RTB(Real Time Bidding)とは?しくみやメリットを紹介

Webサイトを見ているとき、ブラウザの再読込ボタンを押すたび同じWebページが更新されますが、広告枠には違う広告が表示されます。
この広告表示を支えている技術がリアルタイムビディング、RTBです。

今回は、現代のWeb広告に欠かせない技術であるRTBを取り上げます。
RTBとは何か、歴史的背景、メリットとデメリット、RTBのしくみと価格決定方式などについて、順を追って解説していきます。

RTBとは何? なぜ広まったのか

RTBとは何か、歴史的背景、メリットとデメリットを解説します。

RTB、リアルタイムビディングとは

RTBは、Web広告の用語です。
RTBとはReal Time Bidding(リアルタイムビディング)の略で、直訳は「即時入札」。ネット上の広告枠を売買する方法のひとつです。

ユーザーが見ているWebページに広告が1回表示されることを1インプレッションといいます。
RTBでは、1インプレッションごとにオークションが行われ、最も高額の入札単価を提示した広告主の広告が表示されます。RTBの所要時間は0.1秒未満で、ユーザーが新規にページを読み込む操作をして、そのページが表示されるまでのわずかな時間にこの取引が行われます。

Web広告の歴史的経緯とRTBの位置づけ

RTBは最新の広告配信方法ですが、そこへ至るまでのWeb広告配信方法の歴史を簡単に振り返ります。

最初のWeb広告
世界初のWeb広告は1994年、AT&Tが「HotWired」という雑誌メディアに掲載したバナー広告といわれています。このときは、メディアのWebページに広告バナーを直接貼り付ける形でした。広告枠の取引もメディアと広告主が1対1で直接行われていました。
参考:バナー広告とは?メリット・デメリット、出稿方法、効果があったバナー広告事例を紹介!

アドネットワークの登場
Web広告市場が拡大した2000年代、インターネット界の広告代理店といえる「アドネットワーク」が登場し、メディアと広告主の双方をとりまとめて配信されるようになりました。個別に取引する手間が減ったことがメリットですが、広告主にとって費用対効果が高い広告枠の組み合わせを選べない、メディアは最も高額を提示する広告主を選べないという課題がありました。

アドエクスチェンジの登場
広告枠ごとの取引を実現させるプラットフォームであるアドエクスチェンジが登場し、広告主・メディア双方の希望をかなえながら効率よく広告配信できるようになりました。アドエクスチェンジにおいて、メディア側は広告枠を最も高額で売ることができ、広告主側は予算枠内で費用対効果のいい広告配信ができます。
RTBは、アドエクスチェンジにおける広告枠の迅速なマッチングに活用されています。

アドエクスチェンジのようなしくみで配信される広告を「運用型広告」といいます。
一方、特定の広告枠を特定の広告主が購入する旧来の出稿方法を「純広告」といいます。

RTBのメリットとデメリット

RTBは、広告主と広告枠を売りたいメディア、それぞれに以下のようなメリットとデメリットがあります。

広告主のメリット
広告主は、設定予算枠内で効率よく出稿できます。広告主が配信を予約するときに設定するターゲットに届く広告の選択肢のなかで、幅広い広告枠のなかから費用対効果の高い枠へ配信ができます。また、配信結果を確認しながら配信プランを変更することが容易です。

メディアのメリット
広告枠を売るメディアは1インプレッションごとに高額の広告主が選ばれるので、売上を最大化できます。

一方RTBのデメリットは以下です。

広告主のデメリット
広告主が広告枠を直接選べないので、意図していないメディアに広告が配信される可能性があります。

メディアのデメリット
メディアのイメージを損なうような広告が配信される可能性があります。また、RTBのプロセスを経るなかで、必ずしも最高額を提示した広告主が選ばれるわけではないということもデメリットです。これについては後述します。

RTBのデメリットを補完するため「純広告」を併用

RTBによる運用型広告は上記のように、広告主とメディア双方が直接相手を選べないというデメリットがあります。そこで、広告主とメディアが取引する「純広告」が今でも併用されています。

