MAツールとSFA/CRMとの連携、どう進める?マーケティングとセールスの両部門を効率化するには

f:id:shanon_marketing:20210518125947p:plain

見込み客の獲得から始まるMA(マーケティングオートメーション)を導入している、あるいは検討している企業にとって、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)との連携は大きな関心事です。

MAとSFA/CRMなどの他のシステム連携する機能は、既存のMA・SFA・CRM各ツールの多くで実装されています。 しかし、MAとSFA/CRMを連携して狙い通りの成果を得ることは簡単ではありません。

一番重要なのは「何を連携するのか」という問題です。システム的には「あれもこれも」連携することが可能ですが、多くのデータを連携すれば管理のための作業も増え、手間暇がかかる割に実績が上がらないということも起こり得ます。

今回は、MAとSFA/CRMそれぞれの定義づけを確認し、SFA/CRM連携のメリットは何か、確実に成果を積み上げるためのポイントは何か、などの全体像について述べます。 連携の具体例については、次回以降の記事で個別に解説していく予定です。

SFA/CRMとは? MAとの違いを改めて確認

SFA、CRMとは何か、MAとはどんな役割分担をしているのかについて、まず確認していきます。

SFAとは、営業部門の活動を効率よく支援するシステム

SFAとは、Sales Force Automationの略で、営業支援システム、営業支援ツールなどと呼ばれることもあります。SFAは、営業部門が顧客を獲得し売上をつくるための業務を可視化・共有・自動化します。 主な機能は以下です。

《SFAの主な機能》

  • 案件管理
    案件とは、商談から受注~契約までの、ある顧客に対して進めていく営業プロセスの全体をいいます。この記事では、「商談」を起点として営業活動を進めていき、「契約」を経て「契約中」の状態となるまでの期間を案件管理の対象とします。

  • 商談管理
    商談の日時、参加者、商談内容などを管理します。

  • 名刺/顧客情報の一元管理
    名刺情報をデジタル化するとともに、他の顧客情報と一元管理します。

  • 日報/スケジュール管理
    日々の営業活動のスケジュールを管理・共有し、日報も簡単に作成・蓄積することができます。

  • 予実管理
    予実の最新の達成状況を把握し、今すべきことを見える化。行動の優先順位決定に役立ちます。

各機能の情報はすべてクラウド上で管理され、チームでリアルタイムに情報を共有することによって、マネージャーはメンバーにスピーディーに次の指示やアクションをすることができます。 この他に、営業担当者を支援する地図/道案内、Todo、アラート、見積書/企画書作成支援などの機能も備えていることが多いです。

CRMとは、顧客情報を最大限活用するシステム

CRMは、Customer Relationship Managementの略で、顧客関係管理、顧客管理システムなどと呼ばれている方法です。 顧客情報を重要な経営資源として最大限に活用するという考え方のもと、あらゆる顧客データを蓄積・管理します。主な機能は以下です。

《CRMの主な機能》

  • 顧客管理
    CRMの基本的な機能です。取引実績のほか、「セミナーに参加した」というマーケティング部門の履歴、「商品についての問い合わせがあった」というカスタマーサービスの履歴なども集約して一元管理します。

  • 問い合わせ管理
    既存顧客からの問い合わせ、意見・クレームなどを管理します。

  • 顧客分析
    蓄積されたデータをもとに、どんな顧客が自社商品を購入するのか、長期間顧客となるのかなどを分析します。

  • 顧客フォロー管理
    既存顧客向けのメール送信やアンケート、その他顧客とのコミュニケーション履歴を管理します。

CRMは継続的な顧客フォローにより追加受注を得ることが主な目的ですが、顧客満足度を高めるための各種施策を行うことで企業のブランドイメージ向上にも寄与します。

顧客に対しては取引拡大のためのプロモーションを行うので、SFAの役割も果たします。また、顧客に対してメールマーケティングなどのコミュニケーションをはかるので、MAと同じような機能も備えています。

MAとSFA/CRMの役割の違いとは

MA(マーケティングオートメーション)は、ゼロから見込み客(リード)を獲得するリードジェネレーション、リードの興味関心を引き上げるリードナーチャリング、商談可能なリードを見極めるリードクオリフィケーションから成ります。

参考:リードジェネレーションとは?見込み客獲得に有効なMA(マーケティングオートメーション)のはじめかた

www.shanon.co.jp

リードクオリフィケーションの段階で「商談可能」とされたリードは、営業部門に引き渡され、そこからはSFAの領域となります。 SFAは、見込み客との商談からクロージング~契約まで、つまり営業担当者の行動が対象です。 そしてCRMは、契約中の顧客に対するその後のフォローの段階を長期的にカバーします。

