マーケティングとは?初心者向けの定義や戦略、成功事例を解説!

「マーケティングとは?」といわれると、意外と簡単には答えられません。

それはなぜかというと、マーケティングの対象がとても幅広いからです。

今回は、前半でマーケティングの定義や歴史、マーケティングとは具体的に何をするのか、BtoBのマーケティングの特徴などについて解説したあと、後半では実践編として、シャノンが実践している「マーケティングのコツ」をいくつかご紹介していきます。

なお、マーケティングの業務効率化が可能なMAの機能については以下でくわしくご紹介しております。
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マーケティングとは? 意外と答えづらい「マーケティングの基本」

マーケティングは幅広く企業活動の全体にかかわります。その広義と狭義の意味について知っておきましょう。

いくつかあるマーケティングの定義を確認

マーケティングの定義はいくつかありますが、日本マーケティング協会では以下のように定めています。

マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である

マーケティング発祥の国であるアメリカの、アメリカマーケティング協会では以下の通り。

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである

これらは厳密な定義すぎてイメージしにくいかもしれません。

一方、“近代マーケティングの父”と称されるフィリップ・コトラーの定義は

マーケティングとは、標的市場を選択し、優れた価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、育成する技術である

ピーター・ドラッカーの以下の言葉も有名です。

マーケティングの目的は販売を不要にすることだ

日本のビジネス・スクール「グロービス」はこう述べています。

マーケティングとは、継続的に売れる仕組みを作るすること

以上、いくつかの定義を並べてみると、マーケティングとは「売れる」ことに関連した幅広い活動を指していることがわかります。

マーケティングとセリングの違い

「モノやサービスを顧客に売って利益を得る」というのが企業活動の基本の形ですが、「売ること」と「マーケティング」の違いを明らかにしておきます。

販売、営業などの行為を「セリング」といい、顧客に対して直接売り込むことを意味します。

具体的には、
「ハンバーガーを買う人に、『ご一緒にポテトはいかがですか』とすすめる」
「『今から全商品20%引』というタイムセール」
などがセリングです。「売り手が主体」となっています。

一方、マーケティングは
「SNSで評判になっている『ハーブが香る』フライドポテトを購入したい」
「前回購入したら使い心地がよかったティッシュペーパーをリピート買いしたい」
のように、「買い手=顧客が主体」です。

マーケティングとは具体的に何をするのか

マーケティングとは、顧客が「買いたい」と思ってくれる仕組みをつくるための企業活動全般です。

下図左の表記は、コトラーが5つのステップで示したマーケティングの流れです。

マーケティングとは顧客のための活動全般

  • R(Research)…市場調査や分析
  • STP(Segmentation、Targeting、Positioning)…ターゲットの絞り込み
  • MM(Marketing Mix)…4P(Product、Price、Place、Promotion)を決定
  •  I(Implementation)…マーケティング戦略の実施
  •  C(Control)…成果を管理して効果測定

図にあるように、

  • どんな商品が売れるのか?を調査・分析する
  • ニーズに合う商品・サービスを企画する
  • 店舗や通販など流通方法を決める
  • 広告宣伝などの方法で商品について知らせる

などがマーケティング活動に含まれます。

商品・サービスを市場に出してみた結果、何が売れて何が売れなかったのかといったデータは調査部門にフィードバックされ、ふたたびRから始まります。

さらに、図に示した業務だけでなく、たとえば「人材採用」や「CSR活動」なども、「よりよい商品・サービスを顧客に提供するため」という目的に沿って行われます。

したがって、広い意味ではマーケティングの一環と位置づけることもできます。

「マーケティング」は企業活動全般にかかわっていて、上の図のすべてがマーケティングの対象です。

しかし一方で、日本の企業では上図のうち「プロモーション」や「調査」の業務を行う部署を「マーケティング部」としていることが一般的です。「マーケター」という職種も専門職です。

