ウェビナー集客累計3,500人
月10時間のお問い合わせ対応工数削減
成果とリスク管理を両立したDX戦略

大塚化学株式会社

写真左:稲田 様、写真右:瀧川 様

会社名:大塚化学株式会社
業種:化学メーカー
業態:BtoB
導入製品:SHANON MARKETING PLATFORM
導入時期:2022年7月
URL:https://www.otsukac.co.jp/

取材ご協力企業

大塚化学株式会社
医薬品や食品で知られる大塚グループの一員として1950年に創業した化学メーカーです。独自の化学技術を基盤に、ヒドラジン関連事業、材料事業、ファイン事業の3つを柱とし、自動車、電気・電子、住宅、医療といった幅広い分野へ高機能素材をグローバルに供給しています。
素材開発を核としながら常に技術革新を追求し、顧客との協業を通じて社会の「健康で豊かな暮らし」に貢献する創造的な製品づくりを目指しています。

取材ご協力いただいたかた
化学品事業本部 マテリアルソリューション事業部 ビジネスユニットマネージャー 稲田 幸輔 様
化学品事業本部 瀧川 旭美 様

製品導入の目的

  • 自社でセミナーを運営するための基盤と体制の構築
  • マーケティング領域のデジタル化の推進
  • 属人化していた顧客管理体制の刷新

製品導入時の課題

  • Excelによる参加者管理、メール配信機能の欠如により、ウェビナー運営管理が煩雑
  • Webお問い合わせのフォローが属人化し、対応漏れが発生
  • SDSの配布リストは営業の手動追加で業務負荷が大きい

製品導入の効果

  • ウェビナー10回で3,500人集客、運営の内製化を実現
  • お問い合わせ対応の完全自動化で10時間/月の工数削減
  • 会員管理の活用でSDS配布履歴を自動管理し、事業リスク解消

Excelでの顧客管理から脱却し、新規リード獲得を加速
決め手は、大規模ウェビナーを自社開催できるイベント管理と手厚い導入支援

事業・業務内容

稲田氏: 私は化学品事業本部 マテリアルソリューション事業部に所属しています。マテリアルソリューション事業部は、営業・企画・マーケティングと幅広く担い、主軸は営業の部署です。
その中で私は、ビジネスユニットマネージャーとして、「複合材料」というプロダクトのプロダクトマネージャーをしています。

瀧川氏: 化学品事業本部の所属です。主な役割は、商談創出を目的として、MAを使った見込み顧客獲得の施策を実行することです。
展示会の企画・実行や、自社主催ウェビナーの運営、さらにはSFA(営業支援システム)の管理も行います。

「価値が伝わりにくい」化学素材メーカー特有の課題と、多角的な事業構造

稲田氏: 我々「素材屋」には、製品の価値が非常に伝わりにくいという課題があります。例えば、飲料なら「飲むこと」で良さが伝わりますが、スマートフォンの部品に使われている原料の良さは違いを体感いただくのが難しく、簡単に伝わりません

そのため、展示会やウェビナーといった素材に興味のあるかたが集まる場で、最新トレンドや技術動向など専門的な情報を交えながら、分かる人に深く刺さるソリューション提案をしなければ良質なリードと出会えないのです。

また弊社には大きく3つの事業部があり、それぞれ扱う製品も営業スタイルも全く異なります。サプライチェーンが極めて狭い医薬品のような原料もあれば、自動車から家電まで幅広いお客様を相手にするプラスチック原料もあります。我々が扱うのは、ペレットなど最終製品に組み込まれる川下に近い素材が中心です。こうした新規製品に近い領域では、お客様に価値を伝える強いマーケティング力が求められ、私たちの所属するマテリアルソリューション事業部がその役割を担っています。

新規リード獲得の壁と、アナログな顧客管理からの脱却

稲田氏: もともと弊社ではSFAを活用しており、営業フロントのデジタル化は進んでいました。SFAにより、特定のお客様との関係強化が進む一方で、次第に「新規の商談が少ない」という課題が見えてきました。

