株式会社ケーメックスONE

資料ダウンロードを会員制に。
アポイント率増加を実現した会員管理とフォロー設計とは

※写真は取材とは別日に撮影。
左:戦略統括部 部長 金城剛氏、右:戦略統括部 マーケティング 笠原千鶴氏

ケーメックスONEは、産業用機器、電子制御部品、産業用PC、制御システム、ネットワーク機器などを輸入する技術商社。世界中から集めた製品を、国内メーカーに対して提供し、プロダクトや工場のIoT化、生産効率の改善などを実現している。

2021年に創業60年を超えるケーメックスからの分社化に伴い、Webサイトをリニューアルし、資料ダウンロードの会員制化をはじめた。

会員管理にあたっては、分社化以前から導入していたシャノンのSHANON MARKETING PLATFORM(SMP)を採用した。

戦略統括部の笠原千鶴氏、関紗織氏のチーム体制で、Webサイトの作成、Webからのダウンロード資料の作成、メールマガジンの配信、Webセミナーの運営など幅広いマーケティング活動により、見込み顧客のリードを作り、営業チームに渡している。

Point

  • 資料ダウンロードを会員制にすることで、ホットなリードを営業に送客
  • 2020年、コロナ禍で対面営業が難しくなったタイミングでシャノンを再導入
  • 豊富で良質なコンテンツを紹介するメルマガとWebセミナーの実施で案件創出を向上

Webサイト訪問者の会員化のためSMPの利用を継続

笠原氏は「SMP自体は、分社化以前から顧客リストに対してのメールマガジン配信のために導入していました。 当時は、会場型の展示会での名刺収集が中心でしたが、分社を機にコロナ禍の影響もあり、メールやWebによるマーケティングをさらに本格的に進めるにことになり、他のツールも検討した上で、SMPを継続して使用することになりました」と語る。

SMPをマーケティングオートメーション(MA)として継続利用を決めた理由は、資料ダウンロードを目的にWebサイトを訪問するユーザーの会員管理機能だという。

Webサイトの全面刷新に伴い、ホームページから資料をダウンロードするユーザーには、すべて会員として登録してもらうことにした。

SMPのWebの管理画面で、資料の公開範囲を「会員」で設定することで、ダウンロードをするユーザーはURLをクリックすると、新規であれば会員登録画面へ自動で遷移し、登録済のユーザーはログイン後、ダウンロードができる流れだ。

会員登録のハードルを下げるための工夫

「会員登録後に資料ダウンロードというフローは、製造業のポータルサイトなどでも一般的です。ただし、登録する際のハードルはできるだけ下げたいと考えながら会員登録画面をSMPで設計しました」(笠原氏)

資料をダウンロードするユーザーの中には、単発での利用者も多い。一回の情報の取得のためであっても会員化が必須になるため、入力項目はできるだけ簡便にして、ユーザーの負担を減らしたい。そのため、ログインのサイトの入力項目はなるべくシンプルにした。

こだわったのは、ユーザーのIDの登録だ。通常、シャノンでは、ユーザーIDは、メールアドレスではなくユーザー自身が自由に決めて設定できる。企業や業種によってはメールアドレスのない見込み顧客も対象となるからだ。

しかし、ケーメックスONEの場合は、大半の見込み顧客はメールアドレスを持つ。そのため、任意のログインIDではなく、メールアドレスをデフォルトにしたいという要望があった。

「自分で設定したIDだと忘れてしまう人もいます。ユーザーIDをメールアドレスに一本化して、少しでもお客様の手間を減らしたいと思い、シャノンの営業の方に相談しました」(笠原氏)

シャノン側もその要望に対応し、任意のユーザーID登録ではなく、メールアドレスをIDに統一した。通常の利用方法とは異なるものの、SMP上でおおがかりなカスタマイズをすることなく、入力項目の調整で可能にした。

「スコアリング」と「自動通知」によりアポイント成約率が向上

現在、サイトでの資料のダウンロードは、毎月30〜40件ぐらいで、営業日では、毎日1、2件程度はコンスタントにあるという。

製品資料は専門性が高い内容のため、ダウンロードする人の関心度は高く、商談化率も高い。資料ダウンロードから直接見積もりの依頼が来る場合もある。

分社化前のケーメックスの時代も、Webからの資料ダウンロードでの登録は行われていたが、会員化されておらず、見込み顧客を継続的にフォロー出来ていなかった。

SMPの導入による効果は、大きく2つあった。1)会員の行動履歴によるホットなリードの絞り込み。2)営業活動の迅速化だ。

1)については、資料ダウンロードした会員のスコアリングを施したリスト抽出の効果だ。営業には公開された資料の情報とともに、ダウンロードした会員の氏名、会社、メールアドレスとともに、マーケティングチームが確認したダウンロード資料の詳細がプロダクトマネージャーと営業チームに渡される。

「登録いただいた会員ユーザーから、なるべく顧客を絞り込んで、ホットなリードを営業にパスしていきます」と笠原氏は言う。

2)については、資料ダウンロードのスコア集計されたタイミングで、営業に通知メールを自動送信されるアラート機能の効果だ。営業は、その通知に基づいて、電話でフォローをいれる。

「以前は、資料ダウンロードがあっても営業が行動を起こすまでにタイムラグがありました。今では、30分以内に営業に通知が届きます。できるだけ早くフォローするという体制になってきたこともよかったと思います」(笠原氏)

こうしたSMPの機能によって、資料ダウンロード者のアポイント獲得率が増加した。

豊富で良質なコンテンツを届けるメルマガとWebセミナー

メルマガの配信は月一回だが、掲載するコンテンツそのものを作る作業が要となる。

更新される製品情報は多く、海外からのサプライヤーの情報の翻訳の編集や事例、ホワイトペーパーの制作進行がある。資料以外にも、技術コラムなどの読み物のコンテンツも月に4本ほど更新している。

月一回の定期メルマガ以外、Webセミナーの集客メールは不定期で送る。

Webセミナーは、現在2ヶ月に一回程度の開催。一回の集客人数は30〜40名程度だが、専門性の高い内容になるため、参加者の関心度は高い。講師はサプライヤーの企業の担当者が行う。このメール配信の管理もSMPの重要な役割だ。

今後はレポート機能による分析で新しい施策にチャレンジ

現在のところ、Webサイト自体の集客や認知度をあげるためのPRを積極的に行っているわけではないが、それでもケーメックスONEのサイトを訪問し、資料ダウンロードをする人は安定して増えている。

「新規の方がどうやって来ていただけるのかはいつも不思議です」と笠原氏は言う。

特に、製品自体のサプライヤーやメーカーではなく、あえて商社であるケーメックスONEのWebサイトを訪問し情報を収集するのは、同社のサイトの信頼感が形成されているからかもしれない。その訪問者や、ダウンロードされる資料の傾向をもう少し掘り下げることができれば、新しい施策に向けた改善につながる。

「今は、CSVで出力された会員データを使って、たまに傾向を見る程度ですが、今後は、どのような資料が効果に結びついたのかを分析して改善に結びつけていきたいと思います。そのため、SMPのレポート機能も今後は使っていきたいですね」と笠原氏。

コンテンツ作成で間口を広げつつ、営業のメンバーが確実にフォローをしてよい結果を生むための改善に取り組むことが目標だという。

最後に二人の仕事への心がけを聞くと、「お客様も営業のメンバーも、みんながハッピーになってもらうこと」(関氏)と、「各部署にうまく協力を仰ぎながら、さまざまな施策に取り組んでいくこと」(笠原氏)という言葉が返ってきた。