純広告とは、広告枠と期間を決めて配信するWeb広告のことです。
以下のYahoo!のスペースのように、多くの人の目が見る人気の広告枠では純広告が設定されていることが多いです。
純広告の費用は固定です。広告主は、メディアが指定した料金で広告枠を購入します。

純広告とは

RTBのしくみ

RTBでは0.1秒の間にさまざまな処理が行われています。そのしくみを解説します。

DSP、SSPとは

DSPはDemand Side Platformの略です。
需要側とは広告を出したい企業のことで、広告配信の入札をとりまとめているのがDSPです。広告主がどんなユーザーに広告を配信したいか設定する「ターゲティング」も管理しています。

SSPとは、Supply Side Platformの略で、広告枠を売りたいメディアの応札情報のプラットフォームです。メディアの集積を最大化するよう広告枠を管理運用しています。

RTBはDSPとSSPの間に位置し、広告主とメディア、双方にとって最適な入札を実行するプログラムです。

SSP、DSPを介してRTBが広告を配信するしくみ

以下の図は、SSP、DSP、RTBを経由する広告配信を簡単に示した図です。

RTBのしくみ

ユーザーが新規にWebページを読み込むとき、そのページの広告枠に1インプレッションが発生します。ここに広告を表示させるリクエストをSSPが受け取り、DSPに送信。DSPは管理している広告のなかで入札価格の高い広告をSSPに返信します。SSPは複数のDSPから表示させる広告の提案を受け取り、最も高額の広告に配信をリクエストします。

RTBがこのような一連の処理を約0.1秒の間に行っています。
GoogleアドネットワークやGMOのようなネット広告を取り扱う企業は、SSPとDSPの両方を管理しています。

「フロアプライス」「ヘッダービディング」など、RTB運用の工夫

RTBは効率を重視して確立されたしくみですが、広告主やメディアにとってより使いやすくなるよう、プライス設定やマーケットの限定などに関して、運用上の工夫がされています。

フロアプライスとセカンドプライス、ファーストプライス

RTBにはメディアのために広告枠の価格暴落を防ぐ「フロアプライス」、広告主のために価格高騰を防ぐ「セカンドプライス」というしくみがあります。

フロアプライス
広告枠にはあらかじめ最低落札金額が設定されていて、それより低い価格で広告枠が取引されることはありません。フロアプライス以上で入札した広告主が1社だった場合は、「フロアプライス+1円」で落札されます。フロアプライスにより、メディアが一定の売上を確保できるようにしています。

セカンドプライス
1インプレッションについて複数の広告主が入札したとき、最も高額の入札価格を提示した広告主との取引が成立します。このとき、落札価格は2番目の広告主が提示した価格である「セカンドプライス+1円」となります。広告枠の価格が高騰しすぎず、かつオークションが活発に行われるためのしくみです。

セカンドプライスのしくみ

ファーストプライス
2019年、Googleが提示された最高額で落札する「ファーストプライス」方式へ移行しました。これに伴い、近年はファーストプライスが主流になってきています。Web広告の人気が高くなっていることが一因とされます。

メディアの収益を最大化する「ヘッダービディング」とは

前述したようにRTBはスピーディーに取引されるとはいえ、かなり複雑なしくみで、複数のオークションが同時に行われています。このとき、必ずしも最高額を提示した広告主が選ばれないことがあり、メディアの収益を損なっていることが問題点とされます。

ヘッダービディングは、このようなRTBの課題に対処する新たなしくみです。
ヘッダーとは特定の広告枠のことです。1つの広告枠に対して、希望するすべての広告主を一元的に集めて、一度のオークションで最高額の広告主を選び、Web広告を配信します。

ヘッダービディングはRTBに比べて表示速度も速いため、今後さらに浸透すると思われます。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

  1. RTBとはWebページの広告枠の1インプレッションごとにリアルタイムで行われるオークションにより広告を配信するしくみで、広告主にもメディアにもメリットがあります。
  2. RTBはDSP、SSPの間でメディアと広告主の最適なマッチングを選択するシステムです。
  3. RTBにはフロアプライス、セカンドプライスなどの価格設定があります。近年はファーストプライスへの移行が進んでいます。

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