当時はまだ社内に「リード管理」という言葉自体が浸透していない状況で、既存顧客の管理と並行しながら、どうやって新しいお客様との接点を作っていくか模索していました。

Webからのお問い合わせフォローがブラックボックス化
経営層からマーケティングプロセスのデジタル化への強い要請

稲田氏: 新規リード獲得以外の課題として議論に挙がっていたのが、「Webサイト経由のお問い合わせがフォローできているのか」です。

具体的には、次のような問題がありました。
・お問い合わせでの獲得リードをExcelで手作業管理することで、担当部署への連携に時間がかかる
・営業担当者個人によるフォローの対応漏れ

いざ、状況を確認しようにも、結局は営業担当者へのヒアリングしかなく、ヒアリングでフォロー漏れが発覚してから慌てて連絡を取るケースもあり、属人化したアナログな管理体制が大きな課題でした。

その他にも、当時はメールの一斉配信ができるツールを持っていませんでした。お問い合わせへのフォローアップを確実にし、その後のアプローチを効率化するためにも、MAのような仕組みは必要だと感じていましたね。

加えて、役員会でも「フォローアップされていないのではないか」と度々話題に上がり、当時の社長からも「デジタル化できる部分は推進すべき」という強い旗振りがありました。

シャノンの魅力は「イベント管理機能」と手厚い「導入支援」

稲田氏: MAの選定はまず、自社グループ内からの情報収集からはじめました。大塚グループではグループごとに異なるツールを使用しているので、グループ内の他社から「SFA・CRMとMAツールを連携させると営業案件の管理がしやすい」といった情報を集め、最終的には、以下の観点から複数のMAを比較し、シャノンを選ぶことにしました。

◆MA選定時のポイント
①導入支援の手厚さ
②コストパフォーマンス
③シンプルなUIと必要十分な機能
④ウェビナーといったイベント管理のしやすさ

一番のポイントはシャノンがウェビナーといったイベントの管理を得意とするMAツールである点です。ウェビナーをMAなしで開催していた際は、多くのリード(見込み顧客)を管理しながら案内を配信していくプロセスに難しさを感じていました。その点、シャノンは特別なカスタマイズをせずとも、標準機能の範囲でイベント管理が非常にしやすかった。それが採用における最大の決め手となりました。

もう一つ、導入支援の手厚さも大きな決め手になりました。「スタートアップトレーニング」といった動画支援コンテンツが非常に充実していたおかげで、他社のように高額な導入・伴走支援コストを要求されることなく、すぐに導入ができました。

また、動画での学習をベースに週1回程度のオンラインミーティングで伴走支援していただくだけで「これなら自分たちでツールを使いこなせるようになる」と思えたこと。この支援体制が整っている点も、選定時に非常に魅力を感じたポイントでした。

ウェビナーで累計3,500人集客、お問い合わせ対応工数ゼロ
MAがもたらした業務改善

稲田氏: MA導入による効果は大きく以下の3つで業務改善効果としてあらわれました。
①ウェビナー運営の改善
②お問い合わせ対応工数の削減
③SDS(安全データシート)管理体制の刷新

10回のウェビナーで3,500人を集客。アナログな手作業をゼロにし、大規模イベントの内製化を実現

稲田氏:導入後、特にMAの効果を感じているのが「ウェビナー」です。今ではシャノンを活用して平均350人規模のウェビナーを自社で運営できていますが、MA導入前は状況が異なりました。

MA導入以前:外部委託とExcelによるアナログな顧客管理

稲田氏: MA導入前に2回開催した際は、外部の業者にスタジオや配信サポートを委託していました。ただ、その顧客管理が「アナログ」でした。

業者から参加者のExcelリストをもらい、別途用意したアンケートフォームの回答と手作業ですり合わせ、それをさらにSFAに取り込むという、今思えば「複雑怪奇」なことをやっていました。手作業のコストが非常にかかる上に、想定以上に多くの方にご参加いただけたので、「このリードをどう管理したものか…」と頭を抱えていたのです。

MA導入後の成果:大規模イベントの内製化を実現。MAで変化した5つのポイント

稲田氏: MAを導入したことで、状況は劇的に変わりました。開催した10回のウェビナーでは、合計で3,503人、多い時には1回で約780人にお申し込みいただきました。この規模のイベント管理は、MAなしでは到底不可能だったはずです。

