市場分析の手法にはどんなものがある?種類や活用法を知っておこう

市場分析には多様な手法があります。

  • 3C分析
  • SWOT分析
  • PEST分析
  • 5フォース分析

など、聞いたことはあるが明確に知らない、使いこなせていないという方も多いと思います。

今回は、分析方法の種類、それぞれどんな目的で用いられるのかについて解説していきます。

なお、市場分析後のマーケティング施策実施に欠かせない機能を備えた、シャノンのマーケティングオートメーションについては、以下でくわしくご紹介しております。
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マーケティングに不可欠!?市場分析の基本を再確認

まずマーケティングにける「市場」とは何かを確認し、市場分析とはどんな方法か、その目的について理解を深めます。

マーケティングにおける「市場」と「市場分析」

まず一般的な「市場」の意味を確認します。「市場」とは、「売り手と買い手が自由に売り買いをする場」です。

日本語読みの「いちば」のように、多くのモノと人が物理的に集まる場所がもともとの姿ですが、現在ではネット上に多種多様な市場が存在します。

ネット通販、動画やゲームの配信、株取引、さらに仮想通貨やNFTへと、何かが取引される「市場」は拡大しています。

では、マーケティングのなかで位置づけられる市場とはどんなものでしょうか。

マーケティングは、商品やサービスの現在の買い手と今後開拓すべき未来の買い手が対象です。

現在の買い手がいるのは「顕在市場」または「既存市場」、将来の買い手がいる可能性があるのは「潜在市場」または「新市場」です。

商品やサービスの購入者を理解するため、マーケティングでは「市場調査」や「市場分析」を行います。

アンゾフの成長マトリクスで市場を位置づけ

以下は、「アンゾフの成長マトリクス」と呼ばれる図です。

アンゾフの成長マトリクス

既存市場へ既存商品をさらに売っていく「市場浸透」
ある市場ですでに販売実績がある商品について、価格競争力を高めたり広告宣伝したりして市場でのシェアを伸ばしていく戦略です。

既存市場へ新規商品を投入する「新製品開発」
既存の市場に新しい商品で参入します。
すでに売れている既存商品と差別化できる商品力がポイントになります。

新規市場へ既存商品を売る「新市場開拓」
既存商品で新しい市場を開拓する戦略です。
海外進出が典型例です。

新規市場へ新規商品を売る「多角化」
新規商品を新規市場へ売っていくのはリスクが高くコストもかかります。
しかし成功したときには企業は多角化により事業基盤を強くできる、ハイリスク・ハイリターンの戦略です。

環境や時代のニーズが変化するなかで、現状維持だけでは企業は衰退してしまいます。
上記のような成長戦略が必要ですが、どの方向へ、どのくらい進むのか。
それを決めるために必要となるのが「市場調査」と「市場分析」です。

「マーケットリサーチ」と「マーケティングリサーチ」のちがいは?

「マーケットリサーチ」と「マーケティングリサーチ」はどう違うのでしょうか。

「Market Research」と「Marketing Research」は、どちらも英和辞書で調べると「市場調査」と訳されています。
厳密な定義はないので、英語圏でも日本でも同じような意味合いで使われていることもあるようです。

2つが区別されていることもあります。

マーケットリサーチは各種の統計データやアンケートなどにより市場を調査することであり、リサーチ会社が提供する客観的な市場調査レポートなども該当します。

一方、マーケティングリサーチというとき、商品やサービスを売る企業が行う市場調査・市場分析・テストマーケティングなど、主体的で幅広い対象をさしていることが多いようです。

市場分析とは、その目的は?

