徴ですが、この記事でほかに取り上げたツールと比較すると日本人ユーザーは少なめです。

少ないとはいえ日本国内に200万人のユーザーがいるので、これらのユーザーを対象としたマーケティング活動も可能です。

ブランディング・採用などを目的とするなら、SMM活用の幅が広がる

企業にとってのソーシャルメディアの活用の目的は売上拡大だけではありません。
ブランディングや人材採用を目的にするなら、LINEやInstagram、さらに採用マーケットに強いLinkdInも活用可能です。

今後も新たなソーシャルメディアが主流となる可能性は十分にあり、既存のソーシャルメディアの利用のされ方も、ソーシャルメディアマーケティング全体の戦略も変化していくでしょう。

たとえばTikTokは当初若年層から広がりましたが、現在日本のユーザーの平均年齢は30代まで上昇。すでにBtoCビジネスで活用されていますが、このような新しいメディアも今後BtoBに広がっていくかもしれません。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

1. ソーシャルメディアマーケティングとは、日本でSNSと呼ばれているFacebook、X、LINE、Instagramなどを活用するマーケティング活動のことです。SNSがさらに拡大している現代、ソーシャルメディアマーケティングは重視すべき分野です。

2. ソーシャルメディアマーケティングのメリットとデメリットは以下です。
《ソーシャルメディアマーケティングのメリット》
・スピーディーに情報を発信し、レスポンスを受け取れる
・低コストで運用できる
・自社のWebページへ誘導できる
・顧客との相互コミュニケーションがとりやすい
・潜在顧客にリーチできる
・ターゲットを絞り込んだ広告ができる
・ブランディング効果がある
・ファンマーケティングがしやすい

《ソーシャルメディアマーケティングのデメリット》
・差別化が難しい
・炎上などのリスクがある
・簡単に撤退できない

3. ソーシャルメディアマーケティングの主な手法は、企業アカウントの運用とSNS広告です。まず無料の企業アカウントを開設して運用することから始めます。

4. BtoBではソーシャルメディアマーケティングはあまり活用されていませんが、現状ではFacebook、X、YouTubeが効果的です。

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