このように、マーケティングには企業活動全般を指す「広義のマーケティング」と、企業の慣習として使われる「狭義のマーケティング」がある、と認識しておきましょう。

マーケティングでよく使われるフレームワーク

マーケティングでは様々な分析手法が使われます。

先ほどの図で「Research」「STP」「MM」という販売までのステップを示しましたが、それとリンクした形で、使用される主なフレームワークをまとめたのが以下の図です。

事業の段階別・マーケティング手法

それぞれの分析手法については、以下の記事で解説しているのでご覧ください。

コトラーの「マーケティング1.0~5.0」にみる、マーケティングの歴史

マーケティングとは何か?の定義も時代とともに変化しています。コトラーの著書などで歴史をたどってみましょう。

マーケティングの始まりは20世紀初頭

マーケティングの始まりは1900年代のアメリカ、フォード社とされています。

同社は1908年に初めての大量生産モデルである「T型フォード」を従来よりも低価格で発売しました。

自動車はそれまで富裕層のものでしたが、「T型」は初めての大衆車として世界に普及し、一車種のみで時代のニーズをとらえ、約20年の間に1500万台を売りました。

日本では約50年遅れて、1957年に公益社団法人日本マーケティング協会が創設され、欧米で浸透しているマーケティングを企業経営に取り入れる動きが具体化しました。

ただし、日本においてマーケティングは「江戸時代に始まっていた」という説もあります。

ピーター・ドラッカーは著書『マネジメント(1974年)』のなかで、1650年頃、越後屋の三井高利がマーケティングを始めたとして、いくつかの手法を紹介しました。

江戸のマーケティングについては、コピーライターの川上徹也氏が2021年に刊行した『400年前なのに最先端! 江戸式マーケ』で読むことができます。

三井高利だけでなく、紀伊國屋文左衛門、髙津伊兵衛などの商人の成功についても現代マーケティングの視点から解説しています。

コトラーの定義にそって歴史をたどる

フィリップ・コトラーの近著は2022年の『マーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略』です。

コトラーは今までに、時代に合わせたマーケティングについて1.0から4.0として発表してきました。

コトラーが説くマーケティング1.0~5.0を知ると、マーケティングの歴史がわかります。

マーケティング1.0 (1900年~1960年代頃まで) 製品志向の時代
製品が主体のマーケティング。低価格の製品を大量生産して、マスメディアにより情報を届ける手法が一般的でした。
前述した「フォードT型」の例がこれにあたります。
日本では戦後「三種の神器」(洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ)、3C(カラーテレビ、クーラー、自家用車)があこがれの製品とされました。
必要なものを低価格で供給すれば売れましたが、そのなかでも、価格の割に高品質の製品を提供した企業が残っていきました。

マーケティング2.0 (1970年代~1980年代半ば) 顧客志向の時代
商品やサービスがいきわたり、人々の生活は豊かになりました。衣食住が足りたうえで、より価値があり満足を得られる消費が重視されていきます。
企業から顧客の側に主導権がうつった時代でもあります。
日本ではファッションなどで「ブランド」が注目され、ソニー「ウォークマン」がヒットし、80年代後半には「ケータイ」が登場しました。

マーケティング3.0 (1990年代~2000年代) 価値志向の時代
インターネットが本格普及したミレニアム時代、従来は企業から一方的に情報発信されていたのが、消費者自ら情報を得られるようになり消費のスタイルはさらに変化しました。
商品やサービス自体で得られる満足だけでなく、環境に対する取り組み、ブランドコンセプトといった企業価値に対する共感が欠かせないものになります。
「iPhone」を購入するAppleファンの存在が象徴的です。

マーケティング4.0 (2010年代~2020年) 自己実現の時代
「マーケティング4.0」の副題は「スマートフォン時代の究極法則」。
今や、個人が自由に情報にアクセスできるだけでなく、顧客が情報を発信するメディアにもなる時代です。
ときには消費者のほうが豊富な知識を持っている今、消費者の自己実現欲求にそった「顧客を推奨者にする」戦略が重視されています。

マーケティング5.0 (2020年代~) テクノロジーと人間性の両立の時代
AI、IoT、AR/VR、ロボティクスなどのテクノロジーを組み合わせて社会課題の解決や価値提供をしていくにあたり、今まで以上に人間性を重視して一人一人の顧客の満足度を上げていく方向性が示されています。

