最近、「世界全体でGoogle検索におけるクリック数が減少している」というデータ があります。
出展:ICT総研2018年度 SNS利用動向に関する調査
その背景には「検索エンジンの性能向上」があるとされていますが、ちがった見方もあります。
それは、情報収集の手段が「検索エンジンからソーシャルメディアへ」シフトしたというものです。
日本でもそれを裏付ける情報があります。プレジデントオンラインの記事「10代がグーグルよりインスタで探す理由(2019年4月)」では、女子高生がInstagramでハッシュタグ#をつけたキーワードで検索し、飲食店やコスメの情報に素早くアクセスしている事例が紹介されています。
president.jp
ソーシャルメディアは今後も拡大する見込みです。
仮にGoogleが独占していた検索機能などに活用されるようになっていくとしたら、BtoBマーケティングにも重大な影響が出てくるでしょう。
今回は、普段の生活でも当たり前のものになったソーシャルメディアを活用した、ソーシャルメディアマーケティング(SMM)がテーマです。
ソーシャルメディアマーケティングとは? 今後重要性が増すのはなぜか
ソーシャルメディアの現状と、ソーシャルメディアマーケティングについて紹介していきます。
ソーシャルメディア、ソーシャルメディアマーケティングとは?
ソーシャルメディアマーケティングとは何か?の前に、「ソーシャルメディア」とは何でしょうか。
ソーシャルメディアとは、多くの人が参加でき、ユーザー自身が情報を発信したりユーザー同士がコミュニケーションをはかったりできるメディアの総称です。
ソーシャルメディアの定義にあてはまるメディアとしてYouTube、各種の口コミサイト、ブログなどを含める場合もありますが、本記事では日本で多くの人に利用されているFacebook、LINE、Twitter、Instagramなどに限定し、これらのメディアを活用する「ソーシャルメディアマーケティング」を論じていきます。
Facebook、LINE、Twitter、InstagramなどはSNSと呼ばれていますが、世界的には「SNSマーケテイング」ではなく「ソーシャルメディアマーケティング」と呼ぶことが一般的です。
ソーシャルメディアの移り変わりと最新事情
日本のSNS普及率は80%を超えたという最新の調査結果があります。最も利用されているのはLINE、そのあとにTwitter、Instagramと続きます。
出典:2020年度 SNS利用動向に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】
出典:2020年度 SNS利用動向に関する調査|ICT総研【ICTマーケティング・コンサルティング・市場調査はICT総研】
また、総務省のレポートではソーシャルメディアの利用率を時系列で示しています。Instagramが急成長していることがわかります。
冒頭で紹介したように、Instagramは情報検索にも利用されていますが、それだけではなくショッピングでも利用されることが増えています。
Instagramのほかにも、Facebook、LINEではアプリやWebサイト内で直接商品を購入できる「ソーシャルコマース」が実装されました。
LINEはYahoo!との統合により、ソーシャルコマースを強化する方針です。
ソーシャルメディアマーケティングの目的と注意点
企業にとってソーシャルメディアは、以下のような特徴をそなえています。
- 顧客との距離が近い
- インタラクティブなコミュニケーションがしやすい
- ユーザーのプロフィールや行動履歴の情報を得やすい
これらをふまえ、ソーシャルメディアマーケティングの目的の一例を挙げていきます。
《ソーシャルメディアマーケティングの目的》
1 商品やサービスの認知度アップ
企業アカウントからの情報発信やターゲットを絞ったSNS広告により、効率よく商品やサービス、ブランド名を告知できます。
2 ファンを増やす
ロイヤリティが高く商品やサービスを他のユーザーにもすすめてくれるファンを増やす目的にもソーシャルメディアマーケティングが有効です。
投稿や各種のコミュニケーションにより、企業とユーザーの距離を近づけることができます。
3 商品やサービスの販売、その他のCV
ソーシャルコマース機能により、CVを目的としたマーケティング活動には今まで以上に期待ができます。
4 ユーザーの意見・要望を収集する
タイムリーに、そしてダイレクトにユーザーの声を収集し、ブランディングや商品開発に活かすことができます。
5 企業ブランドの強化
企業名の認知度アップ、企業ブランディングにも活用できます。
一方で、ソーシャルメディアマーケティングで注意したい点もあります。
《ソーシャルメディアマーケティングの注意点》
1 炎上など、コミュニケーションに失敗するリスクがある
ユーザーと直接コミュニケーションをとれることがソーシャルメディアの魅力ですが、ちょっとしたことでコミュニケーション不全が発生する可能性があり、炎上のリスクもあります。
2 簡単に撤退できない
一般ユーザーはソーシャルメディアでどうふるまうかを自由に決めることができますが、一度スタートさせた企業アカウントは常に情報発信を期待され、簡単に休止・撤退ができません。運用を持続できる体制を整えて参入する必要があります。
ソーシャルメディアの特徴と活用方法
Facebook、LINE、Twitter、Instagramの特徴を理解し、ソーシャルメディアマーケティングに活用しましょう。