市場分析とは、市場をさまざまな客観データにより理解し、後述するような手法を用いて分析することです。
市場分析の目的は、商品開発や事業戦略、マーケティング活動に合理的根拠を得ることだといえます。

アンゾフのマトリクスで紹介したように、成長戦略にはコストやリスクがともないます。
コストやリスクを最小化して成果を最大化するために市場分析を行います。

まず知るべきは「市場規模」と「市場動向」

市場分析を行うにあたり、まず知るべきデータは「市場規模」と「市場動向」です。

市場規模はどのように調べるか?
市場規模とは業界の総売上です。既存商品の場合は、官公庁や業界団体が発行する資料でデータが得られます。
しかし新しい商品で市場規模がわからない場合は、自社と競合他社の売上など、入手できるデータから推計します。

市場動向とは何をさすか?
市場動向とは、時系列で市場を観察したときにみられる傾向のことで、市場が拡大しているか、縮小しているかが重要です。
ほかに競争が激化しているのか寡占化が進んでいるのかといった動向も知ることができます。

以下のグラフは株式会社KADOKAWAによる国内ゲーム市場規模の調査結果です。

出典:株式会社KADOKAWA「ファミ通ゲーム白書2021」

2020年、市場規模は2兆円を超えたこと、市場動向は急拡大の傾向であること、特にオンラインプラットフォームゲームが伸びていることがわかります。
企業はこうした基本情報をふまえ、次に紹介するような市場分析を行っていきます。

市場分析の手法

市場分析の代表的な手法をご紹介します。

外部環境を知る「PEST分析」

PEST分析では、企業自身がコントロールできない外部環境を分野別に評価します。PESTとは以下の頭文字をとったものです。

  • 政治(Politics)…消費税率、規制の強化・緩和など
  • 経済(Economy)…景気動向、市場の成長、金利など
  • 社会(Society)…少子高齢化、ライフスタイルの変化、流行など
  • 技術(Technology)…最新の技術動向など

近年はコロナ禍という深刻な社会要因が多くの企業に影響を与えました。
最近では円安と、エネルギーや原材料の高騰による物価高が深刻になっています。

こうした外部要因をいちはやくとらえ、事業戦略に反映させることが重要です。
近年はこれに環境(Ecology)を追加して「PESTE」分析とすることもあります。

シンプルだがモレのない評価ができる3C分析

3C分析は、事業の課題を明らかにして戦略を策定するときに用いられます。「3C」とはCustomer、 Competitor、Companyの3つです。

  • 顧客(Customer)…顧客が求めているもの、マーケットの規模や成長性など
  • 競合(Competitor)…競合他社の強さ、参入の容易さなど
  • 自社(Company)…自社の資金・生産能力・人材・ブランド力などのリソース

一番目のC=Customerには「顧客」のほか「市場」の意味もあり、顧客はどこにどれくらいいるのか、参入可能な市場があるかなどを分析します。

また、3つのうちCustomer、Competitorは外部要因、Companyは内部要因です。3Cそれぞれの環境要因を分析して、事業を評価します。

3C分析

内部環境と外部環境を対比させる「SWOT分析」

SWOT分析は、外部環境と内部環境を対比させて同時に分析します。

  • 内部環境・・・「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」
  • 外部環境・・・「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」

図のようにプラス要因とマイナス要因を配置することで、事業の課題がどこにあるかを明らかにし、戦略立案に役立てます。

SWOT分析

事業の脅威を知る「5フォース分析」

5フォース(5F)分析はマイケル・ポーターが提唱した手法です。
事業をおびやかす脅威の現状と、今後脅威が現れる可能性を分析します。

  • 競合他社…現在の競合他社との競争の激しさ
  • 買い手の交渉力…BtoCなら消費者、BtoBなら顧客企業との力関係
  • 売り手の交渉力…原材料を供給する企業との力関係
  • 代替品の脅威…他の品やサービスに代替えされる可能性
  • 新規参入の脅威…今後競合企業が参入する可能性

外部要因のみを対象とする5フォース分析は、SWOT分析や3C分析と併せて利用されることも多いです。

市場を理解し、販売戦略を固める「STP分析」

STP分析により、どんな顧客層へ向けて商品・サービスを提供するのかを絞り込み、戦略を明確化します。

セグメンテーション(Segmentation)…顧客を分類する
セグメンテーションでは、年齢・性別・地域・職業・趣味や価値観などで顧客を分類し、それぞれのグループに自社商品がどの程度フィットするかどうかを測定します。

