BtoBでも重視されるカスタマーエクスペリエンスとは?CX向上の具体策も紹介

BtoBでも重視されるカスタマーエクスペリエンスとは?CX向上の具体策も紹介

カスタマーエクスペリエンス、略してCXは、マーケティングに欠かせない概念です。CXとは顧客体験、つまり商品やサービスの購入に関連して顧客が体験するすべてをいいます。

BtoCなら「雰囲気がいいお店だからよく食事に行く」、BtoBなら「担当者の対応がいいから今後もX社を利用したい」といった選択にCXが大きくかかわっています。

今回は、カスタマーエクスペリエンスとは何か?という基本を確認したうえで、BtoBにおけるカスタマーエクスペリエンスの具体策について考えます。後半ではシャノンのMAでできるCXをご紹介します。

カスタマーエクスペリエンスとは?

マーケティングに欠かせない概念であるカスタマーエクスペリエンスの定義、CSやUSとのちがい、なぜ今必要とされているのかを解説します。

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)は略してCXとも表します。日本語では「顧客体験」あるいは、「顧客が体験する価値」と訳されます。

カスタマーエクスペリエンスとは、顧客が商品やサービスを購入する時点およびその前後におけるすべての体験のことです。

仮に一度きりの購買であっても、カスタマーエクスペリエンスの対象は中長期的で、重視されるのは体験によって顧客に引き起こされる“感情的な価値”です。

具体的には、たとえば以下のような体験が含まれます。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の具体例

  • ネットニュースやTVCMで情報を得て、アパレルブランドの商品Aに関心を抱く
  • ネットで検索をした後、ディスプレイ広告でクーポンが届く
  • 商品Aを販売している実店舗を見つけ、クーポンを利用して購入
  • 店舗ではセンスがよく見つけやすい棚の陳列、サイズ直しのスピード、接客に好印象を抱く
  • 商品Aを着用してみて、デザインや着心地の良さに満足する
  • 商品AでコーディネートしたファッションをSNSに投稿し、反響があってうれしく感じる
  • 3か月後、同ブランドから次のシーズンの新商品のクーポンが届き、購入したいと思う

CX向上を目指してマーケティングや営業活動を行うことを、CXM(カスタマーエクスペリエンス・マネジメント)といいます。

CSやUXとの違いは?

CXと似た用語として、顧客満足度(CS)やユーザー体験(UX)があります。ちがいを知っておきましょう。

顧客満足度(CS、Customer Satisfaction)
顧客満足度はカスタマーエクスペリエンスよりも古くからある概念で、商品やサービスそのものを顧客が評価する満足度のことです。CSに接客やアフターサービスなどが含まれることもありますが、CXと比較すると、CXのほうがCSより広義で顧客目線です。CXの主体は顧客で、「顧客が価値ある体験をしたか」という視点に立っています。

ユーザーエクスペリエンス(UX、User Experience)
ユーザー体験と訳されるUXは、商品やサービスのユーザーとしての具体的な体験を指します。UXの具体的な内容は、たとえば以下です。

  • 商品やサービスの機能的価値、デザインの良さ、お得感
  • 実店舗の品揃えの良さ、買いやすさ
  • ECサイトやアプリの情報のわかりやすさ、注文のしやすさ

UXは個々の購買行動における短期的な体験、CXはすべての購買行動を含めた長期的な体験と位置付けることもできます。UXはCXに含まれる一部分ですが、CXを決定づけることもある重要な体験です。

また、CXのなかでもデジタル分野の顧客体験をDCX(デジタルカスタマーエクスペリエンス)といいます。

カスタマーエクスペリエンス向上がなぜ必要か

カスタマーエクスペリエンスがなぜ今不可欠なのか、理由として以下が挙げられます。

リピーターの獲得(競合へのスイッチ阻止)
購入した品が良くても、店舗でなんらかのネガティブな体験があった場合にはその店で再び購入しようと思いません。逆に、楽しく買い物できた店舗にはまた足が向きます。優れたCXの提供はリピートを促し、顧客が競合他社へとスイッチすることをふせぎます。

口コミ効果が期待できる
商品やサービスそのものに満足したときよりも、商品やサービスを購入したときに特別な体験をして印象に残った場合は、より人に伝えたくなります。たとえば「店舗のスタッフが一つ残った在庫を取り置きしておいてくれた」などです。SNSによりこうした情報はすぐに拡散されるので、従来よりもCXの重要性が増しています。しかし、ネガティブな体験はいい体験以上に拡散しやすいので注意が必要です。

