株式会社アイアットOEC

人数は変わらず商談を8倍に。
3社目のMAツールで成果が出たカギは、
メールの自動化とAPI連携。

Point

  • シャノンと自社製品を連携させ、マーティング・インサイドセールス・営業の推進体制を強化
  • 複数のMAツールの活用を経て、シャノンを導入
  • 商材に応じて出し分けるメール送信を自動化、少数体制で商談発掘を増大
  • 自社の新商材とのAPI連携によるオートメーション化をさらに進める

岡山を拠点にBtoBのクラウドサービスを全国に展開

アイアットOECは、クラウドサービスを提供する岡山のIT企業。
株式会社岡山情報処理センター(OEC)より分社設立後、現在はBtoBのクラウドソリューションを幅広く展開している。

中でも現在注力しているのはWebコラボレーションツール「WaWaOffice」シリーズ、業務アプリ支援サービス「@pocket」だ。

同社は、こうしたクラウドサービスの拡大のため、デジタルによるマーケティング活動に力を入れてきた。

営業本部クラウドサービスグループ 営業第六チーム担当課長の濱田廣晴氏はその中心メンバー。

元々は、Web関連の企業で、Webサポートや営業を担当し、SEOをテーマにしたセミナーで講師をしていたことから、社長から声がかかり2011年アイアットOECへ入社。 2015年より現職の「業務改善クラウドサービスWaWaOffice」マーケティング専任となった。

マーケティング担当と一口にいっても、その抱える業務は幅広い。 セミナー、オウンドメディア制作、メルマガやホワイトペーパー制作など、オンライン・オフライン問わず担当している。

そんな濱田氏のマーケティングの活動を車の両輪として支えるのが、インサイドセールス担当の守安香菜氏。

元々はフィールドマーケティングで営業経験を積んでいたが「出産、育休の後の復職後、上司の勧めで当時まだ世間で定着していなかったインサイドセールスに就きました」という。

営業や開発部門に配属されることが多い同社で、この二人のマーケティングチームが売上の原動力としての営業チームの橋渡しとなっている。 Web制作やリード獲得、イベント出展などの施策は二人が、試行錯誤をしながら積み上げてきた。

「地方企業あるあるなのですが、二人でマーケティングをやるとなるとかなり大変です。」と守安氏。

複数のMAツールの活用を経て、シャノンにたどり着く

当初は、自社Webへの問い合わせや、IT系の製品比較サイトを通じて得られたリストを手作業で当時導入していた別のMAツールに入力していた。

MAの導入自体は比較的早かったが、その活用はアクセスした企業の把握や、収集データのCSVの取り込みというシンプルなものにとどまっていた。

やがて、展示会の出展やWebでの施策が功を奏し、収集されるリードの数も数倍に増えてきた。

イベントへの出展は基本的には担当は2人が中心となる。 製品・サービスの種類もグループウェアから業務支援、営業管理まで多種多様で、それぞれに対象となる顧客像(ペルソナ)が異なる。

さらに、濱田氏が企画・運営から講師までを担当するウェビナーも加わり、そこから得たリストから商談につながるリードを営業に渡す。 リードの数は以前に比べ、5、6倍に増えているものの営業のメンバーの人数は以前と変わらない。 したがって見込みの高いリードを絞り込んで提供する必要が生じる。

初期に導入していたMAでは、メール配信などの機能が限定的だった。 二人の体制でインサイドセールスとマーケティングの業務を抱えながら、それまでのMAを運用していくということが非常に難しくなってきた。

大量のリードがさばききれず、複数の接点で得られたリードの活用を2人でこなすには限界があった。

「メール配信だけでも、もっと効率的に運用できるツールはないだろうか」と両氏は相談し、次のMAツールに移行した。 国産のMAツールでメール送信などの機能は向上したが、マーケティングそのものの自動化は難しかった。

また、システムの拡張を考えると、自社のWaWaD-Beによって構築された営業側が使うシステムへの連携が必要となる。 2番めのMAの会社とは今後の拡張についての相談をしていたが、APIの連携という面では限界があり、同社のWaWaD-Beなどへの接続性を考えるとニーズを満たせないと考えた。