弊社には約11,000件の配信許諾済みリストがありますが、そこへ一斉にアプローチして数百人規模の申し込みを集め、管理し、開催後のフォローまでを一気通貫で実行できる。選定時に期待していた通りのインパクトがありました。

ポイント①:手作業が“ゼロ”に。リスト抽出の手間や情報漏洩リスクも解消

瀧川氏:もしMAがなかったらご案内をお送りするリストの抽出から大変だったと思います。以前の仕組みでは検索性も悪く、「誰に送るか」を決めてリスト化するまでに相当な時間がかかっていたはずです。また、大切な顧客情報をExcelで手作業管理するのは、間違った相手に送ってしまうリスクや情報漏洩の怖さも常にあったと思います。

稲田氏:まさにその通りで、MAの導入によって、そうした手作業が「ガサッとゼロになった」感覚です。

ポイント②:ウェビナー後のフォローを自動化。アンケート結果に基づきリードを即時振り分け

稲田氏: ウェビナー後は、必ずアンケートを実施し、その回答内容に応じてフォローの優先順位を決めています。「資料が欲しい」「サンプルに興味がある」「面談したい」といった具体的なご要望がある方はホットリードとして、すぐに担当者(プロダクトマネージャー)に情報を共有し、「責任をもって対応してください」と、即時対応を徹底しています。

また、成果という点では、ウェビナー参加者のアンケート回答率が7~8割と非常に高いことも挙げられます。1回の開催で数百件のアンケートが集まりますが、これだけの量をExcelで捌くと絶対に抜け漏れが出ます。「参加者が倍増しても、質の高い情報をきちんと蓄積し、対応しきれた」のはシャノンのMAがあったからこそです。

ポイント③:MAをBIツールのように活用。アンケート結果を自動でグラフ化、レポート作成時間を削減

稲田氏: アンケートのプロセス自体も、MA導入で大きく変わりました。当初は外部のフォームツールを使っていましたが、お問い合わせ情報とアンケート情報、リード情報との紐付けが大変でした。途中からアンケートもシャノンのMAに一元化したことで、管理が格段に楽になりました。

瀧川氏: MAのグラフ機能で、アンケートの自動集計ができるようになったのも非常に大きいですね。以前は、回答データを一旦Excelに落としてからグラフを作成していましたが、その手間が一切なくなりました

稲田氏: まさにBIツールのような使い方ですよね。シャノンのMAの中ですべてがオールインワンで完結し、集計結果のチャートをそのままパワーポイントに貼り付けて報告書が作れるので、本当に助かっています。

ポイント④:外部委託コストを削減

稲田氏: もしMAがなかったら、これだけの規模のウェビナー運営の継続は不可能だったでしょうね。実際に外部の業者から「管理まで請け負いますよ」という見積もりも来ていましたから、MAを導入せず自走していなければ、そうした外部委託コストが間違いなく上がっていたはずです。

ポイント⑤:集客の柱はMAからのメール配信。参加者の7割はハウスリストから獲得

稲田氏: 弊社のウェビナー集客は、ハウスリストへのメール配信や外部メディアなどで行っています。参加者の内訳は、ハウスリストへのメール配信が約7割。これまでメール配信ツールが無かったことを考えると、MAの集客貢献は計り知れません。

お問い合わせ対応の工数を月10時間削減。MAで仕分け・転送を完全自動化

稲田氏: 続いては、Webサイトからのお問い合わせ対応です。MA導入前は、お問い合わせが来るたびに総務部の担当者が「このお問い合わせはどの部署に聞けばいいか?」とフロアを回り、担当者を探してメールで転送する、というプロセスでした。ざっくりですが、月10時間ほどかかっていたと思います。それが、MA導入でその作業が完全にゼロになりました。 今はWebサイトのフォームから来たお問い合わせがすべてMAに入り、自動で仕分けされるので、完全に無人化できています。

事業リスクだったSDS管理をMAで刷新。配布履歴の自動管理でコンプライアンスを強化

稲田氏: マーケティング以外の領域ではSDS(安全データシート)の管理もMAで行っています。化学品事業において、法律の改定時にお客様へ最新のSDSを提供することは非常に重要で、誰に配布したかを正確に管理する必要があるのです。