以下はMAとSFAの違いを表した図です。 f:id:shanon_marketing:20210421120613p:plain

MAはリードに対して、メールマーケティングなどでアプローチをはかり、主体はリードの側にあります。 「Webサイトを閲覧」「メルマガの開封」など「顧客がなにをしたのか」というリードの行動履歴を適切に管理して、商談可能なホットリードを増やすことがMAの重要な役割です。

これに対してSFAは、商談成約率の最大化を目的としたツールで、営業部門の担当者による商談、クロージング、見積もりなど「顧客へなにをしたのか」が管理の対象となります。

また、CRMは追加受注、再受注の最大化を目的としており、管理するのは顧客の行動、顧客への行動を問わず全般となります。

シャノンのマーケティングプラットフォームは、kintone、salesforce、eセールスマネージャーとの連携を可能にする「シャノンコネクト」を実装。 さまざまな製品をつながりあうオープンなプラットフォームです。

www.shanon.co.jp

MAとSFA/CRMを連携するメリットとデメリット

MAとSFA、CRMを連携することのメリットは多いですが、運用面での難しさもあります。連携のメリットとデメリットを整理します。

MAとSFA/CRM連携のメリット

MAとSFA/CRMを連携することで何ができるのでしょうか。メリットは以下です。

《MAとSFA/CRM連携のメリット》

1) 生産性が向上する

マーケティング部門は営業部門の、営業部門はマーケティング部門の顧客情報に常時アクセスできるようにすることでより豊富な情報を次のアクションに活かすことができます。

たとえば、MAでウェビナーへの新規申込者の情報を得たとき、そのリードにはSFAの取引履歴や商談履歴があり全くの新規リードではない可能性があります。 情報が連携されていれば、各リードに対してどの部門からアプローチをするべきかをすぐに決定できるでしょう。

また、契約が失注した顧客をMAへ引き渡す、商談が長期化している顧客でWebアクセス履歴があったアラートをSFAに渡す、といった連携ルールによりチャンスを増やすことが可能です。 両部門ともより優先順位の高い行動が可能になり、生産性が向上します。

2) 企業のデータマネジメントを最適化できる

MAのリード情報とSFA/CRMの顧客情報を一元的に管理することで、企業が持つデータ全体の精度が上がります。 精緻なデータの整備は管理部門など他部門にもメリットがあり、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進します。

3) より精度の高い効果測定や検証が可能になる

マーケティング部門から営業部門に引き渡したホットリードが、その後商談~契約へと順調に進んでいく場合もあれば、初回の商談で失注となってしまうこともあります。

営業部門で得られた結果を定量化してマーケティング部門にフィードバックすることにより、マーケティングチームはホットリードを判断する基準となるスコアリングの精度を検証できます。

参考記事:シャノンのリードクオリフィケーションとは?データの蓄積と商談後の分析がカギ

www.shanon.co.jp

また、CRMでは自社の商材の優良顧客の行動履歴や属性を分析しますが、その結果はマーケティング部門のペルソナ設定などに活用できます。

www.shanon.co.jp

4)  各部門のメンバーのスキルが上がる

マーケティング部門と営業部門で十分な情報共有ができていない、あるいは、人的な連携がうまくいっていないといった悩みを抱える企業もあります。 MAとSFA/CRMのデータ共有によりお互いの部門の状況が可視化され、コミュニケーションの機会も増えます。

マーケティング部門が営業部門にホットリードを引き渡す作業もスピーディーになるでしょう。 環境を整備することで両部門のチーム力がアップします。

1)~4)のような効果が上がることにより、売上拡大というゴールに結びつきます。

MAとSFA/CRM連携でデメリットとなりうる懸念点

MAとSFA/CRMの連携がただちによい成果をもたらさない場合も考えられます。 冒頭で述べたように、システムとしてのMAとSFA/CRM連携は容易ですが、だからこそ「何を連携し、それによりどんな成果を得るのか」について慎重に検討する必要があります。

《MAとSFA/CRM連携の注意点》

1) すべてを連携すると作業負荷が増えすぎる→連携するデータは絞り込む

MAやSFA/CRMのツールでは各項目を連携することが可能です。 しかしそのすべてを連携してしまうと、データの整備の手間がかかり、システムへの負荷も大きくなります。

また、マーケティング部門と営業部門それぞれで日々見るべき情報の量が増えたとしても、その中で実際に見たいデータ、役立つデータは限定的です。 有効に活用できるデータに絞り込んで連携をすることが大切です。