BtoBでも活用しやすい「Facebook」
ユーザー数:約2,800万人
機能:投稿・友達・いいね!・コメント・シェアボタン・ユーザーのセグメント など
ユーザーの年齢層は高め、実名で登録している社会人が多いので、BtoBビジネスにも向いています。
企業アカウントを登録して発信するほか、ターゲットを絞って発信できる広告の実績も上がっており、
投稿・広告とも、展示会・ウェビナー・イベント告知などでよい反応が得られます。
世界最大のソーシャルメディアなので、グローバルな発信にも向いています。
BtoCでは写真や動画入りの投稿で注目を集め、ショップエリアで商品を販売することができます。
投稿数を確保できれば成果につながる「Twitter」
アクティブユーザー数:約4,500万人
機能:ツイート・いいね!・フォロー・リツイート・メンション・リプライ・ハッシュタグ など
ユーザーの年齢層は幅広く、複数の匿名アカウントを使っているユーザーが多いことも特徴。
「話題になった商品が一瞬で売切れ」ということがしばしば起きる、影響力のあるメディアです。
FacebookやInstagramで発信する内容をTwitterにも告知するといった使い方のほか、本格運用する場合は「毎日10ツイート以上」のように一定量の投稿をすれば多くのユーザーの目に止まり、フォロワーを伸ばせる可能性があります。公式アカウントとスタッフアカウントなど複数のアカウントで投稿するのも効果があります。
BtoC向けの商品・サービスに向く「Instagram」
アクティブユーザー数:約4,800万人
機能:投稿・ハッシュタグ・いいね!・コメント・フォロワー・ストーリー など
年齢層は10代から50代くらいまで幅広く、女性のほうがユーザー数が多いだけでなく利用頻度も高い傾向です。
利用者はInstagramの投稿を消費行動の参考にしているので、BtoCマーケティングに向いています。
また、雑誌のビジュアルのようなおしゃれな写真や動画が必須なので、見映えのする商材が適しています。
さらに「Shop Now」機能によりInstagram上で直接販売できます。
幅広い商品やサービスに対応可能な「LINE」
アクティブユーザー数:約8,600万人
機能:投稿・スタンプ・クーポン・投稿・タイムライン など
「国民的アプリ」といえるLINEはユーザー数が最大の魅力でTVCMなどと比較しても格段に大きな母数を対象に告知ができます。
ユーザー分布は日本人全体の年齢構成や居住地分布とほぼ等しくなっていて、他のソーシャルメディアと比較して地方ユーザーに強いことも特徴。
幅広く発信したい大企業から地域性の強い中小企業まで多くのBtoC企業にとって使いやすいメディアです。
スタンプ配布などでフォロワーを集客するというスタイルが確立され、ショップ機能も活用されています。
BtoB企業はソーシャルメディアマーケティングにどう取り組む?
BtoB企業はソーシャルメディアマーケティングで何ができるかを最後にまとめます。
商品やサービスの情報を届けるなら「Facebook」「Twitter」
BtoC企業のオウンドメディアにはLINE、Instagram、Facebook、Twitterの4つのシェアボタンが並んでいることが多いです。
しかしBtoBマーケティングで現状普及しているのはFacebook、Twitterです。
Facebookでは「会社公式アカウント」のほか、「マーケティングチーム」など事業部門アカウントを同時に運用することもあります。
Twitterではこれらに加えて、「中の人」やスタッフなど、個人名アカウントでキャラクターを明確にしながら投稿することも効果的です。
グローバルに発信したい場合は、世界で幅広く使用されている「LinkedIn」も選択肢に入ってきます。
LinkedInは経営者や管理職のビジネスユーザーが多いのが特徴ですが、この記事でほかに取り上げたツールと比較すると日本人ユーザーは少なめです。
少ないとはいえ日本国内に200万人のユーザーがいるので、これらのユーザーを対象としたマーケティング活動も可能です。
ブランディング・採用などを目的とするなら、SMM活用の幅が広がる
企業にとってのソーシャルメディアの活用の目的は売上拡大だけではありません。
ブランディングや人材採用を目的にするなら、LINEやInstagram、さらに採用マーケットに強いLinkdInも活用可能です。
この数年でInstagramが急成長したように、今後も新たなソーシャルメディアが主流となる可能性は十分にあり、既存のソーシャルメディアの利用のされ方も変化していくでしょう。
たとえばTikTokは当初若年層から広がりましたが、現在日本のユーザーの平均年齢は30代まで上昇。
すでにBtoCビジネスで活用されていますが、今後BtoBに広がっていくかもしれません。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. ソーシャルメディアとは、日本でSNSと呼ばれているFacebook、Twitter、LINE、Instagramなどで、現在もユーザーが拡大しています。
ソーシャルメディアマーケティングは今後重視すべき分野です。
2. ソーシャルメディアマーケティングの目的は以下です。
- 商品やサービスの認知度アップ
- ファンを増やす
- 商品やサービスの販売、その他のCV
- ユーザーの意見・要望を収集する
- 企業ブランドの強化
3. BtoBでソーシャルメディアマーケティングに取り組む場合、現状ではFacebook、Twitterが向いています。