「マーケティングでセリングを不要にする」を唱えたドラッカー

経営学者ピーター・ドラッカーは現代経営学の父と呼ばれ、多くの著作を残しました。

1974年初版の名著『マネジメント』は今でも経営のバイブルとされ、マーケティングを「販売を不要にすること」と定義したことでも有名です。

企業の目的は顧客の創造であると位置づけ、さらに「企業の2つの基本的機能はマーケティングとイノベーションである」と続けます。

顧客が何を求めているかを知るマーケティングと、よりよい価値を創造するイノベーションの両輪を進めることで企業は成長できるという主張です。

現代のBtoBマーケティングにはどんな特徴があるのか

前述したコトラーのマーケティングに関する考え方は、主にBtoCを対象としています。BtoBでは違った側面もあるので、最新のBtoBマーケティングについてまとめます。

BtoBのマーケティングは、ネットとスマホで激変

BtoBマーケティングの変化の波は、BtoCマーケティングより遅れて訪れました。

マーケティング1.0から2.0に移行するとき、BtoCでは消費者の購入スタイルが変化しました。

たとえば、初めて買う車で得られるのは車がもたらす利便性ですが、2台目を買うときは色やデザイン、機能でより満足できる車を選びます。

しかし、BtoBにおいてはこうした違いは小さなものだったため、営業担当者が見込み顧客へ個別にアプローチするスタイルが変わらずに維持されました。

しかし、マーケティング2.0から3.0および4.0への移行は、BtoBマーケティングに大きな変化をもたらします。

以下のように、変化の要因はインターネット、PC、モバイルデバイス、ソーシャルメディアです。

BtoBビジネスにおける顧客環境の変化
2000年代(マーケティング3.0) ・ひとり1台のPC
・インターネットの普及
・携帯電話の普及
2010年代 ・スマートフォンやタブレットの普及
・ソーシャルメディアがBtoBへ拡大

これにより、BtoBの企業と顧客の関係は変化しました。

ネットが普及する前は、顧客の購買行動は「営業マンに会う」ことから始まりました。それが最速で情報を得る手段だったからです。

しかし現在は、営業担当者に会う前に「自分で調べる」から始まり、「比較検討」まで進みます。

顧客の購買行動の変化

昔は営業マンと顧客が最初に会い、説明を受けたあとで顧客は「検討」を開始しました。

しかし今、企業と顧客が最初に出会う「商談」の場面では、顧客はほぼ購入する/しないの意思を固めています。

つまり、BtoCではマーケティング2.0で起きた「顧客主導への移行」が、BtoBではマーケティング3.0以降で本格化したといえます。

「デジタルマーケティング」がBtoBで重要な理由

2000年以降で重視されるようになったBtoBマーケティング。

インターネットの普及はBtoBビジネスに変革を迫っていますが、同時に恩恵ももたらしています。

その一つはオウンドメディアです。

BtoCではTVCMや新聞広告などで幅広く商品の情報を届ける「マスマーケティング」という方法がありました。

一方、BtoB企業のターゲットは少数の企業で、マス広告にはなじみません。

そのため、BtoB企業が見込み顧客を探すときは、営業マンがターゲットの企業リストに電話をかけるといった方法でした。

しかし現代では、顧客の側が「こんなサービスはないか」と考えたときはネット検索して、希望する商品やサービスの情報を取得できます。

BtoB企業の側はオウンドメディアで自社の商品・サービスの情報を発信することで、見込み顧客との接点を持つことができます。

オウンドメディアによる発信は、マス広告のように経費をかけることなく必要とする人にアプローチできるので、BtoBマーケティングの有効な手段となっています。

二つめは、マーケティングのデジタル化です。

前述したように、顧客は企業の営業担当者と接することなく比較・検討を進めることが可能です。

しかし、ネットで得られる情報が多すぎるがゆえに、自社に最適な選択を決めるのに時間がかかるというデメリットもあります。

そこで、「興味・関心」を抱いたリード(見込み客)に「貴社の課題をこのように解決できます」といった情報を届けて、「比較・検討」にかかわるコミュニケーションをとる方法が有効になります。