商品やサービスを差別化できる
商品やサービスの価格や機能に大きな違いはなくても、CXに差があるとしたら、顧客はCXに優れたほうを選びます。たとえば銀行預金や宅配便受付などでは、スピーディな接客やカスタマーサポートの対応の良さなどが重要です。また、CXからのフィードバックを商品開発に反映させることでよりいっそうの差別化ができます。

ブランド力の向上と顧客のファン化
上記すべてに関連しますが、CX向上により、商品やサービスを提供するブランドあるいは企業に対する信頼度が増し、顧客のロイヤリティー向上とファン化をもたらします。

CXの指標となる「NPS」とは

自社は十分なCXを提供できているのか?を知るための指標となるのが「NPS」です。 NPS(Net Promoter Score、ネットプロモータースコア)とは 、顧客のロイヤリティーをひとつの質問によって計測する指標です。

「あなたはこの商品/サービスを他の人に勧めますか?」という質問に対する答えを0~10までの11段階から選び回答してもらいます。 以下のように、「推奨者」「中立者」「批判者」に分類することができます。

NPSは以下の方法で算出します。

NPS = 推奨者の割合 - 批判者の割合

批判者の割合が推奨者の割合より多ければ数値はマイナスになります。 ただし業種によってはNPSがマイナスになりやすいこともあります。

そのため、絶対値にとらわれすぎず、業界平均との乖離や時系列の変化などを相対的に評価します。

NPSが特に高い「推奨者」をロイヤルカスタマーと呼びます。NPSとロイヤルカスタマーについては以下の記事でも解説しているのでご参照ください。

ロイヤルカスタマーとは?その定義と、MA連携でロイヤルカスタマーを増やす手法

BtoBにおけるカスタマーエクスペリエンス

BtoCだけでなくBtoBにおいてもカスタマーエクスペリエンスは重要です。BtoBにおけるカスタマーエクスペリエンス向上の重要性と具体的な進め方について解説します。

BtoBでなぜCXが重視されるのか

BtoBビジネスにおいてなぜCX向上が重要か、BtoB特有の理由として以下が挙げられます。

取引金額が大きく、企業間で多くの人が関わる
一般的に、BtoCに比べてBtoBのほうが取引金額が大きい、取引期間が長い、関わる人が多いという特徴がりあります。 商品やサービスの検討、契約、導入などの各段階で多様な人が関わるBtoBのタッチポイントのすべてにおいて、CXが重視されます。

サブスクリプションサービスの増加
BtoBのSaaS企業などでサブスクリプションサービスが増えています。購入しやすい一方で解約も容易なサブスクリプションサービスを提供する企業では、解約を避け長期利用してもらうために顧客のCX向上をはかる必要があります。

既存顧客のLTV最大化
新規顧客開拓のほか、既存顧客のロイヤリティーを高め、LTVを最大化することも重要です。顧客のフォローを担当する「カスタマーサクセス部門」の目的はLTV最大化とCX向上です。現在の取引の継続に加えて、アップセル・クロスセルを促すためにCXが重視されます。

参考:

BtoBビジネスにおけるCX向上の具体策

BtoB企業がCX向上に取り組む場合、具体策の例として以下があります。

ペルソナの設定
よりよいCX提供のために、まず顧客を知ることが重要です。ペルソナにより顧客目線の施策が明確になると同時に、社内的に顧客像を共有することができます。

参考:BtoBマーケティングにおけるペルソナの作成と活用法。シャノンが実践する一工夫もご紹介!

発注システムやカスタマーサービス体制の改革
顧客にとって購入・継続利用がしやすいよう、注文のシステムやアフターフォローの体制を整備することが有効です。

カスタマーサクセス部門の設置・強化
カスタマーサクセス部門がない場合は新規に設置することも考えられますが、重要なのはカスタマーサクセス業務を担当する人材を育成・確保することです。

顧客向けイベントの開催
自社が提供する商品やサービスに関する勉強会、顧客同士が情報交換できる交流会などのイベントを実施することも有効です。

ランディングページのコンテンツを改善
自社のWebサイトを顧客目線で使用しやすいよう改善することも有効です。コンテンツを改善するときはA/Bテストが有効です。

参考:BtoBリード獲得のために不可欠なランディングページの最適化。LPの改善をどう進める?

EX(Employee Experience)の向上
EXとは従業員体験の向上のことです。働きやすい環境があり個々の従業員のモチベーションが高い企業は高いCXを提供できる、という相関関係が知られています。

デジタルツールの導入
デジタルツールを導入することで、顧客情報を一元管理し顧客分析などに活用することも容易になり、CX向上に有効です。ツールについては次項で解説します。

CX向上に役立つデジタルツールは?