2) 定性的な情報は活用しづらい→「スコア」のような定量的なデータを連携

MAからSFAにデータを連携するとき、定性的な情報は参考にはなるが活用しにくいといえます。 例を挙げると、「直近1年以内にウェビナーに参加したことがあるorない」という情報があったとしても、そのデータだけでホットリードかどうかがわかりかねます。

しかし、「直近1年以内にウェビナーに参加で10点」「1か月以内のWebアクセスが10点」などのルールで複数の履歴をスコアリングした定量的なデータなら、1項目のみを連携するだけで参考情報として役立ちます。

f:id:shanon_marketing:20210421120606p:plain
複数の要素を定量評価する「スコア」の連携がおすすめ

3) 連携前にデータクレンジング、スコアリングを整備しておく

連携前に、MAとSFA/CRMそれぞれのデータクレンジングを同じルールで行い、データを整備する必要があります。 また、MAのスコアリングではPDCAを回すことによりスコアの精度が上がるので、一定期間運用して確度を上げてから連携をしたほうがスムーズです。

以上、連携の注意点について述べました。 1)~3)のような点に留意して進めていけば、マーケティング部門・営業部門双方にメリットをもたらし、企業全体のデータマネジメントを進展させることができるでしょう。

SFA/CRM連携を想定したMAツール選びのポイント

MAツールの導入を検討する段階で、SFA/CRMとの連携を想定しているのであれば、「連携のしやすさ」も考慮しましょう。 また、どんな運用をしたいのかについても、事前に可能な限りイメージしておきます。

自社にとってSFA/CRM連携しやすいMAツールを選ぶ

すでに自社で運用しているSFAやCRMがある場合、それらとの連携しやすさはMAツールを検討するうえでのポイントのひとつになります。 ほとんどのMAツールが各種のSFA/CRMと連携可能ですが、連携の相性のよさ、サポート体制は各社で異なります。

  • MA、SFA/CRMの各担当者に具体的な連携方法をヒアリング
  • 無料の試用期間やオンラインデモで実際の利用イメージを確認
  • 同業種の導入事例、連携事例などで情報収集

といった手段もとりながら比較検討しましょう。

「連携で何をしたいのか」を具体的にリストアップしておく

MAツールを選ぶ段階で、既存のSFA/CRMとの連携で何をしたいのかをリストアップし、優先順位もつけておきましょう。具体例として以下のようなものがあります。

《MAとSFA/CRM連携を考える企業の、よくある事例》

  • CRMのマーケティング機能を使用していたが、リード数が増えたのでMAツールを導入したい
    SFA/CRMのメール配信機能などを使用していたが、リード数が増えたので、今までの実績を引き継ぎつつ本格的にMAをスタートさせたいというケースです。

  • 失注した元顧客へのシームレスなマーケティングを実施したい
    失注した元顧客はSFA/CRMの管理対象からいったん外れますが、同時にMAに連携すれば、切れ目なく適切なコミュニケーションを継続することができます。

  • MAで獲得したリードのSFA/CRM内履歴をリアルタイムで参照したい
    ウェビナーに初参加したためMAで「新規のリード」として登録したが「実は既存顧客だった」というのはよくある事例です。 既存顧客だった場合、営業部門の担当者に速やかに情報を引き渡します。すでに失注した元顧客だった場合にも営業部門と情報共有ができます。

  • MAの効果測定のため、SFA/CRMの情報を活用したい
    メールマーケティングやスコアリングの効果を測定するにあたり、営業部門に引き渡したホットリードのその後の結果のフィードバックが役立ちます。

  • 営業担当者が商談準備をするにあたり、MAの情報を活用したい
    「どんなホワイトペーパーをダウンロードしたか」「Webサイトのどんなページを閲覧しているか」など、MAにおけるリードの履歴は、ホットリードとの商談の準備に役立ちます。

ここで挙げたようなMAとSFA/CRM連携事例の具体的な進め方などについては、次回以降の記事でさらに詳しく解説していく予定です。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

  1. MAは顧客の行動を管理、SFAは顧客への行動を管理、CRMは顧客情報全般を一元管理といったように、MA、SFA、CRMには役割の違いがあります。

  2. MAをSFA/CRMと連携することでマーケティング部門、営業部門の生産性が上がり、企業のDXも促進できます。

  3. 技術的には多くの項目を連携することが可能ですが、すべて連携すると作業負荷がかかります。連携して役立つ「スコア」のような項目のみを連携することがおすすめです。