こうした背景から、シャノンマーケティングプラットフォーム(SMP)への移行に踏み切った。決め手は「自動化」と「API連携」だった。

「限られた人数で生産性を上げるための自動化や、将来的な拡張のためのAPI連携という2点は重要で、SMPなら実現できると考えました」(濱田氏)

複数商材を扱ううえで効果的だった「ステップメールの自動化」

SMPの導入については、シャノンの営業が柔軟に対応し、以前のMAからのデータ移行もスムーズに行なわれた。

導入の最大の目的として最も重視したのは「ステップメールの自動化」だったという。 SMPではオートリプライやステップメール、一斉送信、個別送信など状況に応じて適切なメールを配信できる。 中でもキャンペーンへの申し込みを起点として自動でメールを配信するステップメールの機能は、それまでのMAよりも充実していた。

アイアットOECのBtoB向けの製品・サービスの提供のプロセスは、「一定期間(14日間など)の無料トライアル」から始まる。

このトライアル期間中に、合計4回程度のメールが見込み顧客に送信される。 このメールを送るためのセグメントとシナリオの設計が、商談や案件化につながる生命線だ。

はじめにステップを起動するため守安氏がフォームに登録した15分後に初回のメールが送られる。 その後、3〜4日を経て数回のメールが送られる。

1つ目の案内の文書は無料トライアルの案内メール、2つ目、3つ目は製品に関する詳しい情報やサイトの案内。 最後は、トライアル期間が終了の告知と延長や、オンラインでの商品説明を案内するメールという流れだ。

「製品・サービスが多いのでそれぞれのターゲットや条件別に文面を変えています。この作業をSMPで自動化できたことが大きな成果でした」(守安氏)

以前のMAでは、ステップメールの出し分けは煩雑だった。

一時期は、48種類の文面があったが、運用が煩雑なので絞りこんだという。

数多くのシナリオに即したメールの文面は、雛形を元にコピーして作っていくのだが、それでも複雑になりどの用途のものかがわからなくなる。

また以前のMAツールでは、署名の住所が変わったときなどの細かな変更でも、すべての文面を修正しなければならない。 SMPでは差し込み用の項目を編集すれば、その項目を使っているすべての文面に反映されるためこうした作業が大幅に軽減された。

「ステップメールでは最初と最後のメールが重要です。最後にリモートでの説明を希望しますとお客さんに言ってもらえれば、そこからは営業に渡すことができます」(濱田氏)

きめ細かなシナリオによって送られるため自動送信と意識されず、丁寧な対応への感謝を述べられることもあるほどだという。

人数を増やさず商談数が8倍、今後は自社新サービスとの連携を強化

「ROIとしての具体的な数字は集約していないのですが、商談数は8倍に増えています。それでいて、マーケ、インサイド、営業の体制の人数が変わっていないことが、何よりも成果です。この3つの役割が機能できたのもMAと営業が見るDBがうまく連携して生産性を高めたからだと思います」と濱田氏は言う。

今後の抱負としては、新サービスの@pocketの事業の拡大がある。

これまでの「WaWaOfficeシリーズ」を刷新し、「業務アプリは自分で作る。」をコンセプトにしている。 アイアットOEC自身も、これまでのMAと営業システムの連携を構築してきたが、今後は、SMPと@pocketのAPI連携を強化していく考えだ。

「@pocketは元々、オープンなAPI連携を元に作られています。SMPをはじめとするMAや営業システムなどのユースケースをどんどん開発してきたいと思います」と濱田氏。

また今後の抱負としては、MAと動画機能の連携がある。

現在、アイアットOECの製品は説明型になるため動画はかなり有効なツールとなる。 SMPは、現在Youtube Live、Vimeo、ブイキューブなどの動画プラットフォームとの連携機能があるので、そうした機能を今後は実装していく予定だ。

自社製品である「@pocket」連携によるシステムの拡張、さらには動画ツール連携を実現し、いずれは「営業・マーケティングのDXともいえる完全自動化」をめざしたいと濱田氏はいう。

岡山というローカルに拠点を置きつつ、全国レベルでのBtoBクラウドサービスを展開していくアイアットOEC。自社で蓄積した技術やノウハウを活かした製品が今後も投入されていくだろう。