ターゲティング(Targeting)…ターゲットを設定する
分類した顧客グループのなかで、アプローチしたいターゲットグループを決定します。

ポジショニング(Positioning)…ターゲットに対する立ち位置を明確化する
ターゲットを絞り込んだ市場において、競合他社と比較しながら立ち位置を明確にし、どんな特徴を持った商品・サービスを提供するかを決め、差別化をはかります。

これらの分析手法は、マーケティングの手法と考え方をまとめた以下の記事でもご紹介しています。

「STP」「AIDMA」など、知っておきたいマーケティング分析手法や考え方を一挙に紹介

自社の事業を評価する「PPM分析」

PPMはProduct Portfolio Management(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の略で、PPM分析とは、経営資源の配分の最適化をはかるための分析手法です。
PPM分析では自社の事業を以下の4象限に配置します。

  • 「花形(Star)」・・・成長市場において高いシェアがとれている事業です。収益性が高いものの競争が激しく、好業績を維持するために継続投資が必要です。
  • 「金のなる木(Cash Cow)」・・・成長率の低い市場でシェアが高い事業です。売上増は見込めないものの追加投資が不要で、今後も安定収益が期待できます。
  • 「問題児(Problem Child)」・・・成長市場で競争も激しく、シェアを伸ばせていない事業です。今後シェアを高めるためには投資が必要です。
  • 「負け犬(Dog)」・・・低成長市場でシェアも少ない事業です。この状態が続くなら事業を清算すべきと判断できます。

企業が限られた資金をどの事業に配分すべきかを検討するとき、PPM分析が有効です。

マーケティングの現場で市場分析をどう進めるのか?

多様な市場分析の方法を、実際のマーケティングの現場ではどう活用するかについて解説します。

市場分析の方法をいくつか組み合わせて使うことが一般的

市場分析の手法はいくつもあります。必ずしもすべてを実施する必要はありませんが、1つ2つ程度では足りないと思われます。

市場を知ることと、自社商品と市場の関係性を理解することが重要です。
以下は事業化までの段階ごとに必要となる分析手法の図です。

事業の段階別・マーケティング分析手法

必要な分析手法を選んで実施し、正確な判断を下すことが求められます。

参考:マーケティングにおける戦略の立て方。「戦略」の意味と重要性、成果を出した事例もご紹介!

企業や商品の「ブランディング」のための市場分析

市場分析を行うのは、商品開発の方針や事業戦略を決定するときです。

したがって企業の経営陣が市場分析をすることはあっても、マーケティングの現場の担当者はあまりかかわりがないかもしれません。
しかし、市場分析の経緯や結果を社内で共有し、理解を深めることは必要です。

全社的な共通認識を持って取りくむべきテーマのひとつとして「ブランディング」があります。

成長を続けて一定の実績を残してきた企業が、あるタイミングにおいて「ブランディング」を検討することになります。
蓄積してきた付加価値を棚卸しして「ブランド」として再定義する作業です。

このようなとき、市場分析が有効です。
現在の市場はどんな状況か。そのなかで自社あるいは自社の商品・サービスの価値はどこあるのか。
それらを正確に分析することで、ブランディングの方向が決まります。

最後に、市場分析後のマーケティング施策実施に欠かせない、シャノンのマーケティングオートメーションについては、以下でくわしくご紹介しております。
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まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

1. マーケティングにおける市場とは、現在の顧客と未来の顧客がいる場のことです。商品・サービスを売っていくためにそれを分析するのが「市場分析」です。

2. 市場分析の手法として以下があります。
・PEST分析
・3C分析
・SWOT分析
・5フォース分析
・STP分析
・PPM分析

3. 市場分析の手法は事業の段階ごとに組み合わせて使います。企業や商品のブランディングの際、改めて市場分析を行うことも有効です。

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