BtoB企業がCX向上のために導入すべきツールとして、以下が挙げられます。

MA
見込み客を集客し、興味・関心を引き上げて購買へと導くMAは、見込み客のWeb閲覧などの履歴、コミュニケーション履歴などを蓄積できるので、顧客理解に役立ちます。見込み客が顧客となったあとにMAでフォローし続けると、顧客が「解約ページを見た」「サポートページを見た」などの行動があったとき、カスタマーサクセスに情報共有して適切なフォローをすることができます。

※MAとカスタマーサクセスの連携は以下の記事で紹介しています。
カスタマーサクセスとは?よりよい顧客体験をもたらす、カスタマーサクセス部門とMAの連携

CRM
顧客情報、購買履歴、コミュニケーション履歴を一元管理するCRMはCX向上のために欠かせないツールといえます。顧客分析にも活用できます。
参考:顧客理解に欠かせないCRMとは?マーケティングにどう役立てる?

シャノンの取り組みもご紹介!CX向上施策の事例

CXを実践する企業の事例、シャノンのMAによるCX向上の具体例について紹介します。

CX向上に成功したBtoC、BtoBの企業事例



スターバックス
スターバックスは店舗を「サードプレイス」と位置付けています。店頭のコミュニケーション、くつろげるインテリアとBGM、無料Wifiなど、第三の居場所で過ごす時間と空間の上質な体験を提供することを企業価値としています。接客マニュアルがなく、現場スタッフに顧客目線のサービスに関する裁量が任され、スタッフ自身が考えた言葉やサービスで顧客に接しています。 また、「スターバックスリワード」は各国事情に合わせてローカライズして導入されています。日本のリワードプログラムではポイント付与のほか、モバイルオーダー&ペイなどのサービスを提供。会員になるとスターバックスを利用する楽しみが増えるよう考えられています。

リッツカールトン
最高の体験を提供すると提供のあるホテル「リッツカールトン」は、従業員1人1日あたり2000ドルの決裁権が付与されています。同ホテルには「部屋に書類を忘れてしまったとき、従業員が飛行機で素早く届けてくれたので商談に間に合った」「レストランでプロポーズする予定をスタッフに話したら、シャンパンと花がサプライズで用意されていた」といったエピソードが多いのはそのためです。現場を知るスタッフが最高のCXを提供できるという認識のもと、スタッフを信頼して裁量を任せています。スタッフのEX向上がCX向上をもたらしている事例でもあります。

インフォマート
商談・受発注・請求書などの諸業務をペーパーレスかつクラウドで管理するBtoBプラットフォームを提供する同社では、サービスの全プロセスについてNPS調査を実施。「WEBサイトを見た」ときから「契約やその後の営業担当者とのやりとり」までカスタマージャーニーマップを作成し、NPSにどのような影響を与えているかを特定しました。その結果、営業担当者の対顧客対応がNPSに寄与していることが判明し、「お客様の声」を根拠に営業部門の行動指針を明確にすることができました。

シャノンマーケティングプラットフォームによる顧客体験のつくりかた

MAによるCX向上について、シャノンマーケティングプラットフォームの実例を紹介します。

MAは、見込み客の属性や興味・関心の程度に合わせたコンテンツを継続的に届けてフォローし、商談可能な見込み客へと引き上げます 。

メールアドレスを登録すると「見込み客」になります。メールアドレス取得の手段として、検索で来訪したユーザーを「資料請求」へポップアップ表示で誘導します。



その後、資料請求済みで時間が経過した後に再訪した見込み客、役職がある見込み客などにポップアップの出し分けができます。

上図のように、DM配信のようなアナログ施策を実施することもあります。コロナ禍でコンタクトが難しいなか、特別な情報を届ける手段としてDM配信が見直される傾向です。

シャノンのMAではデジタルとアナログの一元管理をすることで、DMとメールの組み合わせのようなアナログ施策とデジタル施策の相乗効果を創出できます。

このほか、見込み客情報を獲得する前のユーザーに対しても、初来訪時に役立つポップアップ表示をすることで、「欲しい情報がすぐ表示された」というCXを提供することが可能です。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

1. CXとは顧客が体験する価値のことで、継続的・中長期的です。CX向上は、商品やサービスを差別化しブランド力を向上させます。

2. CXの指標として商品を他の人に勧めたいかを問う「NPS」が使われます。

3. CX向上にはデジタルツールが役立ちます。顧客情報を管理するCRMのほか、見込み客の段階から顧客を詳細にフォローするMAも有効です。