MA導入以前は、営業担当者が「誰に送ったか」を会社のデータベースに手入力するという、運用でした。

現在は、MAで会員登録制のSDSダウンロードシステムを構築し、配布履歴を自動管理できるようにしたことで、お客様へ最新版がお届けできないというリスクを一掃できています。

MAを基盤に、より能動的で質の高いマーケティング・営業活動へ

MAは事業戦略の基盤。中長期的な関係を築く「最初のきっかけ」を創出する

稲田氏: 我々の製品は、例えば自動車業界に採用されるまで5〜7年かかり、その後20年近く使われ続けることもあります。つまり、売り切りの商売ではなく、一度ご評価いただければ非常に長くお付き合いが続きます。だからこそ、その「最初のきっかけ」作りが我々にとって非常に重要なのです。MAは、まさにそのきっかけとなり得るターゲットを探すのに、パワフルに機能しています。

SFAに情報が登録されるのは、営業が面談してからです。しかしMAには、イベントへの来場やWebからのお問い合わせ、外部のポータルサイトなどから流入した質の高い情報、つまり営業が面談するよりずっと手前の、潜在顧客との接点が多く蓄積されています。

例えば、経営層が「特定企業の〇〇している組織を攻めたい」と方針を立てた際にMAで探すと、「過去のウェビナーに参加した、A社の技術者のかた」を抽出できます。これは単なる名刺管理ではなく、「このウェビナーに参加した」という強い属性情報が付いているので、「そこから攻略していこう」と話ができるわけです。

「集客管理」から「能動的なマーケティング」へ。顧客解像度を高め、ナーチャリングを本格化

稲田氏: MA導入の成果には、お客様一人ひとりの行動ログが蓄積できるようになった点も挙げられます。これにより、特定のお客様が「どの製品ページを閲覧したか」といった行動履歴から、製品への関心の高さ(=HOT度)を把握できるようになりました。

担当者がアプローチする前に、お客様の興味・関心をデータに基づいて理解できる土台ができたことが、非常に大きな前進だと捉えています。

これまでは顧客の「集客管理」が中心でしたが、今後はMAに蓄積された良質なリードデータを活用し、より能動的なマーケティングに挑戦していきたいです。

例えば、過去のとあるウェビナーに参加されているお客様に対しては、「このイベントにもご興味があるのでは?」と仮説を立てて個別にご案内を送るなど、顧客解像度を高めたアプローチを強化したいと考えています。

すでに、そうした取り組みの成果として、最近、瀧川が「ウェビナー案内メールを一度お送りしたものの、まだ申し込んでいない方」というターゲットに絞ってリスト化し、再度フォローアップメールを送ったところ、申込者数が増えました。今までは全員に同じメールを漫然と送っていましたが、これからはそうしたターゲットを絞ったリードナーチャリングを本格化させていきたいですね。

スコアリングとSFA連携の強化で、HOTリードを営業へ即時通知

瀧川氏: 今後は「スコアリング」機能の活用を本格化させ、リードの関心度合いに応じたアプローチを強化していきたいです。

また、弊社の事業は医療や化学など多岐にわたるため、スコアが高まったお客様の情報を、担当営業へ即時に通知する仕組みを設計していきたいです。

Webサイトリニューアル後、増え続けるお問い合わせへの対応状況や、最終的な受注率までMA・SFAで追えるようにして、私たちの活動成果をより明確にしていきたいです。

最終的なゴールは「企画提案型の営業」。MAを顧客理解の基盤に

稲田氏: 我々が目指す最終的なゴールは、MAを顧客理解の基盤とした「企画提案型の営業」です。

Webサイトからのお問い合わせはMAに入るようになっていますが、これまでは「このお問い合わせに対応してください」と営業に依頼するだけでした。これからは、「このお問い合わせをくれたお客様は、こちらのページもよく閲覧されているので、このようなお困りごとを解決する、このソリューション提案ができるのでは?」と、一歩踏み込んだ連携をしていきたいです。

MAで得た「顧客のインサイトをもとに、お客様の課題解決に貢献する」それが我々のポリシーであり、MAを使ってそのレベルをさらに高めていきたいと考えています。