顧客の購買行動の変化でより重要になるマーケティング

見込み客に対してメールで有用な情報を継続的に届けたり、Webサイトへアクセスした行動履歴を記録して、有力な見込み客にタイミングを外さずアプローチしたりといったことが可能になりました。

マーケティングを成功させるコツは? シャノンの成功事例から紹介

マーケティングを成功させるコツとして、シャノンが成功している事例から2点ご紹介します。

1点めは、日常のタスクが多くても目標にコミットできる「年間活動計画」の作成、2点めは、購買ピラミッドによるフェーズ管理です。

重要な施策を確実に実施するための、年間活動計画を作成

シャノンでは、やるべき施策を着実に実践して成果を上げるため、1月や4月などの期初に年間活動計画を作成しています。

たとえば、年間に実施したい主要な施策が「展示会」「資料請求フォームの改善」「ウェビナーの定期的な実施」の3つだとします。

作成する手順として、まず、年に2回予定している展示会とその準備のスケジュールを確保します。

次に、Webページの資料請求フォームを改善するためのミーティングやWeb実装の予定を入れます。PDCAを回すので3回分確保します。

これらの予定を入れたあと、毎月の時間的余裕を考えながらウェビナーの予定をできるだけ毎月2回、入れていきます。

ウェビナーは興味・関心層と購買意欲の高い層のターゲットを分け、それぞれ「関心ウェビナー」「製品ウェビナー」として予定を組んでいきます。

作成されたのが以下の活動計画です。

マーケティングの年間活動計画

全体の計画を作成したら、次に、ウェブ改善の3回のMTGはどんな内容で実施するか、毎月のウェビナーはどんなテーマで行うかについても計画を詰めていきます。

このような活動計画により、着実に戦略を実現するマーケティング活動を進めていくことができます。

購買ピラミッドを使い、フェーズごとに施策を整理する

近年では、マーケティングオートメーション(以下、MA)を活用し見込み顧客の興味・関心度に合わせた施策を実施する企業が増えてきました。

こういった施策を「One to Oneマーケティング」といいます。
参考:One to Oneマーケティングとは? MAで効率化できるその具体的手法を解説

しかし、すべての見込み顧客一人ひとりに合わせて異なる方法でOne to Oneマーケティングを実施するというのは現実的ではありません。

まず顧客を一定の属性でセグメントしたうえで、適切な施策を行っていきます。

そこで効果的なフレームワークが「購買ピラミッド」です。

以下の図の右にある「購買ピラミッド」で、リードのフェーズを分類しています。「興味・関心層向け」と、「比較・検討層向け」で分けて、それぞれに適した施策を実施します。

まだ購買意欲が高くない「興味・関心層」にはホワイトペーパーや課題解決ウェビナー、商談の可能性がある「比較・検討層」は購買へのアクションをとらえるためのWebトラッキング、最終的な判断をするための製品ウェビナーなどでアプローチします。

購買ピラミッドを活用した施策管理

購買ピラミッドを活用するマーケティングについては、以下の記事でくわしく紹介しています。
参考:自社のマーケティングの全体像をつかむフレームワーク「購買ピラミッド」とは

まとめ

本稿のポイントは以下の4点です。

  1. マーケティングとは、商品やサービスの提供にかかわる企業活動全般の戦略、戦術などをいいます。「売れる仕組みを作ること」ともいえます。
  2. マーケティングの考え方は1900年代に始まり、時代とともに顧客が変化するのでマーケティングの戦略も変わってきます。コトラーによれば1.0から5.0まで変遷してきました。
  3. BtoBマーケティングは長く営業担当者が直接営業するスタイルでしたが、ネットの浸透で大きく変わりました。今は、デジタルマーケティングが欠かせません。
  4. マーケティングを成功させるコツとして、年間活動計画の作成、購買ピラミッドを使ったフェーズごとの施策の整理が挙げられます。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。以下にて豊富な機能をくわしくご紹介しております。
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